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健康情報についての全国調査(2020年)(INFORM Study 2020)
更新日 : 2024年3月13日
2023年に実施している「健康情報についての全国調査(2023年)」についてはこちらをご覧ください。
【お知らせ】本研究プロジェクトに関する個別研究テーマに調査結果が追加されました。
調査の概要
国民の皆さんにとって有益ながん予防や医療に役立つ情報を「誰に」「どうやって」届けるかという、「効果的な情報伝達方法」を明らかにするための全国調査です。
健康行動の背景要因の解明
アンケート調査によって、人々の喫煙や身体活動などの生活習慣と、そうした行動に影響を与える様々な背景要因(予防や検診についての知識、がんについてどう思うか、仕事や年収などの社会経済状況など)を調べます。また、人々の健康情報へのアクセスに関係する要因(どのように健康に関する情報を得ているか、誰からの情報なら信頼できると感じているか、健康情報を得る際や健康の自己管理にソーシャルネットワーキングサービスを利用するか)についても調査します。これらは過去の研究で、がんや健康情報の発信を進める上で重要とされた項目です。
「誰に」届けるのか?
どのような背景要因(特徴)を持つ人たちが健康行動を実践していないのかを明らかにします。背景要因は、どんなメッセージで健康情報を伝えるかを考える上でも重要となります。
「どうやって」届けるのか?
上記で明らかになったがん予防や医療の情報をよりよく届けたい対象へ、届きやすく信頼される伝達方法を特定します。
調査の設計
本調査は、国民を代表する情報を得られるように設計されました。
2019年に行った予備調査では、20歳以上の全国民からランダムに選ばれた300人を対象に質問票を郵送し、44%の方々から回答のご協力を得ることができました。性別や年代別に見ても目標回答割合としていた35%以上の回答率が得られ、アンケートを用いた郵送法による全国調査としては望ましい結果と判断されました。また、質問票の回答から内容の修正を行いました。
2020年8月には同様に選ばれた1万人を対象として本調査を実施しました。質問票回収後にデータクリーニング(データ解析の対象として有効な回答票を決める作業)等を行った結果、目標値35%を超える37%の回答割合が得られました(図1)。性別では男性(34 %)より女性(40 %)で回答割合が高く、年代毎にみると50歳台(男性:35 %・女性:46%)や60歳台(男性:43%・女性:49%)で回答割合が高くなりました(図2)。
調査の設計についての詳細は、以下の 「健康情報についての全国調査(INFORM Study)の研究目的・調査設計に関する研究論文」に記載しています。
日本語による【論文概要】はこちら。 【調査票PDF】はこちら
Otsuki A, Saito J, Yaguchi-Saito A, Odawara M, Fujimori M, Hayakawa M, Katanoda K, Matsuda T, Matsuoka Y J, Takahashi H, Takahashi M, Inoue M, Yoshimi I, Kreps G L, Uchitomi Y, Shimazu T. A nationally representative cross-sectional survey on health information access for consumers in Japan: A protocol for the INFORM Study. World Med. & Health Policy, 2022;14 :225–275. https://doi.org/10.1002/wmh3.506
単純集計結果
単純集計表(xlsxファイル形式)と報告書を公開しました。(2022年11月30日)
集計表 | 【Aパート】 | 【Bパート】 | 【Cパート】 | 【Dパート】 |
【Eパート】 | 【Fパート】 | 【Gパート】 | 【Hパート】 | |
【Iパート】 | 【Jパート】 | 【Kパート】 |
本研究プロジェクトに関する個別研究テーマ
現在、国立がん研究センターおよび共同研究機関(本ページ下部に機関名を記載)の研究者が各研究課題に基づいてデータ解析、論文執筆を行っており、学術成果として公表予定です。
- マスメディアを活用したがん予防情報普及の検討 -情報源への信頼に着目して-
【NEW】結果論文「がん情報源としてのマスメディアへの信頼は一定程度あり、普段の利用時間と関連」 - 地域参加・つながりとがん検診受診の関連
- 日本において患者に認識されている医療者のコミュニケーションの質
【NEW】結果論文「医療者が患者中心のコミュニケーションを行なっていると認識している患者の割合は1/3未満」 - 日本における(がん)患者の援助希求行動
- 日本における子宮頸がん検診受診行動とヘルスリテラシーの関連
- 地理的・社会経済的要因によるヘルスリテラシーの格差
【NEW】結果論文「ヘルスリテラシーは、中部地方よりも関東地方で高く、主観的健康観との関連は西日本よりも東日本でより顕著」 - 我が国におけるインターネット上の健康情報へのアクセスの実態と関連要因
【NEW】結果論文「オンラインでの健康情報の探索、SNS利用には慢性疾患の種類、性、年齢、教育歴、ヘルスリテラシーが関連」 - がん予防に関わる食行動に対するヘルスリテラシー・食知識と食環境
- 加熱式たばこの有害性の認識の関連要因
【NEW】結果論文「男性、39歳以下、大学卒未満のたばこ非使用者では、加熱式たばこの有害性を低く認識」 - 加熱式たばこに関する職場内禁煙施策および家庭内禁煙ルールの実態および支持
- 大腸がん予防・がん検診の知識と大腸がん検診受診との関連
- がん検診の利益・不利益に関する受診者側の認識の実態とその要因
- がんの経験と検診受診行動との関連
【NEW】結果論文「自分自身や、家族や友人ががんを経験した人はがん検診の受診率が高い」 - がんに対する信念と予防行動の関連
- がんのリスク認知と予防・検診に関わる知識・受診行動との関連
- 多疾患併存とがんに関する情報取得状況との関連
- 性別、年齢、社会経済的地位とHPVの認識・知識との関連
【NEW】結果論文「HPVについて聞いたことがある人は全体の33.9%」 - 日本人のがん関連情報探索行動における課題の評価
- 社会経済的・地理的要因による情報チャネルへのアクセス格差
研究費
国立がん研究センター研究開発費
「日本人におけるがんに関する健康情報へのアクセス、IT利用、健康行動についての調査」
研究課題番号:30-A-18(2018年度~2020年度)、2021-A-19(2021年度~2023年度)
研究代表者:島津太一
研究組織
- 代表研究機関
国立がん研究センター
- 共同研究機関
お茶の水女子大学、慶應義塾大学、帝京大学、東邦大学、武蔵野大学、明治大学、東京都健康長寿医療センター研究所、京都大学、ヘルシンキ大学、相模女子大学、東北大学
- 運営事務局
国立がん研究センター がん対策研究所「健康情報についての全国調査」事務局