女性なら誰もがなる可能性があるがん子宮頸がんを知ろう子宮頸がんの原因と症状
公開日:2024年10月29日
子宮は、女性の骨盤の真ん中あたりにある鶏の卵くらいの大きさの臓器で、上部の袋状の部分である「子宮体部」と下部で子宮の入り口になる細い「子宮頸部」に分けられます。子宮体部の左右には卵管があり、左右の卵巣から放出される卵の通り道となっています。一方、子宮頸部は腟に続いていて、月経血や精子の通り道になるほか、出産時は胎児が通る産道にもなります。子宮頸部の周囲には基靭帯(きじんたい)などの組織があり、子宮を支えています。
子宮は、妊娠したときに胎児を育てる器官で、子宮内膜、子宮筋層、漿膜(しょうまく)の三層からなっています。子宮筋層は平滑筋(へいかつきん)という丈夫な筋肉でできています。子宮内膜は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の作用を受けると受精卵の着床に備えて厚くなり、妊娠しなければはがれ落ちます。これを月経(一般的に生理ともいう)といい、初経から閉経まで4週間に一度の周期で繰り返されます。
子宮頸がんは、子宮頸部にできるがんのことです。子宮頸がんについて学んでいきましょう。
子宮頸がん(癌)とは
子宮頸がんは、子宮頸部にできるがんのことです。子宮頸がんの多くは、(CIN:Cervical Intraepithelial Neoplasia)や上⽪内腺がん(AIS:Adenocarcinoma in situ)といった⼦宮頸がんの前段階(前がん病変)である異形成や上皮内がんを経て、がんに進行します。子宮の入り口である腟に近い側にできたがんは、婦人科の診察や検査でも発見しやすく、早期発見・治療できれば、予後もよいことが知られています。一方で、子宮体部に近い奥側にできたがんは発見しにくく、進行してしまうと治療が難しいため、予防や早期発見がきわめて重要になります。
子宮頸がんは、若い年齢層で発症する割合が比較的高く、毎年1万人以上の女性が子宮頸がんにかかり、毎年3,000人以上の女性が子宮頸がんで亡くなっています。また、子宮頸がんになると、治療のために子宮を摘出したり、放射線治療などの影響で、妊娠・出産できなくなってしまったりするケースもあります。
子宮体部にできるがんは「子宮体がん」と呼ばれ、子宮頸がんとは区別されます。子宮体がんについては、「子宮体がん(子宮内膜がん)」のページをご覧ください。
参考 子宮体がん(子宮内膜がん)
がん情報サービスをご覧ください。
https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/index.html●
子宮頸がんの原因
子宮頸がんの多くは、性交渉(性行為)によってヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)に感染することが原因で起こります。HPVは男女問わず生涯に一度は感染するといわれている一般的なウイルスで、誰でも感染するリスクはありますが、感染したからといって必ずがんを発症するわけではありません。しかしながら女性の場合は、ウイルスが排除されず、感染が長期間続くと、一部の人には異形成といわれる前がん病変が起こり、さらに、数年以上かけて子宮頸がんに進行すると考えられています。なお、HPVは男性も感染し、肛門がんや陰茎がん、中咽頭がんなどの原因になることが知られています。
ウイルス感染以外の危険因子としては、喫煙により、子宮頸がんの発症率が高まります。
参考「HPV感染から子宮頸がんへの進行」について
がん情報サービスをご覧ください。
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/cervix_uteri.html●
子宮頸がんの症状
子宮頸がんは、異形成といわれる前がん病変の時期を何年か経てから発症します。
初期症状
異形成や初期の子宮頸がんの段階では、自覚症状はほとんどありません。
進行した症状
しかし、進行すると、月経中(生理中)でないときの出血(不正出血)や性交時の出血がみられたり、においを伴う濃い色をしたおりものや水っぽいおりもの、粘液が出ることもあります。下腹部や腰に痛みが現れたり、尿や便に血が混じるようになると、かなり進行しているケースもあります。子宮頸がんの早期発見のためにも、自覚症状がなくても定期的に検診を受け、少しでも気になる症状があれば、早めに婦人科や産婦人科、婦人腫瘍科などを受診して相談しましょう。