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国立がん研究センター

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固形がん2000例、血液がん200例を突破

希少がんの研究開発・ゲノム医療を産学共同で推進する中央病院「MASTER KEYプロジェクト」への患者登録数
固形がん2000例、血液がん200例を突破

2022年1月12日
国立研究開発法人国立がん研究センター

発表のポイント

  • 国立がん研究センター中央病院が実施する希少がんの産学共同プロジェクト「MASTER KEYプロジェクト」の遺伝子・臨床情報データベース登録が、固形がんで2000例、血液がんで200例を突破し、世界最大の希少がんデータベースとなりました。
  • 2021年には、アジア・太平洋地域での国際共同研究「MASTER KEY Asia」に活動を拡大しました。日本だけでは開発が困難な希少がんに対しても、アジア地域を中心とした国際連携によって、希少がんに対するゲノム医療と新規治療開発の推進に取り組みます。

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、所在地:東京都中央区)中央病院(病院長:島田和明)は、2017年5月から開始した希少がんの産学共同プロジェクト「MASTER KEYプロジェクト(Marker Assisted Selective ThErapy in Rare cancers: Knowledge database Establishing registrY Project)」において、希少がん患者さんの遺伝子情報と、治療の詳細・予後など臨床情報のデータベースを構築し、希少がんの研究や企業治験、医師主導治験に活用しています。

この度、本データベースにおいて、固形がん患者さんの登録が2000例を突破し、さらに2018年10月から登録を開始している血液がん患者さんの登録も200例を超え、希少がんにおける世界最大の臨床情報データベースとなりました。2021年10月からはアジア・太平洋地域の施設からの登録も開始しており、今度さらにデータベースの登録拡大とそれを基盤とする希少がんの治療開発の促進が期待されます。

「MASTER KEYプロジェクト」では、国立がん研究センターが有する先端的な研究開発のノウハウと研究支援機能、製薬企業が有するシーズと開発戦略を融合させ、網羅的かつ効率的に希少がんの治療開発を進めるための産学共同の研究基盤の構築を目指しており、現在、12企業と国立がん研究センター中央病院を含めて国内6施設、アジア地域では5か国10施設が参加しています。

参加企業は、「MASTER KEYプロジェクト」のプラットフォームを利用することで、開発戦略に応じたデータベースの活用、症例リクルートの促進、前臨床研究での国立がん研究センター研究所との協業など多くのメリットが得られる仕組みとなっており、現在 21件の治験(医師主導治験14、企業治験 7)が進んでいます。

希少がん患者さんの登録においては、2018年8月に国立がん研究センターと連携協定を締結している一般社団法人日本希少がん患者会ネットワークとの連携により、多くの患者さんにご協力いただくことができました。

同ネットワークの理事長 眞島喜幸氏は、次のように述べています。

「この度は、固形がんレジストリ2000例および血液がんレジストリ200例突破、おめでとうございます。希少がんは症例数が少ないことから医薬品開発がなかなか進まず、予後も悪く、患者と家族は長年苦しめられてきました。そこにMASTER KEY プロジェクトが救世主のように現れ、患者会として患者登録に協力させていただいてきましたが、この度、世界に類のない症例数を達成されたことに大きな喜びを感じるとともに、これからのますますの希少がん研究の前進、副試験・治験の増加、奏功する新薬の誕生、さらに世界に先駆けた新薬の承認に大いに期待するところでございます。本当におめでとうございます。」

プロジェクトの推進にあたりご協力いただいた実施医療機関、参加企業、患者登録に向けて連携いただいた日本希少がん患者会ネットワークをはじめとする患者会の方々に厚く御礼申し上げます。今後も希少がんの患者さんにより早く、より多くの新薬を届けることを目指し、アジア・太平洋地域に拡大した「MASTER KEY Asia」とともに、日本およびアジアにおける希少がんにおけるゲノム医療の推進、希少がんの新規治療開発の推進に取り組んでまいります。
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 「MASTER KEYプロジェクト」における希少がん(固形がん/血液がん)の登録推移(2017年5月から2021年12月)

「MASTER KEYプロジェクト」とは

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希少がんは、一つ一つのがんの患者数が少ないため、これまで標準治療が十分に確立されておらず、臨床試験もあまり行われてこなかったため、希少がんの患者さんにとっては新しい薬を受けられる機会が限られていることが問題となってきました。「MASTER KEYプロジェクト」は、この世界共通の課題に国立がん研究センターと製薬企業が共同で取り組み、希少がんの患者さんに、より早く、より多くの新薬を届けることを目指しています。

「MASTER KEYプロジェクト」は、大きく二つの取り組みから成ります。一つは、希少がん患者さんの遺伝子情報や診療情報、予後データなどを網羅的に収集し、研究の基礎データとなる大規模なデータベースを構築するレジストリ研究です。このレジストリ研究により、これまで十分に調べられてこなかった希少がんの遺伝学的背景や病理学的特性が明らかになり、バイオマーカー探索や薬剤開発に役立てることが期待されます。レジストリ研究は2017年5月より固形がんで開始し、2018年10月からは血液がんも含め、これまで2000人以上の患者さんにご登録いただいています。もう一つは、レジストリ研究の情報に基づいて行われる医師主導治験・企業治験です。これらの治験では、がん種を限定したもの、あるいはがん種によらず特定のバイオマーカー(遺伝子異常・蛋白発現等)を有する患者さんを対象として薬剤の有効性、安全性を検討します。これらの治験を通じて、本プロジェクトに参加いただいた患者さんは自らのがんの特性にあわせた様々な新薬による治療機会を得られることが期待されます。
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研究代表者

国立がん研究センター 中央病院 副院長、先端医療科長 山本 昇

実施医療機関

(2022年1月現在6医療機関)
  • 北海道大学病院
  • 東北大学病院
  • 国立成育医療研究センター
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 京都大学医学部附属病院
  • 九州大学病院

参加企業

(2022年1月現在12社)
  • アステラス製薬株式会社
  • エーザイ株式会社
  • 大塚製薬株式会社
  • 小野薬品工業株式会社
  • 第一三共株式会社
  • 大鵬薬品工業株式会社
  • 武田薬品工業株式会社
  • 中外製薬株式会社
  • 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
  • ノバルティスファーマ株式会社
  • ファイザーR&D合同会社
  • ブリストルマイヤーズスクイブ株式会社

連携協定

日本希少がん患者会ネットワーク

参考

プレスリリース

2017年7月31日 希少がんの研究開発・ゲノム医療を産学共同で推進「MASTER KEYプロジェクト」開始

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/0731/index.html

2018年8月23日 「MASTER KEY プロジェクト」 京都大学医学部附属病院が西日本の研究拠点として参加

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/0823_2/index.html

2018年8月23日 国立がん研究センターと日本希少がん患者会ネットワークMASTER KEYプロジェクトでの連携協定締結

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/0823/index.html

2021 年 10 月 20 日 希少がんの治療開発をアジア・太平洋地域 5 か国と連携し推進「MASTER KEY Asia」開始

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/1020/index.html

発表論文

著者:Hitomi S Okuma, Kan Yonemori, Shoko N Narita, Tamie Sukigara, Akihiro Hirakawa, Toshio Shimizu, Taro Shibata, Akira Kawai, Noboru Yamamoto, Kenichi Nakamura, Toshiro Nishida, Yasuhiro Fujiwara

タイトル:MASTER KEY Project: Powering Clinical Development for Rare Cancers Through a Platform Trial

掲載誌:Clin Pharmacol Ther.

掲載日:2020 Feb 29.

PMID: 32112563

「MASTER KEYプロジェクト」サイト

https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/masterkeyproject/index.html

患者様のお問い合わせ先

がん相談支援センター TEL:03-3547-5293
患者サポートセンター TEL:03-3543-5601

問い合わせ先

研究に関するお問い合わせ

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 
臨床研究支援部門 研究企画推進部 臨床研究支援室
MASTER KEY Project調整事務局
E-mail:NCCH1612_office●ml.res.ncc.go.jp

広報窓口

国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室
TEL:03-3542-2511(代表) FAX:03-3542-2545
E-mail:ncc-admin●ncc.go.jp

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