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RI(核医学)検査
RI検査とは
RI検査はRI(Radio Isotope:放射性同位元素)を用いた「放射性医薬品」を体内に投与して、疾患の診断を行う検査です。体内に投与された放射性医薬品は、特定の組織や臓器に選択的に集積する性質があります。RI検査は体内に集積したRIから放出される微量な放射線を専用の装置で撮影することで、細胞の機能や代謝情報を画像化・数値化することができ、良悪性の鑑別・病期決定・治療効果の判定などに用いられています。RI検査は標的となる組織や臓器によって、使用する放射性医薬品や装置を選択しています。当院ではPET/CT装置を用いた18F-FDG PET/CT検査、SPECT/CT装置を用いたシンチレーション検査を行っています。
当院のRI検査部門では診療放射線技師だけでなく、放射線診断医、薬剤師、看護師など所属部署の垣根を越えて、チーム一丸となってRI検査を安全かつ高精度な技術で提供できるよう心がけています。
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18F-FDG PET/CT画像
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99mTc-MDP SPECT/CT画像
国立がん研究センター東病院のRI装置紹介
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GE ヘルスケア PET/CT装置
Discovery IQ -
シーメンスヘルスケア PET/CT装置
BIOGRAPH Vision
シーメンスヘルスケア SPECT/CT装置
Symbia Intevo Bold
18F-FDG PET/CT検査
PETとはPositron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影)の略で、微量な放射線を放出するポジトロン核種(18F)を組み込んだ放射性医薬品(18F-FDG)を体内に投与し、その体内分布を画像化する検査です。PET/CT装置ではPET画像(代謝・機能情報)とCT画像(位置・形態情報)を同時に撮影できるため位置合わせの精度が向上し、またCT画像を用いてポジトロン核種から放出される微量な放射線の体内吸収を補正することで、定量性の優れた画像を短時間で撮影することができます。18F-FDGはブドウ糖(グルコース)と同様に、体内に入ると細胞内に取り込まれますが解糖されず細胞内に蓄積されるため、糖代謝が活発なところに強く集積します。がん細胞は正常細胞と比べて糖代謝が活発であることが多く、18F-FDG PET/CT検査を行うことでがん細胞の状態や位置の詳細な情報を得ることができます。
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CT画像
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18F-FDG PET/CT画像
18F-FDG PET/CT検査の流れ
受診される方は「検査に関する注意事項」を良くお読みください。検査終了まで約2時間かかります。
18F-FDG PET/CT検査の注意事項
- この検査ではX線CTと放射性医薬品による放射線被ばくが生じます。
- 狭いところが苦手(閉所恐怖症)の方は事前にお申し出ください。
- 仰向けで安静に寝ることが難しい方(30分程度)は事前にお申し出ください。
- 検査当日6時間前からは、糖分を含む飲み物、食べ物を摂らないようにしてください。
(ジュース、牛乳、キャンディ、ガム、タブレット等の菓子類含む) - 当日は糖分を含まない水、お茶であれば飲んで頂いて構いません。
- 糖尿病薬の服用やインスリン注射されている方は、事前に担当医師にお申し出ください。
- 授乳中または妊娠の可能性のある方は必ず申し出てください。
- 検査前日及び当日の激しい運動は避けてください。
- 検査当日は金具のない下着を着用してください。
シンチレーション検査(SPECT/CT検査)
シンチレーション検査とは、微量な放射線を放出するシングルフォトン核種を組み込んだ放射性医薬品を体内に投与し、RIの体内分布を平面的に収集したプラナー(平面)画像や多方向から収集したSPECT(断層)画像を撮影する検査です。
SPECT画像はCTやMRI画像と比較して分解能や位置・形態情報が劣る欠点がありますが、SPECT/CT装置を用いることでSPECT画像(代謝・機能情報)とCT画像(位置・形態情報)を同時に撮影できるため、従来のSPECT検査と比べて診断精度が高く、定量性の優れた画像を撮影することができます。
国立がん研究センター東病院では、主に腫瘍の骨転移を調べる骨シンチグラフィ、リンパ節転移の生検のためリンパ節の位置を調べるセンチネルリンパ節シンチグラフィ、特定の腫瘍の有無・状態を調べる腫瘍シンチグラフィなどがん診療に特化したシンチレーション検査を行っています。
骨シンチグラフィ検査
全身の骨の代謝が盛んな部位(例えば、骨転移、炎症、骨折、打撲など)に特異的に集まる放射性医薬品(99mTc-MDP/HMDP)を体内に投与し、SPECT/CT装置を使って放射性医薬品の分布を画像化する検査です。がんが転移した骨は代謝が活発になることがあり、骨シンチグラフィを行うことで全身の骨転移の有無、程度を容易に検査することができます。全身のプラナー収集に加えてSPECT/CT検査を行うことでより高精度な骨病変の診断が行えます。
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骨シンチ 全身プラナー画像
(正常症例) -
骨シンチ 全身プラナー画像
(骨転移症例)
骨シンチ SPECT MIP画像
(骨転移症例)
骨シンチグラフィの流れ
受診される方は、下記「骨シンチグラフィ検査の注意事項」をよくお読みください。ただし、同日に骨シンチグラフィ以外の検査がある方は、当該検査の注意事項に従ってください。骨シンチグラフィの注意事項
- この検査は放射線医薬品を用いるので、放射線被ばくがあります。
- 授乳中または妊娠の可能性のある方は、必ず申し出てください。
- 食事の制限はありません。同日に他の検査を予定している場合は、その検査の食事の指示に従ってください。
- 検査当日は金具のない下着を着用してください。
- 注射後は、十分に水分をとるように心がけてください。
- 注射後、薬剤が身体に行き渡る3~5時間後に検査を行います。
- 膀胱内の尿が障害陰影となるため、検査の直前に必ず排尿してください。
- 仰向けでベッドに寝て検査を行います。約30分の仰向けが難しい方は事前に担当医師にお申し出ください。
- 装置が身体のすぐ近くまで近づいて検査を行いますので、少々の圧迫感を感じます。閉所恐怖症の方は予めお知らせください。
- 仰向けで安静に寝ることが難しい方(30分程度)は事前にお申し出ください。
RI検査のよくある質問
Q1.食事や飲み物は摂っても大丈夫ですか
- A1. 食事の制限はRI検査の種類によって異なります。
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- 18F-FDG PET/CT検査は糖の代謝を調べる検査ですので食事制限が正しくなされていないと正確な検査が行えません。注射6時間前から、食事や糖分の入った飲み物の摂取を控えていただきます。
- 骨シンチ検査での食事の制限はありません。
- 当日にCTやMRIなど他の検査がある場合はその検査で指示された事項に従ってください。
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Q2.小さな子どもがいますが、検査後は普段どおりに接して大丈夫ですか
- A2. 検査後12時間程度は接触も控えるようお伝えしております。
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- 授乳中の方は検査終了後24時間の授乳を避けてください。
- その他の検査では対応も異なりますので主治医に確認してください。
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Q3.薬は普段通り服用しても大丈夫ですか
- A3. 薬の服用制限はRI検査の種類によって異なります。
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- 18F-FDG PET/CT検査では血糖値をコントロールする糖尿病薬やインスリン注射を普段から服用されている方は事前に担当医師にお申し出ください。
- その他の検査での薬の服用制限は主治医に確認してください。
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Q4.注射してすぐ検査を行ってほしい
- A4. 注射してすぐに検査をすることはできません。
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- RI検査で投与する薬剤は体内に行き渡るまでに時間を要します。
- 注射時に担当者から検査の開始時間、待機時間中の過ごし方の注意事項をお伝えしますので、従っていただくようお願いします。
- 18F-FDG PET/CT検査では投与後1~1.5時間ほど待機室で安静にお持ちいただいております。その間は他の検査をお受けになることや外に出ることはできません。
- 骨シンチグラフィ検査では投与後約3~5時間ほどお待ちいただきます。この間はご自由にお過ごししていただいて問題ありません。
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Q5.検査をキャンセルしたい
- A5. 速やかに病院に連絡いただきますようお願いします。
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- RI検査で投与するお薬は有効期限が大変短く、患者さんの予約に合わせて発注・準備をしております。
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Q6.検査が終わった後の制限はありますか
- A6. 食事や入浴、運転、運動等に制限は基本的にはありません。
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- 他の検査や医師の指示等があれば、指示された事項に従ってください。
- 体内に投与された放射性医薬品の多くは時間とともに減衰し、また尿などとともに排出されるため、検査後数日でほとんど影響はなくなります。
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