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研究について
現在、より有効で負担の少ない進行がん・難治がんの新規治療を開発するための多数の臨床研究・基礎研究の実施・協力を行っています。
進行中の研究(2023年8月現在)
泌尿器がん・後腹膜腫瘍手術の低侵襲化に関する臨床研究(技術関連)
従来開腹手術で対応していた、高難度手術症例に対して、積極的にロボット支援手術・体腔鏡手術を導入し、低侵襲手術術式の標準化を目指した研究を行っています。
- 放射線治療後の骨盤内手術におけるダビンチを用いた低侵襲手術の研究
- 副腎・後腹膜腫瘍拡大切除における腹腔鏡を用いた低侵襲手術の研究
泌尿器がん・後腹膜肉腫における臨床検体を用いたバイオマーカー探索
周術期の臨床情報、病理検体やバイオバンク保存検体を用いた病院内横断的な様々なバイオマーカー探索研究に、携わっています。またこの中では、国立がん研究センター研究所とのコラボレーションも行っています。
- 泌尿器がんにおける治療前血中マイクロRNAによる予後予測アルゴリズム構築研究(慈恵医科大学 泌尿器科・がんセンター研究所細胞情報学分野との共同研究)
- 泌尿器後腹膜腫瘍における周術期免疫・栄養指標を用いたバイオマーカー研究
- 全ゲノム解析患者還元体制構築研究(AMED全ゲノム患者還元班プロジェクト)
- 正常腎組織培養系を用いた腎線維化評価(がんセンター研究所分子薬理研究分野 濱田哲暢先生との共同研究)
全国的な泌尿器がん多施設共同研究への参画
主にJCOG(日本臨床腫瘍グループ)・JUOG(日本泌尿器腫瘍グループ)を始めとした、全国の医療機関との共同臨床研究に積極的に参加し、研究結果を様々な医学雑誌へ報告しています。
- JCOG1019 High grade T1膀胱癌のsecond TUR 後T0 患者に対するBCG膀胱内注入療法と無治療経過観察のランダム化第III相試験
- JCOG1403 上部尿路癌術後の膀胱内再発予防における術直後単回ピラルビシ ン膀胱内注入療法のランダム化比較第III相試験
- JCOG1905 進行性腎細胞癌に対するPD-1経路阻害薬の継続と休止に関するランダム化比較 第III相試験
- JCOG2011 High volume転移を認める内分泌療法感受性前立腺癌患者に対する抗アンドロゲン療法への局所放射線治療併用の意義を検証するランダム化第III相試験
- JUOG 膀胱癌に対する根治的膀胱全摘除術の包括的調査:多機関共同観察研究
- JUOG 切除不能尿路上皮癌の治療に関する多機関共同観察研究
- JUOG 本邦における BCG unresponsive 症例の実態調査
- JUOG 非転移性去勢抵抗性前立腺癌における予後予測因子と新規抗アンドロゲン剤治療効果の解明
- JUOG 転移性腎細胞がん患者を対象としたI-O based combination therapy後のTKI治療の有効性と安全性に関する多施設共同後方視的観察研究
- 前立腺がんに対するロボット支援根治的前立腺全摘術の多機関共同観察研究
遺伝性泌尿器悪性疾患に関する疫学研究・新規治療法の開発
- VHL病(フォン・ヒッペル・リンドウ病)に関する疫学研究・新規治療法の開発(AA Chakraborty and E. Nakamura e al. Sci Transl Med. 2017 doi: 10.1126/scitranslmed.aal5272. SK Flores and E. Nakamura e al J Clin Endocrinol Metab. 2019 doi: 10.1210/jc.2019-00235.)
- 褐色細胞腫に関する疫学研究・新規治療法の開発(M Yonamine and E. Nakamura e al. Cancers (Basel). 2021 Aug 9;13(16):4014. doi: 10.3390/cancers13164014.)
臨床研究に関するオプトアウトについて
通常、臨床研究は文書もしくは口頭で十分な説明を行い、患者様からの同意(インフォームド・コンセント)を得て行われます。これを「オプトイン」と言います。なお、同意には、主として「文書による同意」と「口頭による同意」がありますが、臨床研究に関わる同意は、文書による明確な同意を基本とします。(一方、口頭による同意を取得した際は、その旨を遅延する事なく診療録に記載します。)
臨床研究のうち、観察研究(対象となる患者さんの診療データのみを匿名化して用いる研究)においては、患者様に対して研究を目的とした積極的な侵襲や介入がないため、国が定めた倫理指針に基づき、「必ずしも対象となる患者様お一人ずつから、臨床研究ごとに直接同意を得る必要はない」とされております。しかし、「研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を通知または公開し、さらに可能な限り拒否の機会を保障する事が必要」とされており、このような手法を「オプトアウト」といいます。
上記の様な臨床研究のために、患者様ご自身のデータが使用される事を望まれない場合やご不明な点がございましたら、お手数ですが研究担当者までお知らせください。
National Clinical Database(NCD)登録について
泌尿器・後腹膜腫瘍科、腫瘍内科わが国における外科系医療の現状を把握するため、日本外科学会を中心に一般社団法人National Clinical Database(以下、NCD)が設立され、2011年に症例登録が開始されております。国立がん研究センター中央病院もNCDに参加しておりますが、2018年から日本泌尿器科学会においてNCDに参加することが決定し、当科で治療されました患者様の患者情報(個人を特定できる情報は含みません)や術式のデータはNCDに登録されることになりました。患者様にはご理解を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。