コンテンツにジャンプ

トップページ > NEWS > がん患者さんに対する新型コロナワクチンQ&A

がん患者さんに対する新型コロナワクチンQ&A

更新日:2022年11月22日
国立がん研究センター中央病院

新型コロナワクチン(以下、コロナワクチン)の接種について、がん患者さんでのコロナワクチンの有効性や安全性、抗がん剤治療中のワクチン接種時期、オミクロン株対応ワクチンの情報、また10月24日に接種が始まった生後6か月から4歳の子どもへの接種(乳幼児接種)の情報をアップデートしましたので、ご参考になさってください。

 

  • tyu.jpg
  • syouni.jpg
  • go.jpg
  • wakutin.jpg

がん治療とコロナワクチンについて

NEW がん患者ですがオミクロン株対応ワクチンの接種を行ったほうがよいでしょうか?   

オミクロン株対応ワクチンは12歳以上の方で、追加接種(3回目又は4回目)の実施の有無にかかわらず、日本国内で少なくとも初回接種(1回目・2回目)が完了している方、前回の接種から、3カ月が経過した方が対象です。がん患者さんであってもなくてもオミクロン株への対応は必要ですので、受けることを推奨します。

参考:厚生労働省 令和4年秋開始接種についてのお知らせ(外部サイトにリンクします)

NEW がん患者ですが4回目の接種を行ったほうがよいでしょうか?        

従来ワクチンによる4回目の接種は、3回目の接種から3カ月が経過した、
1. 60歳以上の方
2. 18歳以上で基礎疾患を有する方、その他 重症化リスクが高いと医師が認める方を対象としています。
がん患者さんは2. 基礎疾患を有する方に当たりますので接種するのがよいでしょう。ただ令和4年秋開始接種としてオミクロン株対応ワクチンの接種が開始されていますので、4回目接種としてはオミクロン株対応ワクチンの接種が推奨されます。
判断に迷う場合は、主治医にご相談ください。

参考:厚生労働省 新型コロナワクチンの追加接種(4回目接種)についてのお知らせ(外部サイトにリンクします)

がん治療中のコロナワクチンの接種は安全ですか?        

がんの治療中の方も、経過観察中の方も、接種していただいて問題ありません。がん患者さんでもコロナワクチンを他の人と同じように安全に受けて頂けます。

コロナワクチンを接種することで、新型コロナウイルスの感染を防げるのでしょうか?
がん患者で注意しなければならないことはなんでしょうか?

コロナワクチンは新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、感染や重症化を予防する効果も確認されています。時間の経過とともに感染予防効果や発症予防効果が徐々に低下する可能性がありますが、重症化予防効果は比較的高く保たれていると報告されています。 がん患者さんの場合、ワクチン接種後に獲得する抗体量が少ないとされる研究もありますので、ワクチン接種後も基本的な感染対策の徹底と、患者さんの近くにおられるご家族などによる感染対策が重要です。

参考:厚生労働省 日本で接種が進められている新型コロナワクチンにはどのような効果(発症予防、持続期間等)がありますか。(外部サイトにリンクします)

コロナワクチンの接種によるがん患者特有の副反応はありますか?     

現時点での報告では、がん患者さんに特有の副反応が出ることは言われていません。 ただ、現在のコロナワクチンは新しいワクチンで接種が始まったばかりです。短期的、あるいは長期的な安全性について注意深いフォローアップは必要です。

がんの治療中で免疫が低下している場合、コロナワクチンを接種することで、コロナウイルスに感染してしまうことはありますか?                       

コロナワクチンは生きた新型コロナウイルスを含むワクチンではないので、接種が原因で新型コロナウイルスに感染することはありません。

がんの治療方法によっては、コロナワクチンの接種時期を調整した方がよいものはありますか?

基本的にはコロナワクチンを接種できるタイミングで接種していただいて結構です。 ただ、コロナワクチン接種後は、発熱や倦怠感などの症状が出ることがあり、がん診療に影響が出る場合もございますので、手術直前の接種などは控えていただくのが良いと思います。担当医にご相談ください。

強い免疫抑制がかかる治療以外に接種時期の調整を考えた方が良いケースはありますか?

明らかな発熱を呈している、重篤な急性疾患にかかっていることが明らかである、接種しようとする接種液の成分に対してアナフィラキシーを呈したことが明らかである、その他の理由により予防接種を行うことが不適当な状態である、といったワクチン接種不適当者にはワクチン接種をしないことになっています。 がん患者さんにも様々な状況の方がいらっしゃると思いますが、例えば、がんの進行などにより全身状態があまり良くないような場合や発熱が続いているような場合などには、無理にコロナワクチンを打つ必要はないと思います。そのような場合は主治医の先生と相談し、接種時期について慎重に判断することが大切です。

血液がんにかかった場合、特に造血幹細胞移植を受けた場合、コロナワクチンを接種してもよいですか?                                   

血液がんにかかった場合でもコロナワクチンを接種して差し支えありません。 造血幹細胞移植を受けた場合には、ガイドラインに示されている不活化ワクチンと同様のタイミングで接種を受けて良いと考えられていますが、十分なデータがないので、新型コロナウイルス感染症の流行状況を勘案した上で、主治医とよくご相談ください。

ファイザー社やモデルナ社などのコロナワクチンがありますが、がんにかかった場合、ワクチンの種類を選んで受けた方がよいですか?

臨床試験でのワクチン効果、有効性に関しては若干、数値的には違いがありますが、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を抑えるという意味では、いずれのワクチンも同じように有効であると考えられています。

小児のがんとコロナワクチンについて

NEW 小児がん患者の場合、感染リスクはどれくらい高いですか?
また感染した際に重症化しやすいでしょうか?

小児も新型コロナウイルス感染症に罹患しますが、重症化することは少ないとされています(1)。厚生労働省の集計では、2022年8月2日までで、人口10万にあたりの陽性者数は他の年代と比べたら多いものの、人口10万人あたりの死亡者数は0.09から0.12と他の年代よりも少なくなっており、重症化して死亡する割合は低いと考えられます。(2)小児がんの患者さんが新型コロナウイルス感染症に罹患するリスクを、過度に心配する必要はないと考えられます。また重症化リスクに関しても、成人と較べて低いと考えられますが、健常小児と比較した場合には、小児がんの患者さんの方が重症化のリスクが高くなるという報告(3)もあるので、注意は必要です。

文献

(1)日本小児科学会  小児における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状と感染対策についての見解(外部サイトにリンクします)
(2)厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(死亡者割合)(外部サイトにリンクします)
(3)Mukkada S, Bhakta N, Chantada GL, et al.: Global characteristics and outcomes of SARS-CoV-2 infection in children and adolescents with cancer (GRCCC): a cohort study. Lancet Oncol 2021; 22: 1416–26

小児のがん患者は、新型コロナワクチンを接種した方が良いでしょうか。
小児での安全性、副反応は?

前述のとおり、小児がんの患者さんでは、重症化リスクが健常な小児よりも高くなる可能性があるので、成人のがん患者さんと同様に新型コロナワクチンを積極的に接種することが推奨され 子どもを新型コロナウイルスから守るためには日頃の感染防止対策を注意するとともに、周囲の成人や思春期の青少年がワクチンを接種することで、感染を拡げないように配慮していただくことも大切です。(1) 小児での安全性に関して、海外の臨床試験(2)では、接種部位の疼痛、発熱、全身のだるさ、頭痛など若年成人で見られる副反応と同様の副反応が認められています。ただ、小児の被接種者はまだ成人ほどは多くないので、最近10歳代、20歳代の男性で報告されている心筋炎などのことも含め、今後も注意してみていく必要があります(3)

文献

(1)日本小児科学会 新型コロナワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方および接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等(外部サイトにリンクします)
(2)Frenck RW Jr, Klein NP, Kitchin N, et al.: Safety, Immunogenicity, and Efficacy of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Adolescents. N Engl J Med. 2021 Jul 15;385(3):239-250. doi: 10.1056/NEJMoa2107456. Epub 2021 May 27.
(3)第70回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第19回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 資料(2021年10月15日開催)資料1-1-1.(外部サイトにリンクします)

NEW 小児のがん患者は、優先してコロナワクチンを接種できますか?

特に小児がんの患者だということでの優先措置はありませんが、既に6カ月以上の乳児も臨時接種の対象に含まれておりますので、ワクチンを接種できる状態であればいつでも接種することは可能です。基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐことが期待されます。
参考:日本小児科学会 5歳~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方(外部サイトにリンクします)

日本小児科学会 生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方(外部サイトにリンクします)

がん治療後とコロナワクチンについて

NEW がん治療は一段落して、現在は経過観察中です。
4回目やオミクロン株対応ワクチン
の接種を行った方がよいですか?         

従来型ワクチンによるコロナワクチンの 4回目接種は3回目の接種から3カ月が経過した
1. 60歳以上の方
2. 18歳以上で基礎疾患を有する方、その他重症化リスクが高いと医師が認める方を対象としています。
ただ「令和4年秋開始接種」 が既に開始されており、オミクロン株対応ワクチンは、日本国内で少なくとも初回接種(1回目・2回目)が完了し3カ月以上たった方が打っていただけます。がん患者さんは、4回目接種もオミクロン株対応ワクチンを接種するのがよいでしょう。
経過観察中の患者さんも同様です。   

がん治療は一段落して、現在は経過観察のみになっています。
コロナワクチンを接種する時、主治医に事前に相談してからの方がよいですか?                   

コロナワクチン接種の予診票に治療中の病気について記載するので、予診医から「かかりつけの先生に相談しましたか」と聞かれることがあります。ご心配でしたら主治医にご相談いただくのが良いと思いますが、既にがんの治療が一段落して現在経過観察のみというような場合、コロナワクチン接種の判断に、主治医のコメントは必ずしも必要ないと考えます。

現在、がん治療後の経過観察も終了して、通院はしていません。
コロナワクチンを接種する時、以前通院していた病院に事前に相談した方がよいですか?

かかりつけだった医師に相談する必要はありません。そのまま会場に行っていただいても大丈夫です。地元の接種できる医療機関・会場で接種していただくのがよいでしょう。

コロナワクチンについて

コロナワクチン接種の副反応が心配です。
どのような副反応がありますか?接種回数によって副反応はかわりますか?

ほとんどの人が接種した部位の痛みを感じています。それはコロナワクチンに対する体の反応ため、やむをえません。接種してすぐには痛くはありませんが、あとから痛みが出てきます。また倦怠感を訴える方、熱が出る方も多く、接種回数が増えても同様に認められます。それもコロナワクチンに対する体の反応と理解していただければ良いと思いますし、多くは3日以内に軽快するので、それほど心配する必要はありません。 一番注意しなくてはいけないのがアナフィラキシー症状です。頻度的には他のワクチンと大きく変わりありませんが、もともとアレルギー体質の方での発症率は高いという報告があります。もしアナフィラキシー症状が起きた場合にはアドレナリンを注射するなど適切な対応を取る必要があります。接種会場では、アナフィラキシーなどが起きた場合すぐに対応できる準備がしてありますので、安心して接種していただいて良いでしょう。 接種後は、通常15分程度経過観察してから帰っていただきますが、他のワクチンでアナフィラキシーなどアレルギー症状を起こしたことがある方は30分ぐらい様子をみてからお帰りいただくようにしています。

追加接種に関しても、概ね同様の副反応があるとされていますので、接種後は経過観察してからお帰りください。

参考:厚生労働省 新型コロナワクチンの有効性・安全性についてについて(外部サイトにリンクします)

過去にワクチン接種でアレルギー反応があった場合、どのように対応すればよいですか?

どのようなワクチンでどのようなアレルギー反応があったかにもよりますが、例えば過去にワクチン接種でアナフィラキシーのような重いアレルギー反応があった場合は、十分な注意をはらった上で接種することになります。ただし接種するワクチンの成分に対してアナフィラキシーを起こしたことが明らかな場合には接種できません。

参考リンク集

各種がん学会

厚生労働省 

薬事承認され、予防接種法に基づいて接種できるワクチン