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子宮体がんの治療について
子宮体がんとは
子宮の内側に存在する子宮内膜から発生するがんで、子宮内膜がんとも呼ばれます。内膜は生理によって剥がれ落ちて更新されるため、生理がある年代の患者は比較的少なく、生理が終わった50~60歳代も最も多くなるという特徴があります。また一般的にはふくよかな体型の方に多いことも分かっています。
出典:公益社団法人日本産科婦人科学会ホームページ
病期(ステージ)について
治療方法を決定するために一般的な婦人科診察(膣鏡診・内診・経腟超音波検査)に加え、子宮内膜の病理組織学的検査や骨盤MRIや胸腹CTなどの画像検査を行います。手術を施行した方では最終的に術後の病理組織学的診断にて病期(ステージ)が決定されます。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス
病期(ステージ)ごとの治療法
IA期
子宮体がんの多くを占める早期子宮体がん (IA期) に対しては、ロボット手術、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術による、身体への負担が少ない低侵襲手術を積極的に行っています。とくに当院では初診時から4週以内の手術を目標とし、先ずは病巣のある子宮と左右附属器(卵巣・卵管)のみを低侵襲手術にて摘出することをお奨めしています(図:参照)。手術合併症となる下肢浮腫を出来る限り無くすため、初回手術ではリンパ節郭清をお奨めしていません。退院は術後4日目の方がほととんどです。
その後摘出した子宮と両側附属器を病理検査し、リンパ節転移の可能性が高い(リンパ節転移があるとIIIC期となります)と考えられる患者さんへは、後日あらためてリンパ節郭清を追加手術するべきか、患者さんのご希望もお聞きし検討いたします。リンパ節郭清手術も腹腔鏡用いた低侵襲手術が可能ですので、術後1週間以内で退院する方が多いです。リンパ節郭清の上でリンパ節転移が無いことを診断出来れば、再発の可能性は低いため、術後の化学療法を省略する選択肢も検討できます(図:参照)。化学療法による副作用で悩む方を出来る限り少なくしたい思いからの治療方針です。
IB~IVA期
子宮筋層1/2以上がんが浸潤しているIB期や、子宮頸部へ浸潤しているII期を強く疑う場合は、低侵襲手術の適応がなく、開腹手術を用いた手術療法をお奨めしています。さらに子宮を超えて、卵巣・卵管や後腹膜リンパ節(骨盤リンパ節・傍大動脈リンパ節)への転移を疑うIII期症例も開腹手術が適応となります。
術式は子宮と両側附属器(卵巣、卵管)の摘出に加えて、リンパ節郭清(かくせい)(骨盤~傍大動脈)そして大網(だいもう)切除を行います。画像検査(CT,MRI)では分からない微小な転移の有無を調べるためであると同時に、転移・再発しやすい臓器をあらかじめ切除しておくことで、将来的な再発を減らすために推奨されている術式です。
腸管や膀胱、骨盤腹膜に転移がある場合も、切除可能な場合は積極的に手術治療を行っております。
IVB期
がんが腹腔内へ播種(はしゅ)していたり、肝臓や肺に転移のあるIVB期症例に対しては、原則的に抗がん剤による化学療法を行います。ただし転移している部位を含め、腫瘍(がん)が全て切除可能と判断した場合には、手術治療を選択することもあります。