行動科学研究部
- 2024年9月18日
- 令和6年度 実装科学セミナー情報を更新しました
- 2024年8月14日
- 「J-NoMAD(NoMAD日本語版)の標準化」のページを更新しました
- 2024年8月5日
- 「講演・学会発表など」のページを更新しました
- 2024年7月8日
- INFORM Study 2020の結果論文がJournal of EpidemiologyのEditor's Picksに選ばれました。
- 2024年6月13日
- 職域のたばこ対策のロジックモデルとアクションプランに関する論文が出版されました。
研究活動
2020年4月、国立がん研究センターに初めて行動科学を扱う研究部が立ち上がりました。がん診療の技術革新や薬物開発には目覚ましい発展がありますが、がん予防、早期発見、診断、治療、サバイバーシップケアに至るすべての診療活動には人の行動が深く関わっているにもかかわらず、これまで基盤となる行動を扱う部門がありませんでした。全国の大学医学教育コアカリキュラムにおいてもようやく行動科学、行動医学は取り上げられはじめたところです。
第一の目的は、個人に合わせた行動介入法を開発し、新たにエビデンスを創り出すことです。少子高齢化、しかも成熟した社会で、健康寿命の延伸を目指し人の行動を継続して変化に導くには、健康やお金といった基本的な強化因子に加え、個人の目標、意向、利他の価値観など心理・社会的因子が鍵になると考えています。対話を通して個々人の多様性に合わせた効果的な行動介入法を開発していきます。
第二の目的は、エビデンスに基づく介入(evidence-based intervention、EBI)を全国に、確実に、しかも早く根付かせる方法の開発です。実装科学implementation scienceという新領域です。実装科学では、EBIの提供にかかわる人々への行動介入法の開発が中心になります。これにより、保健医療へのアクセスが難しい方や医療資源の少ないコミュニティにEBIを根付かせていきます。これは、まさに保健医療の原点でもあります。
本研究部の理念は、N-EQUITY:健康格差是正のための実装科学ナショナルセンターコンソーシアム(2019.12.設立)の基本理念と共通しています。N-EQUITYは、自らの研究の実施、もしくは研究体制構築支援を通して、疾患横断的に実装研究を推進します。これにより、EBIを実社会に根付かせる方法(実装戦略)を開発・検証し、健康寿命の延伸、健康格差解消を目指すグループです。
本研究部の設立により社会医学系研究者のコラボレーションの花が開き、日本オリジナル、世界水準の結果により健康寿命の延伸、格差是正をもたらし、更なる利他活動によりアジアや世界に展開する行動科学のハブになればと願います。
行動科学とは
行動科学とは、科学的に人間の行動を観察し、行動変容に伴う変化を測定することで、その規則性を見究め、現象を把握するための学問です。
行動科学研究部では、患者さん、ご家族、医療者などがん医療を取り巻く人の心身の健康を改善、向上することを目的に、医療情報やケアの提供方法の開発を行っています。その手法として、介入、調査、実験など行動科学的なアプローチを用いています。
実装科学とは
実装科学とは、学際的なアプローチにより、患者、保健医療従事者、組織、地域などのステークホルダーと協働しながら、EBIを、効果的、効率的に日常の保健医療福祉活動に組み込み、定着させる方法を開発、検証し、知識体系を構築する学問領域です(D&I科学研究会[RADISH]の定義による)。
行動科学研究部では、実装科学の方法論に基づき、予防・検診から支持療法、緩和ケアに至るEBIの普及と実装を「どのようにすれば進められるか」についてのエビデンスづくりを行っています。