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乳がんについて

乳がんについて

乳がんに罹患する女性は年間約3万人。年々増加傾向にあります。
最近は自己検診の普及などにより早期発見が可能になりました。

乳がんのリスクファクター

女性ホルモン

女性ホルモンには、エストロゲンと黄体ホルモン(プロゲステロン)があります。
通常、この2つはお互いの作用を抑えるよう働いています。
しかし、肥満や出産経験がない・遅いなどによりバランスが崩れ、エストロゲンの作用をプロゲステロンが抑えきれなくなった状態が続くと乳がん発症の危険性が高まります。

乳がんについて 図

遺伝

乳がんに罹患している家族がいる場合、発症の危険が高まります。

ホルモン療法について

乳がんのうち、がん細胞の増殖にエストロゲンが必要なものに対してホルモン療法を行っていく場合があります。
ホルモン療法の対象となるのは、エストロゲン受容体または黄体ホルモン受容体の両方またはどちらか一方が乳がん組織にある場合で、どちらも無い場合には効果はありません。
ホルモン療法に用いるお薬は、その作用により、大きく4つに分けられています。

LH-RHアゴニスト製剤 脳から卵巣への「エストロゲンを作れ」という信号を止める

閉経前は卵巣から分泌されたエストロゲンが主であり、その経路を止めるためにLH-RHアゴニストであるゾラデックスやリュープリンSRがあります。ゾラデックスは4週間毎、リュープリンSRは12週毎に皮下注射します。

アロマターゼ阻害薬 男性ホルモンからエストロゲンが作られるのを防ぐ

閉経後は、腎臓にくっついている副腎から分泌された男性ホルモンからつくられたエストロゲンが主になります。男性ホルモンからエストロゲンを作るためには、脂肪組織や乳がん組織にあるアロマターゼという酵素が必要であり、アロマターゼを阻害することでエストロゲン産生を抑えるのがアロマターゼ阻害薬であるエキセメスタン錠やアナストロゾール錠、レトロゾール錠です。

抗エストロゲン薬 エストロゲンが乳がん細胞に作用するところを止める

エストロゲンはエストロゲン受容体を介して乳がん細胞に働きかけますが、このエストロゲン受容体を塞ぐことで、エストロゲンの作用を抑えるお薬が抗エストロゲン薬であるタモキシフェン錠、トレミフェン錠です。

黄体ホルモン製剤 エストロゲンの作用を弱める

黄体ホルモンとエストロゲンは互いに作用しあいバランスを保っています。乳がんはこのバランスが崩れエストロゲンが暴走している状態であり、黄体ホルモンの作用を増強する必要があります。そこで、黄体ホルモンとよく似た作用を示すお薬、黄体ホルモン製剤であるヒスロンH錠を使うことがあります。

抗エストロゲン薬、黄体ホルモン製剤については閉経前後に関わらず使用する場合があります。

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大豆イソフラボンをたくさん摂取すると
エストロゲンを作りやすくなり、乳がんにかかりやすくなる?

アルコールの図

大豆に含まれる「大豆イソフラボン」は、更年期障害に聞くという噂を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。それは、大豆イソフラボンがエストロゲンに良く似た構造を持っていることに関係しています。
では、大豆をたくさん食べることで乳がんの危険は増えるのでしょうか?
答えはNOです。
大豆食品を多く食べると乳がんの発症リスクを高めるという証拠は無く、心配ありません。
また、大豆イソフラボンのサプリメント服用についても乳がんの発症リスクを高めることは証明されていませんが、安全性も確認されておらず、お勧めはできません。もし服用するとしても1日30ミリグラム以下(通常の食品からの摂取量程度)にとどめておきましょう。

更新日:2023年3月30日