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がん患者さんにお薦めのワクチン
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がん患者さんにお薦めのワクチン
- がん治療は、病気自体や化学療法等の治療により感染症にかかりやすい状態になります。日頃からの感染予防に加えて、ワクチン接種をすることで感染症にかかるリスクや重症化の予防となります。ワクチンを接種して感染症予防を行いましょう。
- ワクチン接種の対象となる方や各ワクチンの詳細は、次頁をご参照ください。ワクチン接種をご希望の患者さんは、診察時に医師にご相談ください。
- 肺炎球菌ワクチン
(薬の名称:ニューモバックス®プレベナー20®バクニュバンス®) - 帯状疱疹ワクチン(薬の名称:シングリックス®乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」®)
- RSウイルスワクチン
- 季節性インフルエンザワクチン
- 新型コロナワクチン
- 接種方法について
- 接種時期について
- よくあるご質問
接種をお薦めするワクチン
肺炎球菌ワクチン 薬剤名:ニューモバックス®、プレベナー20®、バクニュバンス®、キャップバックス® 注:キャップバックスは今後発売予定
肺炎球菌は、がん患者さんがかかる肺炎の原因となる代表的な細菌の1つです。肺炎以外にも、侵襲性肺炎球菌感染症とよばれる髄膜炎や血流感染症(血液中に肺炎球菌が入り、全身を回る病態)などの、より重篤な感染症を引き起こします。がん患者さんはこの侵襲性肺炎球菌感染症に罹患するリスクが高くなるため、予防が重要です。定期接種ではニューモバックス®が使われていますが、キャップバックス®、プレベナー20®、バクニュバンス®もお勧めします。キャップバックス®、プレベナー20®、バクニュバンス®は免疫をつける力が高い特徴があります。バクニュバンス®を使用する場合は、ニューモバックス®と組み合わせて接種すると効果が高まります。プレベナー20®やキャップバックス®は幅広くカバーでき、単独でも十分とされています。
注:2025年8月現在、キャップバックス®はまだ流通していません
帯状疱疹ワクチン 薬剤名:シングリックス®、乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」®
水痘(みずぼうそう)や帯状疱疹(たいじょうほうしん)の原因になるウイルスは初めて感染すると水痘になります。その後、ウイルスは背中の神経の一部(後根神経節)にひそんで残ります。そして、疲れやストレス、免疫力が落ちたときに、このウイルスが再び活動を始めて出てくると、帯状疱疹になります。帯状疱疹になると、強い痛みが出ることが多く、一部の人では痛みが何ヶ月も残ることがあります。また、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなることもわかっています。特にがんの治療を受けている方は、帯状疱疹になるリスクが高いので、予防がとても大切です。
シングリックス®は、2~6ヶ月の間隔で筋肉内に2回接種 予防効果:80~90%前後
乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」は、1回の接種 予防効果60%前後
生水痘ワクチン 「ビケン」は、生ワクチンのため免疫が低下している方への接種はできません。(がん患者さんによっては、使用できない場合があります。)
RSウイルスワクチン 薬剤名:アレックスビー®、アブリスボ®等
がん患者さん(特に血液がん患者さん)は、健常者に比べてRSウイルス感染症による肺炎などの重症化リスクが高いため、予防接種が推奨されます。
季節性インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンは、発症や重症化予防を防ぐ効果があります。がん患者さんはインフルエンザに罹患した場合に重症化するリスクが高いためワクチン接種が推奨されます。(鼻から吸入する生ワクチンは避けることが推奨されます。)効果は年ごとに変動するため、毎年流行前の接種が望ましく、患者さんを守るため周囲の家族も接種が推奨されます。
2025年度より、高齢者を主な対象に、抗原量が多く効果が高いとされるインフルエンザワクチン「エフルエルダ®」も接種できるようになる見込みです。
新型コロナワクチン 薬剤名:コミナティ®、スパイクバックス®等
がん患者さん(特に血液がん患者さん)は健常人と比較するとワクチンの効果が弱いことが知られていますが、重症化予防や後遺症のリスク低減などの効果が示されています。
6月-12か月毎の追加接種をすることで重症化予防となるため、定期的な接種が推奨されます。がん患者さんと健康な方と比較しても副反応の増加は見られていません。
ワクチン接種後でも、新型コロナウイルス感染症に感染した場合は、速やかに医療機関を受診し、さらなる重症化予防目的に抗ウイルス薬の治療を受けることが推奨されます。
新型コロナワクチンについて詳細は新型コロナウイルスワクチンについてをご確認ください。
接種方法について
国立がん研究センター東病院で接種する(肺炎球菌/帯状疱疹ワクチンのみ)
主治医の先生を通じて1週間以上前までにワクチン外来の予約をお取りください。
- ワクチン外来では、感染症科医師が診察し、通院治療センターで接種いたします。
- ワクチン外来予約枠:朝9時と朝9時15分のみ(曜日指定なし)
<<国立がん研究センター東病院での接種は自費接種のみとなります>>
注:柏市指定医療機関ではありません。
肺炎球菌ワクチン「プレベナー20®」11,000円(税込)
帯状疱疹ワクチン「シングリックス®」2,2000円(税込)
RSウイルスワクチン「アレックスビー®」2,5000円(税込)
近所のクリニック等で接種する
- ワクチンの種類により各自治体で補助を受けられる場合がありますのでお住まいの自治体にお問い合わせください。
- お近くやかかりつけのクリニック等でワクチンを接種する際に、がん治療の医師が推奨していることをお伝えできる用紙を準備しています。よろしければご利用ください。
- お近くの医療機関でワクチンを接種する際に、がん治療の主治医が推奨していることを分かりやすくする欄を準備しました。
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主治医の先生からの推奨”を忘れることなく、お近くの医療機関やご家族に伝えることができます。
接種時期について
ワクチン接種を希望の場合は、診察時に主治医に相談しましょう。
肺炎球菌ワクチン・帯状疱疹ワクチン
- がん薬物療法による治療の場合は、「治療の2~4週間以上前」もしくは「治療の3~6ヶ月後」が目安とされています。(注)生ワクチン以外は主治医の判断次第で治療後間もない時期でも接種が可能なことがありますので医師にご相談ください。
- 手術や放射線によるがん治療の場合は、接種時期は主治医にご相談ください。
注:日本臨床腫瘍学会、発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改定3版、米国感染症学会、IDSA 2013 Guideline for Vaccination of the Immunocompromised Host.
インフルエンザワクチン・新型コロナワクチン
- 接種時期は主治医にご相談ください。
基本的に上記「肺炎球菌ワクチン・帯状疱疹ワクチン」と同様ですが、治療中でも接種可能なことがあります。 - 毎年の流行シーズンになるまでに接種を済ませておくことが望まれます。
ワクチンに関するよくあるご質問
Q:ワクチンには生きた病原体が入っているのですか?
A:ニューモバックス®、プレベナー20®、シングリックス®、インフルエンザワクチンには生きた微生物は入っていませんので、ワクチンによってこれらのウイルスに感染することはありません。当院ワクチン外来では取り扱っていない乾燥弱毒生水痘ワクチンは生きたウイルスが入っているため、高度の免疫不全の場合は接種できません。
Q:どのような副反応が起こりますか?
A:ワクチンの種類にもよりますが、接種部位の発赤、筋肉痛などの局所症状のほか、発熱など全身性の反応が見られる場合もあります。詳しくは接種時に医師にご確認ください。接種から1-3日以内に症状は改善することが多いですが、もし副反応の症状が特に重かったり長期間持続するような場合は、接種した医療機関もしくは近くの病院への受診や相談をご検討ください。
お問い合わせ
国立がん研究センター東病院 医療安全管理部 感染制御室
電話番号:04-7133-1111(代表)
受付時間:平日8時30分から17時(土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く)