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東病院頭頸部外科の特徴

頭頸部がんの専門家で構築されている診療チーム

頭頸部には話す、食べるなど人が社会生活していくために必要不可欠な機能があり、治療には根治性(病気を治すこと)と機能温存の両立が必要であり高い専門性が求められます。東病院では患者さんの価値観、生活の質を考慮し治療の提案をするために外科医のみならず薬物療法の専門家である頭頸部内科医、そして放射線診断医、放射線治療医など、経験豊富な頭頸部がんの専門家からなる診療チームによる治療体制構築されています。東病院の頭頸部外科は年間500件前後の手術をおこなっており、経験豊富なエキスパートが機能温存手術、咽喉頭の内視鏡下手術、きずが小さく美容面に優れる術式や、光免疫治療など様々な術式で対応しております。また、治療中の合併症のリスクを減らすため治療早期から歯科医による口腔ケアを重視しており、治療前から治療後に至るまで対応します。術後嚥下(えんげ)機能の低下した患者さんへは言語聴覚士による嚥下リハビリテーションを行っており、手術による上肢挙上機能低下または上肢挙上制限などの運動障害に対しては術後早期から理学療法士によるリハビリテーションを行うなど機能回復にも努めています。
また、進行がんで広範囲切除術が必要な場合は、顕微鏡下血管吻合(ふんごう)を用いた遊離(ゆうり)組織移植の開発により、広範囲切除術後の機能、整容的な保持が可能となり、治療成績、術後のQOL(生活の質)を担保しています。東病院では術後の機能、整容面で重要な再建は、経験豊富な再建外科医(形成外科)が行っており、進行がん術後においても機能温存がなされているのが特色です。
外科医、内科医、放射線科医、歯科医、言語聴覚士、理学療法士などそれぞれのエキスパートが、チームを組んでがん治療をおこなっているのが東病院の頭頸部がん治療です。

機能温存手術

東病院の頭頸部外科では、喉頭がんや下咽頭がんに対して音声や嚥下に関連する機能温存手術を東病院開院当初よりおこなってきました。外切開の喉頭部分切除術、下咽頭部分切除術はこれまで350例程度(開院~2020年度)の症例数があり、それらの知見、ノウハウを基に下咽頭や喉頭の部分切除術の適応を決め、手術、術後管理を行っています。
また、頸部郭清術においても年間200側程度の症例数があり、根治性を担保し、神経、筋、静脈を可能な限り温存し機能保持を行う手術をおこなっています。また、術後の頸部、肩のリハビリも積極的におこなっており、機能保持に努めています。

内視鏡下切除による低侵襲手術

近年、内視鏡機器の進歩により、咽頭、喉頭のこれまで同定が難しかった表在がん(浅いがん)がみつかるようになってきました。これらの表在がんや早期のがんに対して消化管内視鏡科と協力し、内視鏡的咽喉頭手術を行っています。ELPS(イーエルピーエス/Endoscopic Laryngo Pharyngeal Surgery)と呼ばれ、内視鏡ガイド下に頭頸部外科医が切除する術式です。これにより従来外切開が必要であった早期の咽頭がん、喉頭がんにおいてより低侵襲な切除が可能となりました。年間100件前後の手術をおこなっています。内視鏡下切除術の一つとして、手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた手術も行っています。

創(きず)が小さく目立たない手術

光免疫療法

当科では2021年1月より保険診療として認められている「光免疫療法(アルミノックス治療)」をおこなっております。アキャルックス®点滴静注とレーザー光照射を行う治療で、米国国立がん研究所(NCI)の小林久隆主任研究員の研究成果をもとに共同開発され、当科で国内第I相および第III相試験をおこなってきました。がん細胞の表面にあらわれるタンパク質に結合する薬剤(アキャルックス®)を投与し、医療機器を用いてレーザー光を当てることでアキャルックス®がこれに反応し、がん細胞を死滅させる治療法です。

アキャルックスについて作用機序

BioBladeレーザシステム

注:インターネットやメディアなどで取りあげられている光免疫療法”は、上記以外の治療に対しても使われている場合があります。当院で行っている「光免疫治療(アルミノックス治療)」と異なることがあります。

本治療の対象

『切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌』です。化学放射線療法等の標準的な治療が可能な場合にはそれらの治療を優先することが定められています。

『切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌』のうち、レーザー光を適切に照射できる方が対象となります。

根治手術が可能な方、放射線治療が可能な方は対象となりません。

頸動脈などの大血管に接する病変には施行することができません。

セツキシマブに対して重篤な過敏反応があった方は施行することができません。

楽天メディカル社ホームページ「アキャルックス®点滴静注とレーザー光照射による治療を受けられる患者さん・ご家族の皆さま」において、光免疫療法のスケジュール、注意すべき副作用、Q&A、サポート制度などについて紹介されていますのでご参照ください。(https://pts.rakuten-med.jp(外部サイトにリンクします))

更新日:2024年5月8日