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国立がん研究センター

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子宮頸がんの予防にワクチンが有効ですヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて

更新日 : 2024年11月11日

公開:2024年9月13日

公費でのキャッチアップ接種は2025年3月まで

子宮頸がんは、若い年齢層で発症する割合が比較的高いがんです。そのほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)というウイルス感染によるものです。HPV感染を予防するためのHPVワクチンは現在、小学校6年生から高校1年生の女子を対象に、公費(無料)で定期接種が行われています。また、HPVワクチンは積極的な勧奨を差し控えていた期間があり、対象年齢の時期がこの期間と重なり接種機会を逃してしまった17歳から27歳の女性(1997年4月2日~2008年4月1日生まれの方)を対象としたキャッチアップ接種も行われています。公費でのキャッチアップ接種は、2025年3月まで行うことができます。接種は合計3回で完了します。接種のスケジュールなどについてご不明な点やご相談があれば、お住まいの市区町村にお問い合わせください。対象の方は、お住いの市区町村から送付されているお知らせをご覧いたくか、お手元にない場合はお住まいの市区町村にお問い合わせください。

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子宮頸がんは女性なら誰もがなる可能性があるがん

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子宮頸がんは、子宮の入り口付近(子宮頸部)にできるがんのことです。

子宮頸がんは、若い年齢層で発症する割合が比較的高く、毎年1万人以上の女性が子宮頸がんと診断され、毎年約3,000人の女性が子宮頸がんで亡くなっています。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)、国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)参照

https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html


また、子宮頸がんにかかると多くの場合で治療のために子宮を摘出したり、放射線治療などの影響で、妊娠・出産ができなくなってしまいます。

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出典:厚生労働省HPVワクチンについて知ってください ~あなたと関係のある“がん”があります~HPVキャッチアップリーフレット_第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001197481.pdf(外部サイトにリンクします)

子宮頸がんの原因となるHPV

子宮頸がんの多くは、性交渉によってヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)に感染することが原因で起こります。HPVは男女問わず生涯に一度は感染するといわれている一般的なウイルスで、誰でも感染するリスクはありますが、感染したからといって必ずがんを発症するわけではありません。

子宮頸がんは無症状のまま進行する

子宮頸がんの初期には、自覚症状はほとんどありませんが、進行すると月経中以外の出血(不正出血)や性交時の出血がみられます。においを伴う濃い色のおりもの、水っぽいおりものや粘液が出ることもあり、こうした症状があれば迷わず婦人科を受診しましょう。

子宮頸がんの治療は早期発見がカギ

治療には、手術、放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)があり、がんの進行度(ステージ)やがんの種類、患者さんの年齢や体の状態などをみながら、どの治療を行うか総合的に判断します。前がん病変や初期がん(高度異形成、上皮内がん)の段階で発見できれば、子宮頸部の一部を切除するだけで、子宮自体は残すことができ、妊娠・出産も可能です。しかし、進行してしまうと、子宮を摘出したり、周辺の臓器を切除しなければならない場合も多く、放射線治療や抗がん剤治療が行われるほか、その両方を同時に行うこともあります。

予防に欠かせないHPVワクチン

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子宮頸がんの予防には、HPVの感染を防ぐことが重要であり、そのために有効なのがHPVワクチンの接種です。
HPVワクチンは、他のワクチンと同じように、有効性と安全性が認められており、早い年齢で接種するほど、高い感染予防効果が期待できます。

9価ワクチンで80~90%のHPV感染を予防

HPVワクチンには、防ぐことができるHPVのタイプにより、2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード)の3種類があります。ワクチン接種が普及しているスウェーデン、イングランド、デンマークなどの国からは、ワクチン接種世代で子宮頸がんが90%近くも減ったことが報告されています。日本では2023年度から開始された9価ワクチンにより、子宮頸がんの原因の80~90%を占める、7種類のHPVの感染を予防することができます。接種できるワクチンは医療機関によって異なる場合がありますので、予約時にご確認ください。

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出典:厚生労働省HPVワクチンについて知ってください ~あなたと関係のある“がん”があります~HPVキャッチアップリーフレット_第3版
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001197481.pdf(外部サイトにリンクします)

一般的な接種スケジュール

HPVワクチンは、初めての性交渉前に接種することが望ましいといわれています。そのため、日本では現在、小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に、2価・4価・9価HPVワクチンの定期接種が無料(公費助成)で行われています。
ワクチンの接種回数は同じワクチンを合計3回(9価ワクチンは1回目を14歳以下で受ける場合は2回)接種します。

HPVワクチンを互いに取りかえて接種した場合の予防効果は確認されていないため、同じワクチンを決められたスケジュールで決められた回数受けてください。

なお、サーバリックス®は、特別な事情がある方に限り、異なる接種スケジュールが可能な場合があります。その場合は、事前に医師にご相談ください。

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出典:厚生労働省 HPVワクチンの接種を逃した方に接種の機会をご提供します
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000918718.pdf(外部サイトにリンクします)

高校1年生の方へ

2024年度に16歳になる方は、定期接種の最終年度にあたります。接種は合計3回です。接種のスケジュールなどについてご不明な点やご相談があれば、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

出典:厚生労働省 高校1年相当の女の子と保護者の方へ
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001277506.pdf(外部サイトにリンクします)

キャッチアップ接種の対象の方へ

HPVワクチンは、対象年齢の女子への積極的な勧奨を控えていた期間がありましたが、安全性が確認され、2022年4月より、勧奨が再開されました。積極的な勧奨が控えられていた時期が対象年齢と重なり、接種機会を逃してしまった方を対象とした公費でのキャッチアップ接種が行われています。
キャッチアップ接種の対象は、1997年4月2日~2008年4月1日生まれの女性で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回していない方です。

公費によるHPVワクチン キャッチアップ接種は2025年3月まで

HPVワクチンのキャッチアップ接種が公費で行えるのは、2022年4月~2025年3月までです。
接種は合計3回で完了します。接種のスケジュールなどについてご不明な点やご相談があれば、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

HPVワクチン接種のリスク

HPVワクチン接種後は、他のワクチンと同様にさまざまな症状(副反応)が出ることがあります。接種部位の痛みや腫れのほか、頭痛や発熱、吐き気、めまいなどの全身症状が起こる場合もあります。気になる症状があれば、接種した医療機関に相談してください。また、過去に、予防接種で腕の痛みやしびれが長引いたり、アレルギーを起こしたことがある人は、接種前に申し出るようにしましょう。

20歳からは定期的に子宮頸がん検診も受けましょう

子宮頸がんは、ワクチンだけでは予防できない種類のHPVが原因となることもあり、HPV以外の原因が関係していることもあります。そこで20歳以上の人は、2年に1回は子宮頸がん検診を受け、早期発見に努めることが大切です。子宮頸がん検診では、がんの手前である前がん病変も発見でき、早期に適切な治療を行うことで進展を防ぐことができます。お住まいの市区町村から検診の案内が届いたら、積極的に子宮頸がん検診を受けるようにしてください。

子宮頸がんは、HPVワクチン接種による予防と子宮頸がん検診による早期発見で、子宮頸がんの発症や子宮頸がんで命を落とすことを予防できます。わからないこと、不安なことがあれば、かかりつけ医などにご相談ください。

がんの解説「子宮頸がん」

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参考情報

国立がん研究センターが提供する子宮頸がんに関する情報を紹介します。

監修

国立がん研究センター 中央病院 婦人腫瘍科 科長 石川光也

石川 光也 (いしかわ みつや)

1996年慶應義塾大学卒業。大学病院での研修の後、国立埼玉病院、東京歯科大学市川総合病院、当院婦人腫瘍科医長などを経て、2023年より現職。

「一生涯にがんになる確率は男性のほうが高いのですが、25歳から55歳までに限定すると、女性のほうががんの罹患率は高くなっています。 中でも、仕事や育児などに忙しい現役世代の女性に多いのが、子宮頸がんです。子宮頸がんは予防できるがんですので、このページでHPVワクチンについて知っていただき、ご自身や大切な娘さんの未来を守るための行動を起こしてください。」

  • 専門医・認定医資格など:
    日本産科婦人科学会 専門医・指導医
    日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医・指導医
    日本臨床細胞学会 細胞診専門医
    日本がん治療認定医機構  がん治療認定医
    日本遺伝性腫瘍学会 遺伝性腫瘍専門医
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