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診療について

診療内容

放射線治療は悪性腫瘍の治療の根幹となる治療法のひとつであり、当科では当院の全科を受診される患者さんを対象にして、疾患の種類や状態に応じた様々な放射線治療を行っています。当科の特徴は、放射線治療医が一人の患者さんの治療にかかわる他の外科医、内科医、精神科医、緩和治療グループ、ソーシャル・ワーカーらからなる医療チームとの緊密な連携の中で治療の計画・実施・経過観察をおこなっていることです。色々な治療法の中から放射線治療を適確に選択し、患者さんに応じて他の方法(手術、化学療法、ホルモン療法など)を適切に組み合わせて治療することを目指しています。

臓器や機能の温存を目指した、放射線治療と化学療法を組み合わせた治療法を、患者さんの状態に応じて積極的に取り入れています。機能的・整容的に重要な頭頸部、食道、直腸などの骨盤臓器、乳腺などに発生した進行がんに対して、化学放射線治療を用いた臓器・機能温存治療をチーム医療の形で実施しています。血液腫瘍に対する同種造血幹細胞移植の前処置として、全身照射も開始しております。2021 年7 月より、婦人科がんに対する小線源治療が開始され、当院での治療可能疾患の幅がさらに広がりました。子宮頸がんに対する小線源治療では、通常の腔内照射だけではなく組織内照射も行っており、患者さんひとりひとりに合わせた治療を行っております。また、治療時に鎮痛薬を使用することにより、除痛をした状態で、患者さんの負担を軽減できるように外来での治療を行っております。

また、I/II期肺がん、5センチメートル以下の肝細胞がん、原発巣が制御されており、他に転移のない骨転移に対して、高線量を数回に分けて照射する体幹部定位放射線治療(SBRT)も実施しており、より高精度な治療も行っております。また、3センチメートル以下、4か所までの脳転移に対する定位手術的放射線治療(SRS)も導入されております。肺がん、膵臓がんでも標準治療として、あるいは新しい治療法の開発に向けた臨床研究の一部として化学放射線治療を取り入れています。

前立腺がん、進行した頭頸部がんや食道がん、肺がん、子宮頸がん、直腸癌、肛門がん、一部の乳がんに対して、より確実に、より少ない副作用で治癒を目指す方法として強度変調放射線治療(IMRT)を積極的に取り入れています。その他の通常の放射線治療に加えて、これらの先進医療技術を安全かつ有効に行うために、医学物理士と連携して品質管理の実施とさらに高い品質の獲得を目指した研究に力を注いでいます。

骨や脳などへの転移に伴う疼痛や神経症状など、症状を緩和するための放射線治療も行っています。痛みの程度や部位、患者さんの症状や具合により1回の治療で十分な場合もあります。また、前立腺がんの骨への転移でホルモン療法に抵抗性の場合、塩化ラジウム(223Ra)による内用療法も実施しています。
新しい技術の導入と評価、品質管理に力を入れています。陽子線治療(関連リンクをご覧ください)は先進医療(一部保険適応)として行っています。頭蓋底腫瘍、鼻・副鼻腔腫瘍、上咽頭腫瘍の一部、前立腺がん、肝細胞がん、肺がん、食道がん、小児がんを対象にしていますが、今後適応の拡大に向けて研究をすすめています。2015年10月より、複雑な形状の腫瘍に対応できる「陽子線ラインスキャニング照射法」による治療を開始し、2021年9月より局所進行頭頚部扁平上皮癌に対するIMPT(強度変調陽子線治療)の臨床試験(先進医療B)も行っており、世界でも新しい治療を行う事も可能です。この臨床試験の先進医療費は治療期間や回数にかかわらず定額で、2,145,000円(入院費等は含まない)です。他の先進医療での陽子線治療は、先進医療費(陽子線)として2,941,000円(令和元年10月より)が全額自己負担の形で必要です(関連リンクをご覧ください)。2016年4月から小児がん(限局性の固形悪性腫瘍)に対する陽子線治療が保険適応となりました。また、2018年4月1日より、限局性及び局所進行性前立腺がん(転移を有するものを除く)、頭頸部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)、手術による根治的な治療が困難な骨軟部腫瘍の陽子線治療も保険適応となりました。さらに、2022年4月より4センチメートル以上の切除不能肝細胞がん、切除不能肝内胆管がん、切除不能局所進行膵がん、切除不能局所大腸がん術後再発病変に対する陽子線治療も保険適応となっております。

2024年4月現在、保険診療での陽子線治療費には、1,600,000円(前立腺がん)、2,375,000円(切除困難IからIIA期の非小細胞肺癌、切除不能肝細胞癌;4センチメートル以上、切除不能肝内胆管癌、切除不能局所進行膵がん、切除不能局所大腸癌術後再発病変、小児がん、頭頸部腫瘍、骨軟部腫瘍)の2種類があります。陽子線治療の治療回数は部位により異なりますが、全体の費用の自己負担額分(通常の3割計算、約500,000-800,000円)を陽子線治療の開始日に一括でお支払いいただくことが原則となっています。「限度額適用認定証」という制度を利用すれば定められた限度額の支払で済ませることが出来ます。治療の開始日までに保険証の発行元にて「限度額適用認定証」を発行してもらい保険証確認窓口にお持ちください。ただし、70歳以上の方は原則として上記の申請が必要なく自動で限度額が適用されることとなりますが、詳しくは各市町村にお問い合わせください。

2024年10月より陽子線治療自由診療の価格が変更されております。詳細につきましては、下記案内をご参照ください。
陽子線治療 自由診療の価格変更について

診療実績

放射線治療患者数の年次推移2022

 

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更新日:2024年9月27日