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乳腺外科
レジデント1日体験プログラム 乳腺外科
募集要項・研修概要・診療科紹介
研修内容や各研修プログラムコースの詳細は下記をご覧ください。
注:テキストまたは画像をクリックするとPDFが開きます。
東病院 乳腺外科のPRポイント
特徴
東病院乳腺外科では1992年7月の開院以来、約8800例の乳癌治療を行ってきました。また、全国でもいち早く1998年からセンチネルリンパ節生検を開始し、不必要な腋窩郭清を省略しています。現在では年間約540例の乳癌手術を行っており、放射線診断科、放射線治療科、腫瘍内科、形成外科、病理・臨床検査科と協力して、根治性を損なわずに機能温存、整容性を追求した手術を目指しています。
手術
当院における乳癌術式の特徴
近年はセンチネルリンパ節陽性例においても腋窩郭清が省略されるなど、乳腺外科手術は着実に縮小および機能温存の方向に向かっています。腋窩手術についてはセンチネルリンパ節陽性例における腋窩郭清省略のみならず、リンパ節転移症例の術前化学療法後のTailored axillary surgery(TAS)など世界の潮流に遅れることなく、新しい治療に対するチャレンジも行っています。一方で局所進行症例や腋窩再発症例に対する腋窩郭清がなくなることはなく、レジデントの先生にも十分に腋窩郭清の手技を取得していただくことができます。乳房の手術についても定型的な手術に加え、ラジオ波焼灼術のような低侵襲手術や整容性を追求した乳頭温存乳房全切除術(NSM)を行うため、2022年よりCO2気嚢法による単孔式内視鏡下NSMを実施しています。レジデントの先生には標準的な術式の基礎を身につけていただいた上で、当院で行っている新しい試みについても一緒に学んでいただける機会を提供しております。
さらに乳房温存手術が困難な症例に対しては、形成外科と連携して乳房再建術(一期的乳房再建:DIEP皮弁、広背筋皮弁、Tissue Expander挿入)を行うことにより根治性を落とすことなく整容性を保つように努めており、特に当院では自家組織再建による一次一期再建が多く行われていることが特徴です。
CO2気嚢による単孔式内視鏡下NSM
2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
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年間手術件数 | 327 | 373 | 342 | 419 | 414 | 474 | 506 |
診療
乳がん診療のチーム化
乳癌の適切な集学的治療を提供するために連携科や関連部門との垣根は低く、各種カンファレンスのみならず、日常診療でも他科のスペシャリストや専門分野を極めたコメディカルとの充実したディスカッションの機会が豊富にあるのも、がん専門病院ならではの特色です。また、乳腺外科では妊孕性温存療法や遺伝性乳癌卵巣癌症候群などの近年の重要なテーマに率先して取り組み、診療科や職種を問わず密接な関係を築き、チーム医療を実践しています。
メッセージ
乳腺専門医・認定医のサポートも行っており、多くの乳癌のスペシャリストの育成を行っております。 外科のレジデントとしてまず手術を極めることが第一目標であり、術者として担当症例の約2/3を執刀することができます。その上でレジデントの先生は自由に各科をローテーションできますので、ぜひこの"Breast team"に参加して、乳癌診療のすべてを体験・会得してください。
1日体験プログラム情報
複数日程の体験
可
お勧めの曜日・プラン
火、木、金の手術日であれば手術見学が可能です。再建手術の見学をご希望の方は事前にご連絡ください。
対応の難しい日
特にありません。
学会期間中であれば、学会会場での面談も可能です。
1週間のスケジュール
参加申込・お問い合わせ
参加申込はメールにて承ります。
先輩レジデントからのメッセージ
レジデントコース経験者
私は乳癌を専門に勉強したいと考え医師6年目で当院に入職しました。豊富な手術症例数や、他科を自由にローテーションできる柔軟な研修プログラムに魅力を感じ、東病院を選択しました。
当院では年間450件以上の乳癌の手術を行っています。手術件数が多いのは、外科の修練を行うに当たっては非常に大きな強みだと思います。最近では減少傾向の腋窩郭清術の症例数も多く、経験豊富なスタッフの指導の下、術者として手術を経験することができます。また、乳癌診療には手術だけでなく、集学的な知識が必要ですが、私は、腫瘍内科、緩和医療科、放射線治療科、病理診断科をローテートし様々な視点から学べたと思います。希望があれば内科系の診療科を選択しがん薬物療法専門医の取得も可能です。
当院では専門的ながん診療の勉強のため、全国各地から多くの先生が来ており、切磋琢磨しながら研修しています。興味がある方は、是非一度見学にいらしてください。
科長からのメッセージ
Be a surgeon.
ガイドラインが改定されるたびに複雑化する薬物療法と逆相関して縮小化する術式
「乳癌の手術は出来るけど、専門家ではないと薬物療法はやはり無理だよ」、消化器外科の先輩が言った一言
乳腺外科医はアジュバントと再発治療で最適な薬剤と支持療法を使いこなせて、最低限手術が出来れば良い
外科医を志したはずの私はいつの間にかそう思っていました
がんセンターに来るまでは
国立がん研究センター東病院には、腫瘍内科医や遺伝性腫瘍専門医をはじめ各分野にスペシャリストが在籍しています
診療やカンファレンス、臨床試験を通したディスカッションは刺激的で、集学的治療の重要性を再認識させられます
それでも彼らは最後に言います「病気を治せるのは外科だから」
どれだけ薬物療法が進んでも根治の根幹が外科的切除であることは変わりません
「もっと手術を大切にしよう」
患者さんは日々変形した乳房と傷に向き合うことになります
縮小化できる症例にはより小さく整容性を目指し、根治が目指せる症例にはしっかりとした切除を
がんセンター東病院では複雑化する薬物療法は信頼する腫瘍内科医に任せ、患者さんにより最適な手術を提供できるように心がけています
2022年私たちは国内で初めてCO2気嚢による単孔式内視鏡NSMを成功させました
NSMは整容性に優れた術式として乳房再建とともに2000年代中頃から急速に普及してきましたが、限られた視野での操作や乳頭乳輪部の壊死などが課題とされています
CO2気嚢による内視鏡NSMは乳房内部をCO2で気嚢することで、内視鏡による拡大視効果と気嚢による愛護的な操作が可能となり、患者さんはもちろん大学病院や他のがんセンターの先生方からも好評をいただいています
これまでのところ当センターと関連する施設を除き国内での実施報告はありませんが(2023年6月現在)、今後ロボット手術と共に乳腺領域においても普及していく術式であると確信しております
私たちと一緒に乳腺外科手術を再構築しましょう
科長 大西達也