コンテンツにジャンプ

トップページ > 研究所について > OUR RESEARCH FOCUS

OUR RESEARCH FOCUS

2024年度 研究概要

2024年度版の研究概要を、日本語バージョン・英語バージョンでご用意しました。
世界トップレベルのがん研究がここに集います。
日本語(PDF:10.7MB)  English(PDF:8.3MB)

OUR RESEARCH FOCUS

国立がん研究センター研究所ではどのような研究を行っていて、その研究がどのように役立っているのかを、研究者自ら発信するコラムです。

NEW膀胱がんの層別化を加速

国立がん研究センターと大阪医科薬科大学の共同研究により、膀胱がんの腫瘍免疫療法の効果を予測するための層別化を進めています。
がんRNA研究分野の吉見分野長は、389例の膀胱がん腫瘍検体を解析して、FGFR3異常が腫瘍免疫微小環境と免疫療法の効果にユニークな影響を与えることを解明しました。
膀胱がんの治療標的候補の同定や、組み合わせに応じた免疫複合療法の開発につながることが期待されます。

膀胱がんの層別化を加速バナー

日本人のがんゲノム異常の全体像を解明

国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター(C-CAT)には保険診療として、全国200カ所以上のがんゲノム医療病院で行われたがん遺伝子パネル検査のデータが集まってきます。
分子腫瘍学分野の堀江研究員と分子腫瘍学分野の片岡分野長は、C-CAT に蓄積された約5万例のがん遺伝子パネル検査データを解析し、日本人におけるがんゲノム異常の全体像を解明しました。
日本におけるがんゲノム医療の状況、そして日本人におけるがんゲノム異常の全体像や特徴、その臨床的有用性を明らかにしました。


日本人のがんゲノム異常の全体像を解明バナー

慢性炎症が大腸がん形成を促進する分子機序を解明

日本における大腸がんでの死亡数は、がん全体の死亡数において第二位です。大腸がんの発生と進行は、慢性炎症によって促進することが知られていましたが、今回、発生メカニズムの一部が明らかとなりました。
分子遺伝学ユニットの武田独立ユニット長が解説します。
今後、慢性炎症を伴う大腸がん治療における個別化医療の開発に役立つ可能性があります。

慢性炎症が大腸がん形成を促進する 分子機序を解明バナー

国際共同研究による腎臓がん全ゲノム解析

がんゲノミクス研究分野の柴田分野長は、遺伝情報であるゲノムに異常が発生するパターンを解析するスペシャリストです。
ゲノムに異常が発生するパターンは変異シグネチャーと呼ばれ、その解析からがんがどのように発生しているのかを推定できます。
腎臓がんの変異シグネチャー解析から見えてきた、日本における淡明細胞型腎細胞がんの新たな予防法や治療法の開発への期待をお話しいただきます。

国際共同研究による 腎臓がん全ゲノム解析バナー

J-PDXライブラリーを用いた日本から創薬開発の加速

医薬品の開発成功率は全体で約10%程度、中でも抗がん薬は約5%と報告されています。
分子薬理研究分野の柳下研究員は、患者さんが少なく臨床試験が困難ながんでも、J-PDXライブラリーで効果のある抗がん薬を篩い分けできる可能性を見出しました。
yagishita.png

非喫煙者肺がんのリスクに関わる遺伝子の個人差を同定

肺がんの中でも最も頻度が高く、増加傾向にあるのが肺腺がんです。肺腺がんの発生は、喫煙との関連がそれほど強くなく、約半数を非喫煙者が占めます。そのため、罹患危険群の把握や発症予防は容易ではありません。
ゲノム生物学研究分野白石ユニット長は、日本人を含むアジア人の肺腺がん患者約2万例のゲノム解析を用いて、肺腺がんの新たな遺伝子変異の探索を行っています。
最近発表した2本のプレスリリースから、肺腺がんの最新情報を解説してもらいます。

shiraishik.png

世界最大の胃がんゲノム解析による成果

日本における罹患者数と死亡数がともに3位である胃がん。
がんゲノミクス研究分野の柴田分野長は、国際的に実施した大規模なゲノム解析から胃がんの発生や予防につながる発見をしました。胃がんはどんな体質の方に発症しやすいのでしょうか?お酒をよく飲む方必見の内容です。

shibata.png

リキッドバイオプシーを用いたトランスレーショナル研究で新薬開発を加速させる

手術後体内から取り出した生検検体でがんの検査をする…そんながんの検査が近い未来変わるかもしれません。
がんの検査においてはより低侵襲な方法が求められています。
細胞情報学分野の高阪分野長は血液等の体液を用いたリキッドバイオプシーの研究を進めています。リキッドバイオプシーとは?がんゲノム医療が拡がる現代においてどんな活用方法があるの?そんな疑問に高阪分野長が答えます。

kohsaka.png

サイレント変異から発がん遺伝子RASの弱点発見

日本で年間7万人以上が肺がんで亡くなられています。日本人肺腺がんの半数にEGFR遺伝子変異があり、このタイプにはEGFR阻害剤が効きますが、1-2年で耐性を獲得して効かなくなることが問題です。これまでEGFR変異肺がんの薬剤耐性について研究をしてきた中で、CRISPRゲノム編集技術を応用してがん細胞が元々持っているDNAを直接編集した細胞モデルを構築することで得られた2つの研究成果を分子病理分野の小林研究員が報告してくれます。

kobayashi.png

自律的な知識獲得基盤の実装に向けて

ゲノム医療を進める上で、患者さんの疾患関連のゲノム変異をデータベース化することは非常に重要です。がんゲノム医療の基盤となるデータの整備の基盤を開発しているのがゲノム解析基盤開発分野 白石友一 分野長です。今回の「OUR RESEARCH FOCUS」では、「自律的な知識獲得基盤の実装に向けて」と題し、公共シークエンスデータを再解析してゲノム変異をカタログ化することの意義を語ってもらいました。

shiraishi1.png

小児脳腫瘍はどのようにして発生するのか 髄芽腫において新規の遺伝子異常を発見

小児の病気による死因で最も多い疾患である脳腫瘍の克服に取り組んでいる脳腫瘍連携研究分野鈴木啓道分野長のコラムです。

1s.png

がん微小環境を標的とした新規がん免疫療法の開発に向けて

免疫系は自己・非自己を識別し微生物などの非自己を排除するだけでなく、広範な生命機能に関わり宿主の恒常性維持に重要な働きをしていることが近年明らかになってきました。
しかし、過剰な免疫応答はアレルギーや自己免疫疾患を引き起こし、不十分な免疫応答は慢性感染症、発がんへとつながります。
西川分野長の取組はがん研究の新たな時代を切り開く取り組みと大変注目されています。

b1.png