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緩和ケア病棟に入院された患者さんに関する調査結果
緩和医療科を受診される患者さんたちは、痛みで苦しんでいくのか、自分はどうなっていくのか、と非常に強い不安や苦しみを抱えていらっしゃいます。その見通しについてお話しすることによって、患者さんの不安が和らぐことを、私たちは日常の診療の中でよく経験しています。
しかし、患者さんたちが、どのように自分の症状や体調が変化していくのかについて、自分たちで調べようとしても、その情報を教えてくれるものはなかなか見つかりません。
今回、国内の23施設の緩和ケア病棟が協力し、2017年1月から2017年12月まで、緩和ケア病棟に入院された患者さんの症状や体調の変化について観察する大規模な研究を行いました(全体の研究代表者:聖隷三方原病院 森雅紀 先生)。
私たちのグループは、この大規模研究のデータの付随研究として、緩和ケア病棟に入院された様々ながんの患者さんたちが入院時と亡くなる3日前の症状の程度がどのようであったかについて解析し、結果をまとめました。
自分と同じ病気の患者さんが、どのような程度の症状であったのかについて知ることで、患者さんたちのストレスや負担が少しでも和らぐように、また、医療者の方たちが説明に利用し、つらい症状を和らげることに尽力できるようにと願い、ここに結果を公表します。
ご協力頂きました患者さん、ご家族、医療従事者の皆様に心より感謝申し上げます。
国立がん研究センター東病院 緩和医療科一同
研究方法
対象
2017年1月から2017年12月の間に国内の23施設の緩和ケア病棟に入院され、亡くなられたがん患者さん。各施設で約30から100名程度を登録。
研究参加施設(23施設、順不同)
- 聖隷三方原病院
- 日本バプテスト病院
- 国立がん研究センター東病院
- がん・感染症センター都立駒込病院
- 兵庫県立加古川医療センター
- 聖路加国際病院
- 川崎市立井田病院
- 大阪市立総合医療センター
- 永寿総合病院
- 小牧市民病院
- 淀川キリスト教病院
- 東北大学病院
- 県立広島病院
- 筑波メディカルセンター病院
- 吹田徳洲会病院
- JCHO東京新宿メディカルセンター
- 栄光病院
- 三菱京都病院
- 日本赤十字社医療センター
- ガラシア病院
- 東京医科歯科大学病院
- 飯塚病院
- 大阪鉄道病院
研究のタイプ
多施設共同前向き観察研究
収集したデータ
- 年齢・性別・がん種・入院期間
- 入院時に医療用麻薬を使用中の患者さんの割合・使用量(経口モルヒネ換算)、その患者さんの亡くなる前24時間の医療用麻薬の使用量(経口モルヒネ換算)
- 入院時および亡くなる前3日間における最大の症状の程度(痛み・息苦しさ・だるさ・足のむくみ・腹水・興奮や混乱)
結果を提示するがんの種類(全20種)
脳腫瘍、頭頸部がん・甲状腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、胆道がん、膵がん、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、腎がん、腎盂尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、悪性リンパ腫・多発性骨髄腫・急性骨髄性白血病、原発不明がん
全がん種のデータのうち、20名以上の患者さんのデータ解析が可能であったがん種に絞り結果を公開しています。