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がん患者さんにお薦めのワクチン

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がん患者さんにお薦めのワクチン

  1. がん治療は、病気自体や化学療法等の治療により感染症にかかりやすい状態になります。日頃からの感染予防に加えて、ワクチン接種をすることで感染症にかかるリスクや重症化の予防となります。ワクチンを接種して感染症予防を行いましょう。
  2. ワクチン接種の対象となる方や各ワクチンの詳細は、次頁をご参照ください。ワクチン接種をご希望の患者さんは、診察時に医師にご相談ください。

接種をお薦めするワクチン

肺炎球菌ワクチン 薬の名称:ニューモバックス®、プレベナー20®、バクニュバンス®

肺炎球菌は、がん患者さんがかかる肺炎の原因となる代表的な細菌の1つです。肺炎以外にも、侵襲性肺炎球菌感染症とよばれる髄膜炎や血流感染症(血液中に肺炎球菌が入り、全身を回る病態)などの、より重篤な感染症を引き起こします。がん患者さんはこの侵襲性肺炎球菌感染症に罹患するリスクが高くなるため、予防が重要です。

現在国内の成人に対してはニューモバックス®という肺炎球菌ワクチンが使われています。加えて、がん患者さんへはプレベナー20®またはバクニュバンス®という肺炎球菌ワクチンも推奨されています。これらはニューモバックス®と比べると、カバーする肺炎球菌の種類は少ないですが(プレベナー20®は20種類、バクニュバンス®は15種類)、ニューモバックスとは免疫をつけるための機序が異なるため、ニューモバックス®と別のワクチンを一定の間隔をあけて接種することでより予防効果が期待されます。プレベナー20®は2024年から日本国内で承認・発売が開始された比較的新しいワクチンです。

帯状疱疹ワクチン 薬の名称:シングリックス®、乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」®

水痘・帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスに初めて感染した場合は水痘(みずぼうそう)となりますが、この感染によってウイルスが後根神経節(こうこんしんけいせつ)という部分に潜伏します。この潜伏しているウイルスが、ストレスや免疫力の低下した時に再度症状を引き起こすことを帯状疱疹と言います。一部の方で発症後、長期間神経痛が残ることがあり、また帯状疱疹を発症するとその後の脳卒中や心筋梗塞のリスクを増加させることも知られています。がん患者さんでは帯状疱疹を発症するリスクが一般の人と比べて高いことが知られており、予防がより一層重要となります。予防は普段からの体調管理に加えて、帯状疱疹ワクチンを接種するという方法があります。

シングリックス®は、2~6ヶ月の間隔で筋肉内に2回接種する、生ワクチンではないワクチンです。接種することで80~90%の予防効果が報告されており、がん患者さんでも予防効果があることが報告されています。

乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」は、1回の接種で約60%前後(注2)の予防効果が報告されていますが、生ワクチンのため免疫が低下している方への接種はできません。(がん患者さんによっては、使用できない場合があります。)

(注1)2024年6月1日時点の日本国内では、シングリックスは50歳以上または帯状疱疹に罹患するリスクの高い18歳以上、ビケンは水痘予防もしくは50歳以上が対象となります。

(注2)東京都保健医療局ホームページ(外部サイトにリンクします)

季節性インフルエンザワクチン

インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。通常、ワクチン接種により発症予防や重症化予防に一定の効果があるとされています。(注)

がん患者さんはインフルエンザに罹患した場合に重症化するリスクが高まるため、ワクチン接種が推奨されます。(鼻から吸入する生ワクチンは避けることが推奨されます。)

効果は通常流行する株は年によって異なることがあり、接種が可能な方であれば毎年流行シーズンにあわせて接種しておくことが望まれます。また、可能であれば同居のご家族など周囲の方もワクチン接種を済ませておくことが望まれます。

(注)厚生労働省、令和5年度インフルエンザQ&A(外部サイトにリンクします)

接種方法について

 国立がん研究センター東病院で接種する(肺炎球菌/帯状疱疹ワクチンのみ)

主治医の先生を通じて1週間以上前までにワクチン外来の予約をお取りください。

  • ワクチン外来では、感染症科医師が診察し、通院治療センターで接種いたします。
  • ワクチン外来予約枠:朝9時と朝9時15分のみ(曜日指定なし)                

<<国立がん研究センター東病院での接種は自費接種のみとなります>>
注:柏市指定医療機関ではありません。

肺炎球菌ワクチン「プレベナー20®」11,000円(税込)
帯状疱疹ワクチン「シングリックス®」2,2000円(税込)

近所のクリニック等で接種する

  • ワクチンの種類により各自治体で補助を受けられる場合がありますのでお住まいの自治体にお問い合わせください。
  • お近くやかかりつけのクリニック等でワクチンを接種する際に、がん治療の医師が推奨していることをお伝えできる用紙を準備しています。よろしければご利用ください。
  • お近くの医療機関でワクチンを接種する際に、がん治療の主治医が推奨していることを分かりやすくする欄を準備しました。

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主治医の先生からの推奨”を忘れることなく、お近くの医療機関やご家族に伝えることができます。

がん治療の主治医の先生へ

接種時期について

ワクチン接種を希望の場合は、診察時に主治医に相談しましょう。

肺炎球菌ワクチン・帯状疱疹ワクチン

  • がん薬物療法による治療の場合は、「治療の2~4週間以上前」もしくは「治療の3~6ヶ月後」が目安とされています。(注)生ワクチン以外は主治医の判断次第で治療後間もない時期でも接種が可能なことがありますので医師にご相談ください。
  • 手術や放射線によるがん治療の場合は、接種時期は主治医にご相談ください。

注:日本臨床腫瘍学会、発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改定3版、米国感染症学会、IDSA 2013 Guideline for Vaccination of the Immunocompromised Host. 

インフルエンザワクチン

  • 接種時期は主治医にご相談ください。
    基本的に上記「肺炎球菌ワクチン・帯状疱疹ワクチン」と同様ですが、治療中でも接種可能なことがあります。
  • 毎年の流行シーズンになるまでに接種を済ませておくことが望まれます。

ワクチンに関するよくあるご質問

Q:ワクチンには生きた病原体が入っているのですか?

A:ニューモバックス®、プレベナー20®、シングリックス®、インフルエンザワクチンには生きた微生物は入っていませんので、ワクチンによってこれらのウイルスに感染することはありません。当院ワクチン外来では取り扱っていない乾燥弱毒生水痘ワクチンは生きたウイルスが入っているため、高度の免疫不全の場合は接種できません。

Q:どのような副反応が起こりますか?

A:ワクチンの種類にもよりますが、接種部位の発赤、筋肉痛などの局所症状のほか、発熱など全身性の反応が見られる場合もあります。詳しくは接種時に医師にご確認ください。接種から1-3日以内に症状は改善することが多いですが、もし副反応の症状が特に重かったり長期間持続するような場合は、接種した医療機関もしくは近くの病院への受診や相談をご検討ください。

お問い合わせ

国立がん研究センター東病院 医療安全管理部門 感染制御室
電話番号:04-7133-1111(代表)
受付時間:平日8時30分から17時(土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く)

更新日:2024年10月8日