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診療について
小児腫瘍科では、発症する年齢を問わず、主に小児期に発生する悪性腫瘍を治療対象としています。小児がんの約3分の1が白血病・リンパ腫、残りの半分近くが脳腫瘍で、脳腫瘍以外の小児固形がんの多くは、身体の深部から発生する「肉腫」、または胎児性組織が悪性化した「芽腫」と呼ばれるものです。小児がんは下記に示すように非常に多岐にわたり、一つ一つの疾患の専門家は、国内では限られた施設にしか存在しません。当科はまれな肉腫や小児に少ない「癌」についても豊富な経験を有しております。診断や治療は小児腫瘍科のみならず、さまざまな診療科と連携して迅速に進めております。
拡大図は関連ファイルをご覧ください。
小児腫瘍科は、初発時の標準治療開発の中心的役割を担っているだけでなく、再発治療の開発も重点的に進めています。当科は再発・難治の小児がん患者さんの診療を日本国内でも最も多く行っている施設の一つです。この豊富な治療経験を活かし、標準治療ののちに再発された患者さんや治癒の難しい患者さんに対して、東病院の小児腫瘍科が主導する臨床試験や治験も含めた多様な治療選択肢を提示いたします(次項「研究について」をご参照ください)。
治療内容のみならず患者さん・ご家族の療養環境についても配慮しており、治験参加の場合には一定の制限がありますが、臨床試験や通常治療においては、欧米では一般的となっている「家庭を重視した療養環境」に取り組んでおります。「病前と変わらず」を目標に、お家の近くのクリニックの先生との病診連携を図り(東日本外来小児科学研究会と連携し共診ネットワーク形成(外部サイトにリンクします))、地元の学校の先生とも連携した学習・生活連携などを進めております。1回の入院期間は短く、抗腫瘍薬投与期間のみの入院を原則としておりますので、地元の学校に通学しながら部活や受験勉強などに支障なく治療を進めている患者さんも多くいらっしゃいます。また、社会生活を維持しながら治療を進める上で、治療に伴う外見的な変化に対するサポートも実施しており、治療中も「発病前と変わらない生活」を送ることができるようお手伝いします。
診断から治療開始まで
迅速な診断ののち、特に思春期のお子さんや生殖年齢の患者さんに対して妊孕性(にんようせい)の温存を考慮し、治療開始前に連携病院と相談の上、卵巣凍結保存や精子保存を行ったり、輸血が必要となる患者さんの感染予防を目的としたB型肝炎ワクチン接種など、可能な限りコーディネートします。
治療開始
- 診断をもとに、標準治療を骨格として治療を進めます。
- 診断時から転移を有する患者さん、標準治療を行っても効果が得られない患者さんの場合には標準治療が確立していない場合が多く、最新の情報をもとに適切な治療選択肢を提示いたします。化学療法、手術、陽子線を含む放射線治療、免疫療法、治験、臨床試験など、東病院でしかできない治療を含め、幅広い選択肢のなかから治療を提供いたします。
療養環境
- 治療開始前の生活を守り、治療終了後も社会生活を継続しやすい療養環境を提供いたします。
- 患者さんの家族や兄弟へのサポートを積極的に実施しています。
- 心理士などと連携し心理面にも十分配慮しています。患者さんが治療をスムーズに行えるようサポートを実施しています。
- 他院で治療中の患者さんに対しても、地元で安心して治療継続いただけるようサポートいたします(セカンドオピニオン外来)。
治療終了後、再発時
- 晩期合併症の有無も含め、定期的な経過観察を行います。当センター医師は二次がん、三次がんの治療経験も有しており、適切に対応いたします。
- 妊孕性温存、妊娠・出産に関する相談については、小児内分泌、小児がん、胎児診療科、産婦人科、泌尿器科などの専門家が集結し形成したネットワークから情報提供しています(厚生労働科学研究補助金がん対策推進総合研究事業 小児・若年がん長期生存者に対する妊孕性のエビデンスと生殖医療ネットワーク構築に関する研究(外部サイトにリンクします))。
- 再発された場合には、新規薬剤、新規治療など東病院でしか受けることのできない治療も含め、豊富な治療選択肢のなかから最善と思われる治療を提示いたします。