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診療について
1. 頭頸部がんの治療方針決定
頭頸部がんは、頭頸部領域から発生したがんの総称であり、様々な部位があり、部位毎に治療方針は大きく異なります(国立がん研究センターがん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/index.html) 。
頭頸部がんの組織型は、約90%が扁平上皮がんです。そのため、頭頸部扁平上皮がんを中心に数多くの臨床試験が実施され、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる「より良い 治療」として推奨できる標準治療が確立してきました。一方、それ以外の組織型は稀であるために、大規模な臨床試験は実施されず、全く標準治療が確立していません。
がんの大きさ、周囲組織への拡がり(浸潤)、頸部リンパ節転移、遠隔転移の有無を加味したステージ(臨床病期)によっても治療方針が異なります。
頭頸部がんの治療決定する上で、他のがんと同様に、組織型、原発部位、ステージ、年齢、基礎疾患、臓器機能、全身状態を加味しますが、根治的外科切除の適応、機能温存の希望という頭頸部がん特有の因子も加味する必要があります。
根治的外科切除の適応がない場合は、非外科的治療が選択されます。頸動脈浸潤あるいは頸椎浸潤など技術的に外科的切除困難であること以外にも、両側頸部リンパ節転移(N2c), 6cm以上の頸部リンパ節転移(N3)は、外科切除しても予後不良であることから、根治的外科不能と判断されることもあります。外科切除で著しい機能障害を来す場合も根治的外科不能と判断されます。例として、進行した中咽頭舌根がんに対して、舌喉頭全摘を実施すると、嚥下できないために経口摂取困難となり、一生胃瘻などの経管栄養が必要になります。
頭頸部領域には、我々が生きていく上で、社会的生活を行う上で、重要な機能が集約しています。声、咀嚼、嚥下、嗅覚、味覚、視力、容貌などが、治療に伴って、機能が障害あるいは失われてしまうリスクがあります。よって、治療後の機能障害、患者さんの価値観、容貌の変化を加味した治療方針決定が必要になります。
2. 当院における治療方針決定プロセス
当院に紹介された後に、組織型、原発部位、ステージ、基礎疾患、臓器機能、全身状態を確認するとともに、頭頸部がん合同カンファレンス(頭頸部内科、頭頸部外科、放射線治療科、形成外科、放射線診断科、歯科の各医師が参加)にて、根治的外科切除の適応を判断し、患者さんの機能温存の希望を加味した上で治療方針を決定しています。
3. 部位・ステージ別の治療法と当院での治療
部位別、ステージ別の治療法を示します(図1)。基本的にステージI、IIであれば、外科切除、放射線治療単独で治癒を目指すことができます。しかし、ステージIII以上の進行がんになると、より高い治療効果を目指して、外科切除、放射線治療、抗がん薬などの薬物療法を組み合わせる集学的治療が必要になります。