実績と成果
試料収集実績(2024年8月末日現在)
病理凍結組織
- 症例数:31,717例
- 検体数:133,587バイアル
研究用採血血液
症例数
- 血漿:125,360症例
- DNA:125,426症例
- RNA抽出用lysate:120,966症例
- CP:1,633症例
検体数
- 血漿:593,349バイアル
- DNA:503,428バイアル
- RNA抽出用lysate:121,994バイアル
- CP:3,266バイアル
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NCBNカタログデータベース(外部サイトへリンクします)
払出実績(2024年8月末日現在)
病理凍結組織
- 症例数:17,457症例
- 検体数:26,301バイアル
研究用採血血液
症例数
- 血漿:11,054症例
- DNA:25,226症例
- RNA抽出用lysate:2,441症例
検体数
- 血漿:14,226バイアル
- DNA:25,269バイアル
- RNA抽出用lysate:2,441バイアル
バイオバンク試料を用いた研究論文一覧
研究論文一覧(外部サイトへリンクします)
バイオバンク試料を用いた共同研究例
胃がんのゲノム及び転写物解析による多系統進化の解明
胃がんは、地理的、疫学的、組織学的に不均一性を特徴とする腫瘍の代表ともいえ、1,335症例を対象とした、胃癌におけるWGSを含むマルチオミックス解析を行った。結果として、ARHGAP5やTRIM49Cを含む77の有意に変異した遺伝子(SMG)が同定された。また、びまん性胃がんではPIGRやSOX9などのサブタイプ特異的ドライバーも同定された。さらに、東アジアに祖先を持つ胃癌患者において、アルコール摂取または代謝とRHOA突然変異の発生との関連が示唆された。これらのデータは、様々なサブタイプおよびアジア人種での胃癌の分子的状況について包括的なランドスケープを提供するものである。
胃がんのリスクファクターとしての腸上皮化生におけるDNAメチル化状態の解析
胃がんにおける腸上皮化生はリスクファクターとして認識されているが、前がん病変であるかがん化に付随した変化であるかは明らかではない。そこで、腸上皮化生におけるゲノムワイドのエピジェネティック異常を、その腺窩を単離して検討した。その結果、腸上皮化生上皮は腫瘍抑制遺伝子を含むプロモーターCpGアイランドに広範なDNA過剰メチル化を示したほか、エンハンサー領域のリプログラミングを示した。これらのことから、潜在的にがん細胞に変化する可能性が高い前がん性を持っていることが示唆された。
免疫チェックポイント阻害薬によるがん治療には目を見張るものがあるが、一般に肝転移巣では効果が乏しいことが知られている。本研究では、その違いを解析することで、糖代謝が活発な腫瘍におけるPD-1の発現がエフェクターT細胞よりもTregで高いことを見出し、それがMCT1分子を介した乳酸吸収によるものであり、結果的に免疫応答抑制に働くことを明らかにした。これにより、MCT1を標的とする新たな治療の可能性が示唆された。
成人T細胞性白血病・リンパ腫は本邦で同定されたHTLV-1に関連したリンパ腫であり、その150例を用いた全ゲノム解析結果を発表した。その結果として、重複する56遺伝子のほか、11の新規遺伝子も認められたほか、臨床的、分子生物学的に異なる2つの分子サブタイプが存在することが判明した。
肺癌は小児腫瘍としては極めてまれであり、バイオバンク試料に保存されていた2例の小児肺癌(2歳児および6歳児)を検討した結果、母親の子宮頸がんが経気道的に吸引されて形成されたことが遺伝子解析の結果から判明した。2歳児のいくつかの病変は自然消滅し、6歳児においても緩徐な増大をきたすほか、6歳児の残存腫瘍に対して、免疫チェックポイント阻害剤による治療に奏功し、腫瘍免疫の関与が示唆された。
免疫チェックポイント阻害剤の効果はPD-1発現CD8陽性T細胞とTregと微小環境でのバランスによって決定づけられるが、その詳細なメカニズムはわかっていなかった。糖代謝が活発な腫瘍におけるPD-1の発現がエフェクターT細胞にはTregに高いことを見出し、それがMCT1分子を介した乳酸吸収による代謝による免疫応答抑制に働くことが判明した。したがって、MCT1を標的とする新たな治療の可能性が示唆された。
国際がんゲノムコンソーシアムの一員として、NCCバイオバンクの試料が含まれた延べ38種の腫瘍、2,658例の全ゲノムシークエンスを解析した結果を発表した。がんは平均して4~5のドライバー変異をコーティング領域もしくは非コーディング領域に有しているが、5%の腫瘍では全くドライバー変異が検出されなかった。この成果はがん種によるがん化メカニズムの違いを浮き彫りにし、がんの全貌を明らかにする大きな一歩を築いた。
厚生労働省が2019年12月に発表した全ゲノム解析実行計画の最初の「先行研究」の一つとして、健康・医療戦略推進本部によるトップダウン型経費により、2020年度に「発がんの原因遺伝子特定に向けた全ゲノム解析」を行った。多施設共同研究により遺伝性腫瘍またはそれが疑われる患者・血縁者と、遺伝素因の関与が想定される若年・AYA世代のがん患者合計3,247人分の生殖細胞系列の全ゲノムシークエンス情報取得と、その基本的データ解析を計画通り完遂した。このうち1,128人はNCCバイオバンクに蓄積された若年・AYA世代がん症例であった(図左下)。
脱分化型脂肪肉腫の発生、進展に関わる遺伝子異常を解明
【プレスリリース】
血液1滴で13種類のがんを診断
- 2019年7月11日 食道がんを早期から検出できる血液中マイクロRNAの組み合わせ診断モデル作成
- 2019年3月28日 骨軟部腫瘍の良悪性を高精度に識別可能なマイクロRNAの診断バイオマーカー同定
- 2018年10月17日 卵巣がんを早期から検出できる血液中マイクロRNAの組み合わせ診断モデル作成
- 2014年6月13日 13種類のがんを1回の採血で発見できる次世代診断システム開発が始動
国立がん研究センターが開発した日本人のためのがん遺伝子パネル検査「OncoGuide™ NCCオンコパネルシステム」保険適用
【プレスリリース】
包括的同意を利用した J-PDXプロジェクト
遺伝子でリンパ節転移を見分ける~女性にやさしい子宮体がんの治療へ~
- 2017年10月26日 子宮体がん病巣よりリンパ節転移を見分けるバイオマーカーの発見 ~女性にやさしい子宮体がんの個別化医療の実現へ~
- Promoter-level transcriptome in primary lesions of endometrial cancer identified biomarkers associated with lymph node metastasis(外部サイトへリンクします)
RET融合遺伝子を標的とした新しい肺がん治療
- 2018年2月14日 RET融合遺伝子上に生じるアロステリック効果を持つ二次変
- 2016年11月8日 RET融合遺伝子陽性の肺がんに対する分子標的治療薬「バンデタニブ」の有効性を確認
- 2013年1月15日 RET融合遺伝子陽性の肺がんに対する全国規模のスクリーニングと新規分子標的治療薬の医師主導治験を開始
- 2012年2月9日 新しい肺がん治療標的遺伝子の発見 国立がん研究センター等研究グループによる肺がん治療に有効な新しい遺伝子融合をNature Medicine誌に発表
ゲノム網羅的関連解析による、diffuse型胃がんの新規易罹患性遺伝子の同定
国際がんゲノムコンソーシアムにおける肝臓がんの新規治療標的候補の同定
【プレスリリース】
- 2013年8月15日 網羅的なゲノム解析から新たながんの原因遺伝子が明らかに
- 2012年5月28日 肝臓がんの全ゲノムを27例で解読 -多様なゲノム変異は肝炎ウイルスや飲酒などとも関連(PDF:462KB)
医薬基盤研「多層的疾患オミックス解析による創薬標的の網羅的探索を目指した研究」
その他の研究成果例
【プレスリリース】