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教育について
臨床と基礎の橋渡しとなれる病理医を育成します
多様性は育成の原動力です。当科および先端医療開発センター病理分野には、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。次時代を切り開く病理医の育成には適切な環境です。なお、詳細は、レジデントプログラムをご参照ください。
教育体制
当病院は、生検標本13000件以上、手術標本3000件以上、細胞診4000件以上という豊富な症例数に加え、日本トップクラスレジデントの論文指導実績を誇っています。また、臨床各科や先端医療開発センターとの連携がある点も特徴です。
皆様の身に着けたいサブスペシャリティーに合わせ、以下のコースを用意しています。
General診断 コース
対象:病理専門医を取る直前もしくは取得後の病理医
- 病理医の勉強はどうしても、その病院の特性に左右されます。各臓器に発生する腫瘍全般を診断できるような能力を身に着けたい病理医が、豊富な症例数を誇るがんセンターで、腫瘍診断学を集中的に経験するためのコースです。
臓器をローテーションする形での研修になります。
臓器特化診断/研究コース
対象:専門臓器を勉強したい病理専門医もしくは臨床医
- 専門医取得まで一般臓器に対する外科病理を学んできたが、そろそろ専門臓器を決め、多数症例を集中して診断し、造詣を深めたい病理医、もしくは、病理を通じて病気(特にがん)についてもっと造詣を深めたい臨床医のためのコースです。
特定の臓器に集中して病理診断の勉強をする、もしくは外科病理学的研究の研修となります。
分子病理学コース(先端医療開発センター、臨床腫瘍病理分野で行うコース)
対象:分子病理学的な研究手法を学びたい病理専門医もしくは臨床医
- 今まで診断病理もしくは臨床に従事してきたが、もう少し基礎医学的な知識、実験手法について学びたい病理医・臨床医向けのコース。
診断は特定の臓器に絞り、分子病理学的な手法を用いた研究を行う研修となります。
病理AIコース(先端医療開発センター、臨床腫瘍病理分野で行うコース)
対象:自分でプログラミングを行ってAIを動かせるようにしたい病理専門医もしくは臨床医
- AIに興味がある、もしくはAIを用いて研究をしたいが、どのように始めたらわからない。もしくは、AIの研究を行っているが、共同研究者に任せきりで、原理やプログラミング技術も学んでみたいという病理医・臨床医向けのコース。
診断は特定の臓器に絞り、プログラミングの勉強やAIを用いた研究を中心に行う研修となります。
参加申込・お問い合わせ
参加申込はメールにて承ります。下記バナーをクリックしてご覧ください。
先輩レジデントからのメッセージ
足立 将大先生(2023年度 がん専門修練医)
私は当院の頭頸部外科レジデントとして勤務したのち、頭頸部癌の病理診断や病理AI研究に興味を持ち病理臨床検査科で研修を行いました。
病理臨床検査科での研修を行うまでは臨床医として働いており、研修を開始した段階では病理学的な知識がほとんどない状態でしたが、豊富な症例の経験に加えて知識豊富な先生方に教えていただくことで乗り切ることができました。今まで患者様を通してみてきた腫瘍も顕微鏡を通してみることで新たな知見に出会うことができ、刺激的な環境でした。
研修期間中には、病理AI研究にも携わることができました。病理AI研究に関しては、隣接する先端医療開発センターの臨床腫瘍病理分野 坂下先生を中心にご指導を頂いて取り組みました。研修開始時のプログラミング能力は、一応インターネット上である無料教材を一通り行った程度でしたが、最終的には自分でPythonプログラムを扱い研究論文が書ける程度まで成長することができました。AI研究を実際に行いたいと考えた際には、プログラミング能力、コンピューター環境、データの収集、最新の知見の把握など様々な障壁があり何から始めればよいのか悩むのが実情と思います。このような障壁を超え、最新の知見に触れながら研究を行うことができるのも国立がんセンター東病院 病理臨床検査科の魅力であると思います。
がんの病理診断や研究に興味がある方は、ぜひ一度見学にいらして当院の環境・空気を感じていただければと思います。
北岡 匠先生(2022年度 任意研修医)
私は山形大学医学部病理学講座の所属で、病理専攻研修中の身です。がんセンター東病院には研究と病理診断の双方の研鑽を目的に研修に参りました。
東病院と大学との大きな違いとして、臨床科からのレジデントの先生方との交流があります。東病院では常に10人前後の臨床レジデントが研修をしているため、臓器の切り出しや病理診断、研究において病理医だけの環境では出てこない意見や疑問に触れることができました。特に、研究ミーティングではレジデントの先生方が臨床ならではのresearch questionを出し、石井先生をはじめとしたスタッフの先生方が病理的な視点から研究フレームワークに落とし込むという、臨床と病理が融合する瞬間を何度もみることができました。論文化のスピードも大変早く、同時期に病理研修が始まったレジデントの先生方がどんどん論文を書いていくので、自分も負けじと書こうという気になります。また、国立がんセンターの名前は伊達でなく、癌腫の症例数はやはり豊富であり検体の質も高いです。病院病理と研究部門(EPOC)が一体化しており、研究機器も使用しやすいことも大きなメリットです。大変恵まれた研究環境であると断言できます。
病理研修の面では、まず圧倒的な経験症例数が強みです。臓器ごとのローテーションであるため、短期間で多数症例を経験できることから効率よく診断能力を向上させることができます。各臓器に担当病理医がいるため専門的な指導やFeed backをすぐに受けることができるのも魅力の一つです(自分の机から20歩の範囲内にすべての指導医のデスクがあります)。個人的な見解ですが、東病院での病理研修は基本的な病理診断の勉強を一通り終えた後の方が、より効果的かつ効率的な研修になると思います。
がんの研究をやりたい方、診断能力を向上させたい方は、ぜひ見学してみることをおすすめします!!
黒江 崇史 先生(2019年度 専攻医)
私は東京大学の大学院生(人体病理学、博士3年)です。博士1年では、市中病院にて病理診断をメインに研修していましたが、博士2年より研究に本格的に取り組むため、2019年度から当院にて研修を開始しました。
がん専門のナショナルセンターとして、病院(東病院)と研究所(EPOC)を有しており、病理レジデント(専攻医)は双方に所属して、病理診断や研究に取り組みます。また、抄読会、研究発表会などの教育系カンファレンスにも参加して、様々な背景をもつ他の研究者から最新の情報を得ることが可能です。また、臓器毎に臨床系カンファレンスも多数開催されているので、各々の興味に応じて臨床医との人脈を形成したり、各種臨床情報へのアクセスが容易なことも病理・臨床検査科の強みだと思います。各臨床科には多くのスペシャリストが在籍していますし、臨床のレジデントは常に複数名、病理をローテートしています。がん専門病院として豊富な症例を有することに加えこれらの環境は、病理レジデントが病理形態学を基盤にして研究を進めていくには適切だと思います。
がんの診断や研究に興味のある方は是非一度、当院へ見学にいらっしゃってください。
村田 翔平 先生(2019年度 専攻医)
柏の葉キャンパス駅周辺は新築マンションの屹立する清潔なニュータウンで、子育て世代も多く合理性に富んだ街並みが魅力です。時速約120kmのつくばエクスプレスに乗れば秋葉原や浅草といった23区東の要所は呆れるほど間近で、豊かな環境で研修に没頭しつつも都内の勉強会等に出るのも全く億劫でない、そんな絶妙な距離感が当院の特徴と思います。
膨大な症例数や臓器ごとの診断・指導体制、常時10人以上ローテートしている臨床レジデントと席を並べての交流、病院直結の研究部門と、他にも当院の特色を挙げればキリがありませんが、まずは一度、見学に来てみることをオススメします。闊達な気風にどっぷり浸かってみてください。
大原 悠紀 先生(2018年度 後期レジデント)
私は2014年から名古屋大学大学院で悪性中皮腫の腫瘍微小環境や、動物モデルを用いた発癌メカニズムについての研究を行ってきました。2018年に学位を取得し、国立がん研究センター東病院には研究者としてのキャリアアップと、外科病理医としての研鑽のために参りました。
国立がん研究センター東病院を選択した最大の理由は、病理が良い意味で独立しておらず、臨床(病院)とラボ(EPOC)とが一体化されているためです。そのため、臨床材料を用いた腫瘍微小環境研究や治療応用のための研究を行いやすい環境にあります。臨床との距離が近いことは、最先端の臨床研究を基礎に落としこむ、あるいは逆に基礎研究で得られた成果を臨床開発に繋げやすいという利点もあると思います。
私のように病理医として病理研修をするのでなく、臨床医として病理研修をするレジデントも非常に多くいるため(年間10人以上)、各科とのカンファレンス、日常の業務や雑談を通じて最先端の臨床を肌で感じることもできます。是非一度見学にお越しください!
各長からのメッセージ
氏名:石井 源一郎
メールアドレス:gishii●east.ncc.go.jp(●を@に置き換えてください)
病理・臨床検査科は、臨床と研究と教育が交差するエリアです。
多様な背景を持つ人たちが交わる空間を肌で感じ、多彩な学問分野の見方や考え方を身につけてください。