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病理組織標本作製に用いる装置の不具合について
2017年10月16日
国立がん研究センター中央病院
病院長 西田 俊朗
この度、当院で導入していた病理組織標本作製に用いる装置に不具合が見つかり、患者さんへの影響を調査するとともに、関係行政機関へ報告いたしました。
調査の結果、患者さんの診断・治療へ影響した可能性は低いと考えられますが、影響を否定できない一部の検査を受けた患者さんへは、当院より個別に連絡を差し上げ、担当医より説明を行い再検査の意向を確認いたします。
なお、病理診断の基本となる、良性悪性の診断(がんかどうかの診断)への影響はありません。
経緯
不具合が見つかったのは、病理組織ブロックの作製に用いる装置の一部で、組織にパラフィンを浸透させ固定する密閉式自動固定包埋装置です。
本年2017年5月中旬に病理組織の染色性異常を確認し、要因を調査したところ、本来は中性であるべき装置内の試薬が酸性となり組織障害が生じた可能性があることが分かりました。装置の不具合が疑われた6月12日より直ちに当該装置の使用を中止しております。
当院での装置の使用方法に問題はなく、不具合の原因についてメーカー側での調査と再発防止を求めています。
不具合による影響
上記不具合により、一部の検査において染色性の低下が認められました。染色性が低下すると、本来陽性であるべき結果が得られないことが考えられます。
影響を受けた可能性のある検査は、主に非小細胞肺がんで行うALKと、胃がん・乳がんで行うHER2の有無を確認する検査で、当該装置使用時の当院の当該検査陽性率と、一般的な陽性率を比較したところ大きな差は見られず、不具合による影響を受けた可能性は低いと考えます。
今後の対応
一方で、個々の患者さんへの影響を全く否定できるものではないことから、上記検査を受け、陰性と判定された患者さんへは、当院より個別に連絡を差し上げ、担当医より説明を行い再検査の意向を確認いたします。ご心配やご不明な点がございましたら担当医または相談窓口までご連絡ください。
ご相談・お問い合わせ先
国立がん研究センター 中央病院
東京都中央区築地5-1-1
電話番号(代表番号):03-3542-2511