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経尿道的光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)について
東病院 泌尿器・後腹膜腫瘍科では2020年11月から前立腺肥大症に対する経尿道的光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP:photoselective vaporization of the prostate)を開始しました。
当科における前立腺診療について
前立腺がん診療を積極的に行っている当科には、PSA(前立腺特異的抗原)高値の患者さんが多く受診されます。画像検査や前立腺生検などの詳細な検査で前立腺がんかどうかを精査しますが、結果として前立腺がんの診断とならない場合もあります。
PSAは前立腺がんの腫瘍マーカーとして用いられていますが、正常な前立腺組織からも分泌されているため、前立腺内の炎症(前立腺炎)や前立腺が腫大した場合(前立腺肥大症)にもPSAが上昇することがあります。そのため、PSA高値であっても前立腺がんの診断に至らなかった患者さんに対しては、しばらくの間外来でPSAの推移を確認していくことが一般的です。
前立腺肥大症治療とは
このような患者さんや他の領域のがんにおいて、当院にかかりつけの患者さんの中で前立腺肥大症による排尿障害(尿の出しづらさや頻尿、残尿感)がある場合には、薬物による内科的治療や手術による外科的治療を行うことができます。
前立腺肥大症の治療は薬物治療から始めることが一般的ですが、効果が薄い場合には手術も検討されます。手術療法としては尿道からの内視鏡(硬性膀胱鏡)を用いて電気メスで腫大した前立腺を削り取る経尿道的前立腺切除術(TURP:transurethral resection of the prostate)が広く一般的に行われています。
当科でTURPを行った場合、術後3-5日程度尿道カテーテルを留置し、術後7日前後で退院となります。
PVPとは
当科で開始したPVPはレーザーによって腫大した前立腺を蒸散させる手術方法です。尿道から挿入した内視鏡に光ファイバーを通し、このファイバーからグリーンライトレーザーを照射して前立腺を蒸散させます。組織の蒸散に伴い表面に凝固層が形成されるため、従来のTURPとは異なり、出血量の極めて少ない低侵襲な手術を行うことが可能です。
術後の尿道カテーテル留置期間は2-3日、術後3-5日で退院です。術後の痛みや血尿の程度もTURPよりも軽く、その効果や安全性、治療効果は世界中で報告・証明されています。心臓や肺などに基礎疾患をお持ちの場合、抗血栓薬を内服中の患者さんでも、安全に手術を受けていただくことができます。