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高線量率密封小線源治療
高線量率密封小線源治療とは
放射線治療の方法には、大きく分けて外部照射と内部照射があります。外部照射はX線や電子線を照射できる装置(リニアック:直線加速器)を用いて体の外から放射線を病巣部に照射する治療法です。内部照射は、密封小線源と呼ばれる放射性物質を病巣の近くや内部に挿入して、体の内から放射線を照射する治療法です。内部照射は使用する小線源の強さ(単位時間あたりの線量)によって低線量率と高線量率に分けられます。高線量率小線源治療は、高い線量率の密封小線源を用いる治療法です。線源に近いほど線量は高く、線源から距離が離れると急激に線量が減少します。そのため,病巣には高い線量で照射をすることができ、周囲の正常組織には線量を低く抑えることができます。
図1:放射線治療 内部照射と外部照射
線源
高線量率密封小線源治療では、イリジウム192線源を使用します。 線源、カプセル、ワイヤから構成され、カプセルには放射性金属イリジウム192が格納されています。カプセルは線源を駆動するためにワイヤーケーブルに溶接され、イリジウムから放出されるガンマ線によって治療を行います。図2:イリジウム線源寸法
図3:イリジウム線源
治療装置
高線量率リモートアフターローディングシステム(RALS)と呼ばれる専用の装置を用いて照射を行います。イリジウム線源は治療ユニットの線源貯蔵容器(タングステン製)に格納されており、治療時には遠隔操作にて線源を送り出します。線源はミリ単位の精度で移動し、適切な量の放射線を精度よく照射できます。図4:高線量率リモートアフターローディングシステム治療ユニット
(フレキシトロンHDR:Elekta社)
放射線治療計画
高線量率密封小線源治療室と同室設置されたCTシミュレータを使用し、CT画像にて三次元治療計画(画像誘導密封小線源治療:IGBT)を行っています。治療装置とCT装置が同室に設置されているため、器具の挿入から治療計画CTの撮影、照射までCTの寝台上にて全て行うことができます。三次元治療計画では,CT画像から線源と病巣および正常臓器の位置関係を三次元的に把握できるため、線量を正確に評価することができます。そのため,今日ではこのIGBTが小線源治療の中で高精度な放射線治療として位置づけられています。図5:同室設置CTシミュレータ(Aquilion Exceed LB:キヤノンメディカルシステムズ)
図6:三次元治療計画装置(Oncentra:Elekta社)
腔内照射と組織内照射
腔内照射は管腔臓器(子宮腔、気管支、食道、胆管)に専用のアプリケータを配置し、アプリケータの中に密封小線源を挿入して照射を行う方法、組織内照射は病巣の組織(膣、舌、前立腺、乳腺)に細い管を刺入し、刺入した管の中に密封小線源を挿入して照射を行う方法です。
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a.前立腺にアプリケータを配置して撮影したCT画像
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b.線量分布
図7:前立腺高線量率組織内照射治療計画
アプリケータ
密封小線源を照射したい位置に固定するための器具です。治療部位に対応したアプリケータを使用します。病巣部にアプリケータを挿入し、アプリケータの中に密封小線源を通して照射を行います。
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a. タンデムシリンダー
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b.冠状断線量分布
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c. タンデムオボイド
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d.冠状断線量分布
図8:子宮頸用アプリケータ
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a.土器屋式二重バルーン
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b.水平断線量分布
図9:食道用アプリケータ
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a.羽つき(5か所)アプリケータ
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b.水平断線量分布
図10:気管支用アプリケータ
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a. プラスチック製ニードル
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b.乳房刺入時水平断線量分布
図11:ニードル型アプリケータ