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治療に向かう力の源、食事を支える「栄養相談」

阿部寛子さん

栄養管理室・管理栄養士の
阿部寛子主任栄養士

中央病院の患者サポートセンターでは、平日は毎日、管理栄養士が、外来の患者さんを対象にした栄養相談を行っています。また、水曜日の13時半から30分間、外来栄養教室も実施しています。
どのような相談が多いのか、阿部寛子主任栄養士に聞きました。

がん治療中の食事に悩んだら

栄養相談とは?

がんの症状や治療による副作用、治療の影響で発症した病気などのために、食事が思うように摂れなくなったり栄養状態が悪くなったりしている患者さんは少なくありません。そのような患者さんに対し、管理栄養士が、食事の摂り方や日常生活の中で無理なく栄養状態を改善するコツなどを提案する場が「栄養相談」です。患者サポートセンターでの栄養相談は、外来の患者さんが対象です。

どのような相談が多いのですか。

ディスプレイ

食品サンプルを使って、1回分の食事量や栄養バランス
のよい食べ方などをアドバイスすることもある

最も多いのは、消化管の手術前後の患者さんからの相談です。食道がんの患者さんの場合は、手術の前から食事があまり摂れなくなっていることも多いので、何を、どれくらい食べているか確認し、食べられそうなものを一緒に考え、栄養を摂る工夫の仕方を提案します。手術後も定期的に来ていただき、1回の食事量や栄養バランスなどを指導します。必要に応じて体構成成分分析により筋肉量や体脂肪量の変化を評価して栄養相談に用いています。
また、薬物療法中や放射線療法中の患者さんに多いのは、吐き気や口内炎、味覚異常などの副作用があって、食事が摂れないという相談です。状況は一人ひとり違うため、症状や体調に合わせて、食べやすい味付けや、きざみ・とろみなど調理の工夫もお伝えしています。無理なく栄養が摂れる市販の栄養補助食品を紹介することもあります。患者さんの中には、手術の影響や薬の副作用などによって、糖尿病や腎機能障害になる方もいます。その場合は、治療に合わせた食事の注意点や、具体的な食事方法をアドバイスしています。

まずは担当医を通して相談を

相談には予約が必要ですか?

基本的には、担当医の先生からの予約が必要です。事前に患者さんの状態がわかっていれば、きめ細かいアドバイスができるからです。食事や栄養についての相談をご希望の方は、まず担当医にご相談ください。また、ささいな相談であれば、週に一度開催している「外来栄養教室」は、予約不要で気軽にご利用いただけると思います。

外来栄養教室とは何ですか?

水曜日の13時半から14時の30分間だけですが、がん治療中の食事の摂り方や、治療の副作用などがあるときの食事の相談に応じています。教室といっても講
義をするわけではなく、誰でも気軽に食事について相談できる場としてご活用いただいています。入院中の患者さんのご家族が参加されて、退院後の食事について相談されることもあります。

患者さんに接するうえで、心がけていることは?

食事に対する考え方や食べ物の好みは個別的なものですから、一人ひとりの嗜好や生活スタイルを尊重しながら、提案・助言するようにしています。食事は人生の大きな楽しみの一つですし、栄養状態が悪いと治療が続けられなくなることもあります。食事に関することなら、どんな些細な悩みでも遠慮なくご相談ください。