がんサバイバーシップガイドラインの提言と普及・利活用に関する研究

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がんサバイバーシップとは

がんの診断技術や治療方法が進歩し、生命予後は大きく変わってきました。がんの既往をもちながら、生活している人々も著しく増加しています。このような「がん治療の体験者」が増えるとともに、治療後の生活を送る上での特有の課題が次第にみえてくるようになりました。

がん治療の進歩は確かにある一方、がん治療でまったく無害なものもないのが現状です。そのため、がんの体験者とその家族の多くは、がんの治療後にも、治療に関連した影響を続けて受けています。その中には、疲れやすさやだるさなどの治療の有害事象もありますし、生活を送る上での経済的な問題もあります。また、「がんが再発するのではないか」との不安の付き合い方や、がんという体験を踏まえた価値観の変化もあります。

このようながんの治療後の生活をどのようにとらえるのか、その支援・ケアのあり方をどのように考えたらよいのか、を検討するために、「がんサバイバー」という考え方が提示されるようになりました。

5年10年と続く治療後の生活を長い目でみると、診療の面でもがんの再発を監視するだけではなく、他の疾患の予防や管理も同時に進める必要が出てきます。そのなかには、治療で落ちた身体機能を回復させるためのリハビリや栄養も入ります。他の部位にがんが生じる二次がんのことを知ったり、治療で用いた薬剤の影響が心臓等に出てこないかを監視することも重要です。多くの場合、がん治療医とかかりつけ医が、診療に当たっています。両者ともにがんのサバイバーシップを理解・共有したうえで、その役割を明確にし、分担することも重要です。

ここでは、高齢者診療とも一部重複するサバイバーシップの診療・ケアを実装することを目標に、多領域の専門家が集まり、サバイバーの実態把握から支援のありかたまでを一貫して検討することを目指しています。特にわが国においては、サバイバーに関する基礎的データがほとんどないのが実情です。その収集を進めるとともに、関連学会と連携してガイドラインの策定を進めています。

資料

お問い合わせ

国立がん研究センター 東病院 精神腫瘍科
電話番号:04-7134-7013

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更新日:2024年12月10日