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クリニカルパスの解説
呼吸器外科手術を受けられるかたへ。
入院前から退院までの流れについて、入院総合計画書である当院の標準的な「クリニカルパス」について、説明いたします。
はじめに。
肺の手術を受けられる患者さんに、入院前から手術後の検査や処置などの流れについて示した、当院の標準的なクリニカルパス(入院総合計画書)について、説明します。
実際には、それぞれの患者さんの状態などに合わせてクリニカルパスの内容に多少の変更を加えながら退院までケアしていきます。
お渡ししたA3サイズの用紙の表を、入院前、入院日といった経過ごとに分けて説明いたします。
なお、これは呼吸器外科手術の一般的な経過です。切除の大きさや部位で、経過が異なることがあります。
入院前に行うことについて、説明します。
まず、一番上の「点滴・注射」から一番下の「その他」までは、当院でごく一般的に行っている医療行為です。
そのうち、入院前に行うのは、次の3項目「検査・測定」「説明」「その他」です。
3項目の内容について、紹介します。
- まず、検査・測定では、外来で入院・手術に備えた検査を実施します。
- 説明では、たばこを吸われている方に禁煙の必要性と、麻酔医の診察および麻酔の説明を行います。
- その他、たばこを吸われている方は必ず禁煙するようにしてください。
入院日に行うことについて、説明します。
右側の項目は、当院で行う医療行為の一覧です。
そのうち、入院日に行うことは、次の6項目「内服」「検査・測定」「安静・活動」「排泄」「説明」「その他」です。
6項目の内容について、紹介します。
- まず、内服では、病室で、現在使用している薬を薬剤師が確認します。
- 検査・測定では、身長・体重測定、採血、尿検査、胸部X線検査で、必要なときは痰の細菌検査も実施します。また、1日1回から4回検温を行いますので、熱を測って用紙に記入してください。
- 安静・活動では、活動制限はありません。ただし、外出・外泊は主治医の許可と届け出用紙の記入が必要です。
- 排泄も、とくに制限はありません。
- 説明では、看護師から、入院生活について、手術に必要なもの、手術前と術後の経過について説明があります。
- その他として、T字帯を1枚準備して、記名後、それを看護師へ渡してください。
「手術前日」から、「退院」までの流れについて、説明します。
- 手術前日は、主治医から病気と手術について説明があります。
- 手術直後から翌日は、体にモニター、酸素、胸の管、尿管がついています。
- 術後1日目は、歩く練習、昼から食事を開始します。
- 術後2日目は、胸の管を抜きます。
- 術後3日目は、血液検査・胸部X線検査を行います。
- 術後4日目は、退院です。
それでは、個々にみていきましょう。
手術前日に行うことについて、説明します。
右側の項目は、当院で行う医療行為の一覧です。
そのうち、手術前日に行うのは、次の7項目「内服」「検査・測定」「処置」「安静・活動」「排泄」「清潔」「説明」です。
7項目の内容について、紹介します。
- まず、内服ですが、21時、下剤を内服します。希望により睡眠薬服用も可能です。看護師に相談してください。
- 検査・測定は、21時、お手洗いのあと、体重測定をします。また、1日1回から4回検温しますので、熱を測って用紙に記入してください。
- 処置は、手術部位の体毛の除毛を行います。弾性ストッキングのサイズを測定します。
- 安静・活動では、活動制限はありません。
- 排泄では、とくに制限はありません。
- 清潔では、体毛処置後に入浴します。爪を切ります。
- 説明では、手術室看護師の術前訪問があります。手術前日までに主治医から病気と手術について説明があります。
手術当日に行うことについて、説明します。
「起床」してから「手術」までの流れは、手術の順番によって、患者さんごとにその時間がことなるため、〇時頃としています。
具体的な内容は次のページで説明します。
手術当日に行う内容について、紹介します。
時間が 〇時頃 となっていますが、これは手術の順番によって患者さんごとに時間がことなるからです。
- まず起床時ですが、食べたり飲んだりはできません。洗面、歯磨き、そして男性の方はひげ剃りをしてください。
- 入れ歯、コンタクト、指輪、ネックレス等はすべて外してください。
- 長い髪はゴムでまとめてください。
- お手洗いのあと、体重測定をします。2番目以降の手術の方のみ点滴を開始します。
- 手術衣に着替えます。弾性ストッキングをはきます。
- 手術室に向かいます。
そして、手術を受けます。
ご家族様に、手術当日の流れについて、説明します。
手術の順番によって、患者さんごとに時間がことなります。
- ご家族様に院内連絡用のPHSをお渡しします。
- 手術中は8階の家族待合室、あるいはご家族のどなたかがPHSを持って必ず院内にいるようにしてください。(駐車場は電波が届きませんのでご注意ください)
- 手術終了後に、医師よりPHSに連絡が入りますので、8階の説明室におこしください。
- 面会が可能になりましたら、看護師よりPHSに連絡が入ります。その際に、面会方法について説明させて頂きます。
- 手術の後も面会時間は時間厳守でお願いします。
面会時間は平日:13時から19時、土日休日:10時から19時になります。 - 小さいお子様の面会はご遠慮ください。
手術直後から翌日について、説明します。
そのうち行うことは次の7項目「点滴・注射」「内服」「検査・測定」「処置」「安静・活動」「排泄」「説明」です。
7項目の内容について、紹介します。
- まず点滴・注射では、24時間点滴します。血栓予防のため抗凝固剤の点滴も考慮されます。
- 内服では、背中に痛み止め注入用のカテーテルで持続的に注入します(痛みがひどい場合は点滴や座薬を使用します)。
- 検査・測定では、1時間から2時間おきに検温をします。体には、心電図、酸素飽和量、動脈圧モニターが付いており、体調を常にチェックしています。血液検査や胸部X線検査も行います。
- 処置では、手術後は酸素マスクをしています。状態が落ち着いたら、鼻からの酸素吸入に変更します。胸には排液を出す管(胸腔ドレーン)が装着されています。胸腔ドレーンについては、20ページで説明いたします。
- 安静・活動では、2時間ごとに身体の向きを変更します。足の血栓予防を目的としたマッサージ器械を装着します。
- 排泄では、尿管が付いています。
- 説明は、8階説明室にて、ご家族に医師より手術内容を説明します。
術後1日目について、説明します。
行うことは次の7項目「点滴・注射」「内服」「検査・測定」「処置」「安静・活動」「排泄」「清潔」です。
7項目の内容について、紹介します。
- まず点滴・注射では、昼から食事を開始し、半分以上食べられたら点滴は終了です。
- 内服では、食後、痛み止めを内服します。痛みが強ければ座薬や錠剤を追加します。
- 検査・測定では、看護師付き添いで体重を測定します。血液検査、胸部X線検査を行います。4時間から6時間おきに検温します。心電図・酸素飽和度・動脈圧モニターを外します。
- 処置では、鼻から酸素吸入をします。呼吸状態が安定し、医師の許可で終了することもあります。胸に排液を出す管が装着されています。胸腔ドレーンについては、20ページで説明いたします。
- 安静・活動では、座ることからはじめ、歩く練習を行います。点滴などの管があるため、看護師が付き添います。
- 排泄では、歩行ができれば尿管を抜き、紙コップで尿量を測定します。
- 清潔では、体を拭いて着替えをします。
術後2日目について、説明します。
行うことは、次の5項目「内服」「検査・測定」「処置」「安静・活動」「清潔」です。
5項目の内容について、紹介します。
- まず内服では、痛み止め注入用のカテーテルを抜きます。食後、痛み止めを内服します。痛みが強ければ座薬や錠剤を追加します。
- 検査・測定では、朝食前に体重測定します。血液検査・胸部X線検査を行います。1日4回検温します。熱を測り用紙に記入してください。
- 処置では、排液の量や色、肺の状態をみながら、胸の管を抜きます。管を抜いた2日後が退院の目安です。胸腔ドレーンについては、次のページで説明いたします。
- 安静・活動では、一人で歩けたら、転ばないよう気を付けて積極的に歩きましょう。歩行は全身の回復、肺炎予防に有効です。
- 清潔では、体を拭いて着替えをします。
胸腔ドレーンについて、説明します。
胸の排液を出す管を胸腔ドレーンといい、手術直後しばらくは装着されています。
管を抜く目安は、術後2日目です。
術後2日目では、排液の量や色、肺の状態をみながら、胸の管を抜きます。
胸の管の痕はナイロンの糸で縫っているので、次回の外来で抜糸します。
管を抜いた部分に貼ったシールは、翌日に剥がします。自宅では上に何も貼らないでください。
消毒は不要です。
管を抜いたさらに2日後が退院の目安です。
背中の痛み止めの管、胸の管が抜けたら、翌日から全身シャワーが可能です。翌々日から入浴できます。
術後3日目から退院について、説明します。
行うことは、次の5項目「内服」「検査・測定」「安静・活動」「清潔」「説明」です。
5項目の内容について、紹介します。
- まず内服では、食後、痛み止めを内服します。痛みが強ければ座薬や錠剤を追加します。
- 検査・測定では、朝食前に体重測定します。血液検査・胸部X線検査をします。1日4回検温しますので、熱を測り用紙に記入してください。
- 安静・活動では、一人で歩けたら、転ばないよう気を付けて、積極的に歩いてください。歩行は全身の回復、肺炎予防に有効です。
- 清潔では、背中の痛み止めの管、胸の管が抜けたら、翌日から全身シャワーが可能です。翌々日から入浴可能です。
- 説明では、退院日が決まったら、看護師から、自宅療養、次回受診日、お会計について説明があります。