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がんサバイバー経験を生かし、リハビリで身体機能の回復・維持を支援
「担当医に運動を控えるように言われている患者さん以外は、機能の維持・回復のためにも、積極的に体を動かしてください」と沖田理学療法士
がんの治療前、治療後、療養中には、身体機能の維持や向上のためにリハビリを行うことが重要です。中央病院骨軟部腫瘍・リハビリテーション科では、現在、4 人の理学療法士がリハビリ指導を行っています。その1人である沖田祐介理学療法士に、理学療法士の仕事内容、目指した理由などをインタビューしました。
理学療法士の役割を教えてください。
理学療法士は、病気やけが、手術や加齢によって身体機能が低下した人に対し、運動、温熱など物理的な方法を用いて、身体機能の回復と、機能低下を予防する役割を担う国家資格です。
がん患者さんの多くは、手術や化学療法、放射線療法などの治療や入院によって、体力や身体機能が低下してしまいます。私たち理学療法士は、医師の指示の下、リハビリ指導を行い、患者さんたちが日常生活に必要な動きや機能を取り戻すためのサポートをしています。
消化器がんや頭頸部がんなどの手術を受ける予定で、合併症のリスクが高いと考えられる患者さんに対しては、リスクを減らすための呼吸訓練、筋力・持久力トレーニングの方法を手術前に説明し、術後も患者さんが自分でリハビリが継続できるようにサポートしています。また、脳腫瘍や食道がん、骨軟部腫瘍の患者さんは手術前にお会いして身体機能を把握し、術後は状態の変化を確認しつつ退院に向けたトレーニングを実施します。
どのようなケアをしているのですか。
専用のリハビリテーション室だけではなく、患者さんの状態によっては、病室でも実施します。患者さんを1対1で指導しながら、日々の身体の変化をチェックしています。早い人は手術の翌日からリハビリをスタートするので、集中治療室でリハビリを行うこともあります。
理学療法士を目指したきっかけは?
中学3年生のとき、骨軟部腫瘍の一種である骨肉腫になって人工関節を入れる手術を受けました。手術後、脚が少し不自由になったのをきっかけに理学療法士という職種に興味を持ちました。私が理学療法士を目指した15年から16年前には、がんの患者さんに対するリハビリの有効性がまだ今ほど着目されていなかったのですが、病気やけがなどで身体の機能が低下した患者さんの役に立てればと思いました。
私は8年前に右脚の一部を切断し、義足をつけています。中央病院に入職する前は、骨軟部腫瘍の手術後の患者さんや義足を使っている人の歩き方の解析をし、脚の障害をカバーしてスムーズに歩く方法の研究をしていました。
中央病院は、希少がんである骨軟部腫瘍の患者さんも多い病院なので、自分の病気や研究の経験を生かして、患者さんのサポートができたらと考えています。
やりがいを感じるのはどんなときですか。
患者さんとコミュニケーションを取って、リハビリのゴールを決め、それがうまくいったときです。
同じがん種で同じように機能が低下していたとしても、どのような対応やリハビリをするかは患者さんによって異なります。小児から高齢者まで、さまざまながん種の患者さんのサポートができることにやりがいを感じています。
今後、実現したいことはありますか?
理学療法士として、個々の患者さんに合ったサポートができるように、日々勉強し続けたいです。患者さんのサポートと並行して、例えば、骨軟部腫瘍などの治療で、治療前と同じように歩けなくなってしまった患者さんが、どのようなリハビリをしたら、どのくらいの期間でどの程度歩行が可能になるのか、見通しを具体的に示せるような研究もしていけたらと考えています。