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縦隔腫瘍に対するロボット手術

縦隔腫瘍へのアプローチ法

縦隔腫瘍に対するアプローチ法は、胸骨を縦に切る胸骨正中切開(きょうこつせいちゅうせっかい)法が主流でした。術野が十分に確保出来る反面、創も大きく術後の痛みを伴うことが難点でした。

しかし縦隔腫瘍にも胸腔鏡手術が導入されることで、側胸部から病変部へアプローチすることが可能になりました。従来の胸骨正中切開と比較し、痛みも少なく創も小さいというメリットはありますが、視野が十分ではなく、対象は小型の縦隔腫瘍と限定されました。

また剣状突起(けんじょうとっき)下からアプローチする方法も開発され、視野は正中切開と同様に良好となりましたが、腫瘍サイズが限定されること、一つの穴から手術器具を用いるので動かしづらいという問題が依然残りました。

縦隔腫瘍に対するロボット手術

肺癌と同様に、縦隔腫瘍に対しても2018年4月からロボット手術は保険適応となり、当院でも積極的に縦隔腫瘍に対して取り入れています。

ロボット手術は胸骨正中切開、鏡視下手術のそれぞれのメリットを取り入れたアプローチ法になります。胸骨正中切開と同様の視野を得られ、鏡視下手術と同様の創のサイズ、痛みの軽減、さらに鏡視下手術のデメリットであった手術器具の可動制限というデメリットを解消したアプローチ法です。サイズの大きい縦隔腫瘍にも対応可能で、多くの縦隔腫瘍に用いる事ができます。

胸骨正中切開と比較し創も小さく痛みも少ないことから、術後4日で退院となり早期に社会復帰される患者さんも多々おられます。根治性を損なわず、生活への影響を最小限にする手術です。

RATS表

正中切開  RATS


胸骨正中切開

  • 創は胸骨の上からみぞおちまで縦に切る

ロボット手術

  • 創は1cm程のサイズで4カ所
  • 術者がロボットのアーム3本とカメラを自ら動かして手術を進めます。術者自身で全ての操作を行うので、スムーズに手術を行う事が可能になります。

更新日:2023年3月1日