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Jmeesと国立がん研究センター東病院が共同開発した「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys」が医療機器承認を取得しました

2024年8月8日

株式会社Jmees
国立研究開発法人国立がん研究センター

発表のポイント

  • この度、株式会社Jmeesと国立がん研究センター東病院が共同開発した「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys(サービス・ヒス)」がプログラム医療機器として薬事承認されました。
  • 「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys」は、内視鏡下(腹腔鏡下及びロボット支援下)子宮全摘術の手術中に内視鏡画像中の尿管・膀胱部位を検出し、候補領域を手術中に強調表示するプログラムです。性能評価試験ではSurVis-Hysを使用することで、医師の臓器認識感度が有意に向上することが認められました。
  • 今後、子宮全摘術以外に対応できるプログラムの開発も進めていきます。また、SurVis™を用いた臓器損傷リスクに関する臨床試験を実施し、国内への普及と海外展開を進めていきます。
  • SurVis-Hysの販売については、株式会社Jmeesが準備を進めており、販売開始は同社HP上でお知らせします。

株式会社Jmees(代表取締役:松崎 博貴、千葉県柏市)と国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)東病院(病院長:土井 俊彦、千葉県柏市)は、両者が共同で開発した「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys」が2024年8月2 日付で厚生労働大臣より製造販売承認(薬事承認)を取得したことをお知らせいたします。国立がん研究センター発ベンチャーによる医療機器の承認取得は2例目*となり、株式会社Jmeesとしては初めてとなります。

*2023年2月1日承認の腹腔鏡手術支援ロボット「ANSURサージカルユニット」に続いて2例目
SurVis_f1.pngSurVis-Hysを用いた手術のイメージ。左側のサブモニターに尿管が強調表示される。

「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys」について

現在、子宮全摘術においては、開腹手術と比べ患者さんの負担が少なく、術後のQOL(Quality of life:生活の質)向上が期待できる、低侵襲の内視鏡下(腹腔鏡下及びロボット支援下)手術が主流となりつつあります。
一方で、内視鏡下による子宮全摘術は、尿管や膀胱の損傷に起因する合併症のリスクが上がるとされており、医師が内視鏡映像中の尿管・膀胱を認識することが非常に重要となるため、認識感度の向上が課題とされてきました。
内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys(以下、本製品)は、内視鏡下(腹腔鏡下及びロボット支援下)子宮全摘術の内視鏡映像中の尿管・膀胱部位をAIが検出し、候補領域として手術中に強調表示することで、医師が尿管・膀胱を認識することの支援を行うプログラム医療機器です。
AIの教師データとして用いた腹腔鏡下子宮全摘術の映像データは、Jmeesと国立がん研究センター東病院が連携し、NEXT医療機器開発センターの支援を得て、40施設以上の全国の医療機関から収集し、婦人科専門医の監修のもと開発されました。
また、薬事申請に伴い実施した性能評価試験*では、医師単独での認識感度と比較して、本製品の併用による医師の認識感度の平均値は、尿管で14.6ポイント、膀胱で15.8ポイントそれぞれ有意に上昇したことが確認されています。

*性能評価試験

全国29施設から収集した腹腔鏡下もしくはロボット支援下子宮全摘術の映像データを用いた動画サンプル問題を使用して、本製品の併用有無による医師の認識感度の比較試験を多施設共同で産婦人科医師16名を対象に実施した。尿管と膀胱の認識感度を、医師単独のグループと本製品による強調表示を併用したグループとで比較し、本製品が医師の臓器認識を支援するかを評価した。

本医療機器の開発は、下記機関より支援を受け実施されました

  • NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
    研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化(STS) 「解剖構造可視化AIシステムの開発~熟練の眼を全ての外科医に~ 」
  • AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)
    医工連携イノベーション推進事業 「骨盤内腫瘍の内視鏡外科手術における術中リアルタイムAIナビゲーションの開発・事業化」

医療機器承認に関する情報

  • 一般的名称:手術用画像認識支援プログラム
  • 販売名:内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys
  • 認証クラス分類:管理医療機器(クラスII)
  • 承認番号:30600BZX00166000
  • 承認日:2024年8月2日

国立がん研究センター東病院 婦人科長 田部 宏 医師のコメント

本製品構築の過程に携わってきましたが、手術中における尿管・膀胱の同定(色付け)は年々改良されてきました。今回いよいよ薬事承認され、日常臨床で使用できることは、世界へ向けて大きな一歩となります。本製品を用いることで、患者さんへの合併症軽減によるメリットはもちろん、外科医育成へ向けた教育での貢献、さらには技術評価を客観的に評価するなど、様々な面で期待できるでしょう。近い未来にはAIを用いた自動手術にも繋がる成果であり、今後さらなる研究に期待したいと思います。

国立がん研究センター東病院 婦人科 竹中 慎 医師のコメント

私が国立がん研究センター東病院に入職した目的は、AIを用いた臓器認識システムの構築でした。それから5年が経ち、本製品が医療機器承認を取得したことを非常に嬉しく思います。研究結果では、本製品を用いることで、医師の臓器認識能力が向上することが示されました。今後もシステムの発展を続け、患者さんに更なる恩恵をもたらすことを目指して努力してまいります。

株式会社Jmees 代表取締役 松崎博貴のコメント

テクノロジーを用いて臨床現場の課題を解決したいと思い、Jmeesを立ち上げました。本製品の開発は、国立がん研究センター東病院の婦人科の先生方と一緒に開発することで、どうすれば臨床価値を高められるかというフィードバックをもらえる環境があり、医師とエンジニアのコラボレーションで生まれた成果だと思います。今後はさらなるバージョンアップと日本発の医療機器として世界に広めるためのステップを進めていきたいと思います。

今後の展開

本製品について、Jmeesが速やかに販売準備を整えます。販売の開始はJmeesのHPで追ってお知らせをいたします。
また、SurVis™️シリーズとして婦人科以外の他の外科領域への適用範囲を広げるための開発や、有用性を証明するための臓器損傷リスクに関する臨床試験の実施を国立がん研究センター東病院とJmeesにて共同で推進します。
SurVis_f2.png

NEXT医療機器開発センターについて

NEXT医療機器開発センターは、産学官・医工連携で臨床ニーズに基づいた次世代に望まれる革新的医療機器を開発するため、国立がん研究センター東病院に2017年5月に開設された組織です。医療機器企業、ものづくり企業、アカデミア、そして地域との連携で、医療機器開発を推進するとともに、臨床試験・治験のフィールドで医療機器開発を支援しています。また、臨床と隣り合わせのインキュベーション施設として人材育成、情報発信に取り組んでいます。

株式会社Jmeesについて

Jmees(ジェイミーズ)は2019年10月に設立された、国立がん研究センター東病院から生まれたスタートアップ企業です。国立がん研究センター発ベンチャーの認定を受け、「すべての人々に安全で質の高い治療を届ける」をミッションに、AIを用いて外科医を支援するシステムを開発しています。

お問い合わせ先

本製品に関する問い合わせ

株式会社Jmees  代表取締役 松崎 博貴
千葉県柏市柏の葉5丁目4番地6 東葛テクノプラザ605
問い合わせ先:HPのContactページからお願いいたします
ホームページ:https://www.jmees-inc.com (外部サイトにリンクします)

研究に関する問い合わせ

国立研究開発法人国立がん研究センター東病院
NEXT医療機器開発センター事務局
電話番号:04-7130-0199
Eメール:NEXT_AxL●east.ncc.go.jp

国立がん研究センターへの取材に関する問い合わせ

国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室(柏キャンパス)
電話番号:04-7133-1111(代表)FAX:04-7130-0195
Eメール:ncc-admin●ncc.go.jp

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