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前立腺がん
前立腺がんとは
前立腺は男性のみにある臓器です。早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。しかし、尿が出にくい、排尿の回数が多いなどの症状が出ることもあります。進行すると、上記のような排尿の症状に加えて、血尿が出たり腰痛などの骨への転移による痛みがみられたりすることがあります。
前立腺がんの検査
スクリーニング検査は血液中のPSA1という前立腺に特異的な抗原の値の測定や直腸診を行います。PSAの基準値は一般的には0~4ng/mLです2。この値が上昇している場合は前立腺癌の疑いがあります。前立腺がんが疑われる場合には、経直腸エコーや骨盤部MRI検査などの画像検査を追加してさらに検査をすすめます。
注1:PSAはprostate specific antigenの略です。
注2:PSAの値は年齢によって基準値を下げる場合もあります。
前立腺がんの診断
前立腺がんが疑われる場合は、最終的な診断のために前立腺生検を行います。生検とは腫瘍に細い針を刺して組織の一部を採取する検査です。当院では患者さんの痛みを和らげるために仙骨ブロック麻酔を行い、外来で検査を行っています。
検査は肛門から、超音波プローブを挿入し、前立腺を観察しながら生検針を刺して12か所から前立腺組織を採取します。所要時間は通常麻酔を含めて30分程度です。採取した細胞を顕微鏡で観察しがん細胞の有無を調べます。これを病理検査といいます。病理検査の結果が出るまでには通常1週間程度必要です。
前立腺がんの治療
前立腺がんと診断された場合は、CT/骨シンチ検査を行ってがんの進行度(ステージ)を確認し、その結果を踏まえて治療方針を決定していきます。
転移がない場合の治療法
手術療法
前立腺を全て摘出し、膀胱と尿道を新たにつなぎ合わせる手術です。全身麻酔を用いて行い術後に8-10日間の入院が必要となります。手術後の合併症として、尿失禁・男性機能障害(勃起障害・射精障害)などが起こることがあります。しかし、尿失禁は多くの場合一時的なもので、数か月のうちに回復します。当院では基本的にリンパ節も一緒に摘出する手術方法を用います。また、身体に負担が少ない「ロボット支援下手術(ダビンチ)」で施行しております。
放射線治療
前立腺に放射線を照射することでがんを治療します。放射線の当て方は、体の外から分割して照射する「外照射治療」と、前立腺の内部から照射する「内照射治療」に分かれます。いずれの場合も、合併症としては、放射線による粘膜障害があります。また、直腸粘膜障害による下血、尿道や膀胱の粘膜障害による血尿や頻尿などのリスクがあります。
(PSA)監視療法
非常に早期で発見された悪性度の低いがんの場合は、経過観察する方法も選択肢となります。この経過観察は前立腺がんに対する治療をこの先全くしないという意味ではありません。PSA値1の上昇、症状の出現や悪化、ときには前立腺の生検を再び行い、その都度、経過観察を続けるのか手術などへの治療へ切り替えるのか判断するというものです。手術などの治療をご希望されない方が適応となりますが、患者さんとの話し合いをしっかりした後に選択することが大前提となります。
注1:PSAはprostate specific antigenの略です
転移がある場合の治療法
ホルモン治療
男性ホルモンを抑えることで、がんの進行を抑制する治療法で、進行したがんや高齢などが理由で身体への負担の少ない治療をご希望の場合には有効な治療法です。ただし、数年以内にがんがホルモン剤の効きにくい形に変わる可能性があります。副作用として、ほてりやのぼせ感(ホットフラッシュ)、肥満、骨密度低下、勃起不全、心血管系疾患の発症、肝機能低下などがあります。
化学療法
前立腺がんにおいて、第一選択となることは少ないですが、治療の過程でドセタキセルやカバジタキセルといった抗がん剤を使用する可能性があります。副作用として骨髄抑制(免疫力低下、貧血、易出血性)、脱毛、吐き気、食欲低下などがあります。
その他
現在、ラジウム223による骨転移治療、BRCA遺伝子変異のある方へのオラパリブなどが保険で承認されています。
関連リンク
- がん情報サービス(前立腺がん) (外部サイトにリンクします)