研究について

国立がん研究センターでは質の高いがん治療を国民に提供するとともに、先進的な治療法を積極的に開発・応用する責務もあります。将来の標準治療法を決めるためには臨床試験を行い、いくつかの治療法の優劣を調べる必要があります。当科はJCOG（日本臨床腫瘍研究グループ）の一員として多施設共同の臨床研究や単施設での臨床研究などを主導、あるいは参加協力して、得られたエビデンスを活かしたがん治療成績の向上に努めています。

またより安全で適正な手術を目指し、手術手技、手術術式、術後管理の改良する研究も精力的に行っています。

実施中の臨床試験（2023年8月時点）

1. 個別化T細胞受容体遺伝子導入T細胞療法の臨床応用を目指した肝胆膵領域がんにおけるネオアンチゲンおよびそれを認識するT細胞受容体スクリーニング
2. 切除可能肝細胞癌に対する陽子線治療と外科的切除の非ランダム化同時対照試験（JCOG1315C）

3. BRAF V600E変異を有する切除可能大腸癌遠隔転移患者に対する周術期化学療法としてのエンコラフェニブ＋ビニメチニブ＋セツキシマブ併用療法の有効性及び安全性を評価する多施設共同第II相臨床試験(NEXUS試験）

4. 切除可能な大腸癌肝転移及びその他の遠隔臓器転移に対する遺伝子異常に基づく個別化周術期治療の開発を目的とした多施設共同研究（PRECISION試験）

5. 肝細胞癌患者の血液循環腫瘍DNAのゲノム・エピゲノム統合解析（COSMOS-HCC試験）
6. 切除可能胆道癌に対する術前補助化学療法としてのゲムシタビン＋シスプラチン＋S-1（GCS）療法の第III 相試験（JCOG1920試験）
7. 高齢者切除可能膵癌に対する術前ゲムシタビン＋S-1療法と術前ゲムシタビン＋ナブパクリタキセル療法のランダム化比較第III相試験（JCOG2101C試験）
8. 切除可能膵癌に対する腹腔鏡下膵体尾部切除術の開腹膵体尾部切除術に対する非劣性を検証するランダム化比較第III相試験（JCOG2202試験）
9. 胆道癌患者の血液循環腫瘍DNAのゲノム・エピゲノム統合解析（COSMOS-BTC試験）

 これらの研究に関しては患者さんへの十分な説明のもとに、ご理解・ご協力をお願いしながら進めております。