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主な抗がん剤の副作用とその対策吐き気・嘔吐について
吐き気・嘔吐について
抗がん剤を打つ際に最も気になることは、副作用として起こってくる「吐き気」だと思います。
最近では、抗がん剤を打つ前に吐き気止めを使って、不快な吐き気がコントロールできるようになって来ました。
それに伴って、外来でも抗がん剤治療の機会が増えました。
抗がん剤による吐き気・嘔吐は、薬が消化管の粘膜や脳の中の神経を刺激して起こると考えられていますが、まだ完全にはわかっていないところもあります。
以下の3種類に分けられ、それに応じて治療が行われます。
- 急性嘔吐は、治療開始直後から24時間後までに起こる症状です。
- 遅発性嘔吐は、治療開始後24時間から48時間頃から起こり2日から5日くらい続く症状です。
- 予測性嘔吐は、抗がん剤治療で吐いた記憶から抗がん剤に対する嫌悪感により起こる症状です。 症状の重さには個人差があり、抗がん剤治療の種類によっても異なります。一般的に、吐き気嘔吐は男性より女性に強く現れる傾向があります。
主な吐き気止めの薬
3タイプの吐き気にはそれぞれ違った吐き気止めが効果を示します。
「急性」の吐き気
- 5-HT3(セロトニン)遮断薬(グラニセトロンなど)
「遅延性」の吐き気
- ステロイド剤(デキサメタゾン)
「予期性」の吐き気
- 抗不安薬
その他(併用して用いる薬など)
吐き気のリスクに応じて、NK-1受容体拮抗薬(アプレピタント)や多元受容体作用抗精神病薬(オランザピン)なども併用されます。
これらの薬剤で効かないときには、ドパミン遮断薬を追加できます。
吐き気は我慢しないで、スタッフに相談してください。
Q:吐き気や嘔吐は防ぐことができますか?
急性嘔吐は抗がん剤の前に制吐剤を点滴することでほぼ予防することができます。吐き気・嘔吐を引き起こす可能性が高い抗がん剤治療には多くの場合、制吐剤が組み合わされています。
吐き気を感じた時に飲んでいただく制吐剤(内服)が処方される場合もあります。また、坐薬を使うこともできます。
吐き気が強く内服が難しい時は医療スタッフにご相談ください。
抗がん剤治療を受ける日は食事の量を少な目にし、治療の数時間前は飲食を避けることにより吐き気・嘔吐を軽くできることがあります。
また、体を締めつける衣服は避けた方がよいでしょう。
Q:食事にはどのような注意が必要でしょうか?
吐き気・嘔吐をやわらげるために、次のような工夫をするとよいでしょう。
- 抗がん剤治療の前の食事は、消化の良いものをとるようにして軽めにすませましょう。
- 治療後は、固形食品を避けて水分を多めにとりましょう。
- 吐き気が続くと水分とともにミネラルが不足しますので、ミネラルバランスの良いスポーツドリンクなどで補給するとよいでしょう。
- 食事の時の水分摂取は控えましょう。水分摂取は、食事の1時間前までに済ませるか食後にとるようにするとよいでしょう。
- 食事は無理をせず食べられるものにして、1つの食品の量を少量にし、品数を多くしましょう。ゆっくりと時間をかけて、良く噛んで食べましょう。
- あっさりして口当たりの良いもの(麺類、卵豆腐、茶碗蒸し、ゼリーなど)が食べやすいでしょう。
- 熱いものは冷やしたりさましたりすることで、においが気にならなくなります。
- 香りの強いもの、甘いもの、辛いもの、脂肪の多い食べ物は吐き気を強めることがあるので控えめにしましょう。
- 食後1時間は横にならないようにしましょう。
- 嘔吐した場合は、氷片を口に含んだり冷水でうがいをしたりすると気分が楽になります。