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胃がん
胃がんの基礎知識は、国立がん研究センターがん情報サービス「胃がん」 をご覧ください。
胃がんの内視鏡治療について
東病院 消化管内視鏡科では、胃がんの状態に合わせた様々な内視鏡治療方法があります。
内視鏡治療の方法
1.内視鏡的粘膜下層はく離術(ねんまくかそうはくりじゅつ/ESD:イーエスディー)
ESDは、電気メスを用いて病変周囲の粘膜を切開し、さらに粘膜下層のはく離をして切除する方法です。
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(1)病変の周りに切除する範囲の目印を付けるマーキングを行います。
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(2)病変の下の粘膜下層へ生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムなどを注入し、がんを浮き上がらせます。
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(3)病変を確実に切除するためマーキングした部分より外側の粘膜を切ります。
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(4)粘膜層をはぎ取るような状態で切除し、
終了後は出血や切除した状態を観察します。
図.内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD) (国立がん研究センターがん情報サービス「胃がん」から引用)
ESDは、大きいがんやひきつれのある瘢痕(はんこん)合併例などでも一括で切除できるメリットがあります。
治療前日から退院までの流れ
ESDは、入院して行うことがほとんどです。当院での基本的な治療中のスケジュールは下記の通りです。
- 治療前日:入院(当日の朝入院する場合もあります)。消化の悪いもの(脂身の多い肉、海藻、芋類、貝類等)は避け、夜9時以降の食事は控えましょう。
- ESD当日:朝食から絶食です。水分(水・お茶)の摂取、歩行は可能です。午後から治療です。
- ESD後1日目:大きな合併症がなければ、飲水は可能ですが、食事は食べられません。
- ESD後2日目:食事(おかゆから)開始となります。
- ESD後5日目以降:医師の判断により、退院可能となります。
退院後の初回外来時(ESDから約1か月後)に切除した病変の顕微鏡での検査結果(病理結果)を説明します。結果によっては、追加で外科手術や放射線治療、抗がん剤治療などが必要になることがありますが、外来時に担当医から詳しく説明します。
治療に伴う合併症
ESDでは、切除に伴う出血:約5%、穿孔(せんこう:胃の壁に穴があくこと):約5%、肺炎(はいえん):約1%などの合併症が報告されています。重篤な合併症が生じた場合に備え、胃外科とも連携しています。
出典:小野 裕之ら. 日本消化器内視鏡学会誌. 2014 Feb;56(2):310-321.
2.内視鏡的胃十二指腸ステント留置術 (りゅうちじゅつ)
内視鏡的胃十二指腸ステント留置術は、がん(胃がん、十二指腸がん、膵臓がんなど)によって胃、十二指腸が閉塞・狭窄(きょうさく:狭いこと)した場合に、金属ステントを狭窄部分に入れて通り道を作る治療です。
図.胃十二指腸ステント留置術 「Boston Scientific」社から提供
胃十二指腸ステントは、狭くなった胃や十二指腸を広げることで狭窄を改善させることができるため、栄養状態の改善が望める処置です。ただし、およそ半年程度で再度狭窄する可能性や、留置後に出血やステント逸脱(ずれること)、疼痛(とうつう)などの合併症が起こる可能性があります。
図 胃十二指腸ステント留置術
がんに対しステントを留置し、造影剤を注入して通過障害が改善されたことを確認。
治療前日から退院までの流れ
胃十二指腸ステントは、入院して行います。当院での基本的な治療中のスケジュールは下記の通りです。
- 治療前日:入院後は、医師の指示がある場合を除いて基本的には食事は控えましょう。
- 治療当日:朝から絶飲食となります。午前から治療です。治療後当日は、絶飲食のままです。
- 治療後1日目:診察およびレントゲン写真で大きな合併症がなければ、飲水は可能ですが、食事は食べられません。
- 治療後2日目:食事(おかゆから)開始となります。
- 治療後3日目以降:食事形態を徐々に変更し医師の判断により、退院可能となります。
治療に伴う合併症
胃十二指腸ステント留置術では、閉塞(再狭窄などによりつまること):約10%から20%、逸脱(ずれること):約2%から8%など合併症が報告されています。重篤な合併症が生じた場合に備え、胃外科、肝胆膵外科とも連携しています。
出典:松本 俊彦ら. Palliat Care Res. 2016;11(2):166-173.