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中央病院 婦人腫瘍科 子宮頸がんの治療について

1. 子宮頸がんとは

子宮頸がんは、子宮の入り口部分である「子宮頸部」に発生するがんで、近年は20~30代の若い世代での罹患が増加しています。
主な原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)の持続的な感染です。HPVは性交渉によって感染するごくありふれたウイルスで、多くの女性が一生に一度は感染すると言われています。通常、感染しても90%以上は自己の免疫力によって自然に排除されますが、一部のケースでウイルスが排除されずに感染が持続(持続感染)することがあります。
この持続感染の状態が数年から十数年続くと、「異形成」と呼ばれる前がん病変を経て、子宮頸がんへと進行する可能性があります。逆に言えば、子宮頸がんは原因がほぼ特定されており、HPVワクチンによる感染予防と、子宮頸がん検診による前がん病変段階での早期発見が極めて有効ながんです。

2. 診断について

子宮頸がんの主な症状

子宮頸がんは、特に初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、症状がないまま進行することがあります。そのため、定期的な検診が非常に重要です。 進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 不正性器出血(月経以外の出血、特に性交渉後の出血)
  • おりものの異常(水っぽい、膿のような、血が混じる、においが強くなるなど)
  • 月経の変化(経血量の増加、月経期間が長くなるなど)
  • 下腹部痛、腰痛、血尿・血便(さらに進行した場合)

診断プロセス

上記のような症状がある場合や、検診で異常を指摘された場合、当科では以下の精密検査を行い、正確な診断と進行度(ステージ)の決定を行います。

  • 確定診断: コルポスコピー(腟拡大鏡)での観察下に組織を採取する「組織診」や、子宮頸部を円錐状に切除する「円錐切除術」で、がんの有無や広がりを正確に診断します。
  • 進行期診断: MRI、CT、PET-CTなどの高度な画像検査を駆使し、がんの大きさやリンパ節・他臓器への転移の有無を詳細に評価します。

3. 治療について

正確な診断に基づき、根治性(がんを治すこと)とQOL(生活の質)の維持を両立させる治療法を提案します。

前がん病変・ステージIA1期(微小浸潤がん)

  • 治療法: 「子宮頸部円錐切除術」という選択があります。これにより診断と治療を同時に行えます。
  • 追加治療: 切除した組織の病理診断で「リンパ管脈管侵襲」など再発リスクが高いと判断された場合は、子宮を摘出する手術を追加することがあります。

ステージIA2期~IIB期(早期浸潤がん)

このステージでは手術療法と放射線療法の2つがあります。

  • 基本術式: 広汎子宮全摘出術(子宮、腟の一部、周辺組織、骨盤リンパ節を広く切除)
  • 術後の再発予防治療(術後補助療法) 手術で切除した組織を病理検査で詳細に調べた結果、リンパ節転移子宮傍組織への浸潤など、再発リスクが高いと判断された場合には、追加治療として放射線治療を提案することがあります。
    • 目的: 手術した骨盤内に残っている可能性のある、目に見えないがん細胞を根絶し、再発を予防します。
    • 治療法:
      • 術後放射線療法: 体の外から骨盤全体に放射線を照射します。
      • 術後同時化学放射線療法(CCRT): 放射線の治療効果を高めるため、抗がん剤(シスプラチンなど)を併用しながら放射線治療を行います。
    • 当科の体制: どの治療法が患者さんにあっているかは、婦人腫瘍科と放射線治療科の専門医が参加するキャンサーボードで緊密に連携し、患者さん一人ひとりの状態に合わせて決定します。また、治療に伴う副作用(下痢や頻尿など)を最小限に抑えるため、専門のサポートチームが手厚いケアを提供します。

ステージIII期~IVA期(局所進行がん)

  • 標準治療: 手術での完全切除が難しいこのステージでは、放射線治療と抗がん剤を組み合わせる「同時化学放射線療法」が標準療法となります。放射線治療科と緊密に連携し、治療いたします。

ステージIVB期・再発がん

  • 治療法: 薬物療法(化学療法)が中心です。
  • 最新の薬物療法: 従来の抗がん剤に加え、がんの増殖に関わる分子を狙う「分子標的薬(ベバシズマブなど)」や、免疫の力でがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブなど)」を併用する治療など、治療成績の向上を目指しています。

妊孕性温存について

  • 当科の妊孕性温存については担当医にご相談ください。

4. 療養について

がんを治療するだけでなく、患者さんが自分らしい生活を取り戻せるよう、多職種でサポートします。

  • サポーティブケア: 治療に伴う副作用や心身のつらさを和らげるため、緩和医療チーム、専門看護師、薬剤師、リハビリテーション科などが介入します。
  • 晩期合併症へのケア: 術後の排尿障害やリンパ浮腫、放射線治療後の腸閉塞など、治療後しばらく経ってから現れる症状に対しても、専門的なケアを提供します。
  • 療養生活全般のサポート:治療後の日常生活や社会復帰、経済的な問題など、患者さんとご家族が抱えるさまざまな不安に寄り添います。仕事との両立、食事や運動、性生活に関する悩み、医療費のことなど、どんなことでも専門のスタッフ(看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理士など)にご相談ください。プライバシーに配慮した環境で、一人ひとりに合った情報提供や支援を行います。

5. 婦人腫瘍科を受診される皆様へ

子宮頸がんと診断され、不安な気持ちでいらっしゃることと存じます。私たちは、患者さんとご家族に常に寄り添い、十分な説明と対話を通じて、ご自身が納得できる治療法を一緒に見つけていくことを最も大切にしています。
キャンサーボード(多職種カンファレンス)で一人ひとりの治療方針をしっかり話し合い、治療を行っています。セカンドオピニオンについても積極的に受け入れておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。