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リンパ浮腫についての基礎知識最も注意すべきリンパ浮腫の合併症蜂窩織炎(ほうかしきえん)についても解説

リンパ浮腫について

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血液は心臓のポンプの働きで動脈→各組織→静脈→心臓と循環します。リンパ液は、静脈に吸収できなかったタンパク質や老廃物などが血管から染み出たものが素になって皮膚直下の毛細リンパ管で作られ、血管と同じように体中に張り巡らされたリンパ管を通り、末梢から胸奥の深い静脈へ一方向に流れます。リンパ管の要所要所にはリンパ節(図1)があり、身体に害になるものを取り除くフィルターのような役割をしています。風邪を引いたときに、耳の後ろが腫れるのは、侵入した菌やウイルスを攻撃するためにリンパ節の働きが活発になっているからです。身体には主要なリンパ節がいくつか存在し、がんの転移に大きく影響しています。がんの治療では、リンパ管やリンパ節を手術で切除したり放射線照射をしたりすることがあります。その影響で、リンパ液が流れる交通の要所が失われてしまいますが、身体は正しい方向にリンパ液を流そうとして細いリンパ管を発達させ、脇道を形成します。この脇道が詰まったり、流れが滞ったりすることで組織にリンパ液が溜まり、むくむ状態をリンパ浮腫と言います。がん治療の影響によるリンパ浮腫は、影響を受けたリンパ節やリンパ管のある範囲だけで起こります。影響の無い場所がむくんだ場合は、心臓や腎臓など全身の病気の可能性もあるので、体のどの場所がむくみを起こす範囲なのかを知ることも大切です。リンパ管やリンパ節に何らかの影響を受けた人は、生涯どのタイミングでもリンパ浮腫を発症する可能性があります。発症の時期は個人差が大きく、術後すぐの方もいれば10年以上たってからという人もいます。一度発症すると根治しにくく、症状が進行すればするほどケアも複雑になります。

リンパ浮腫の進み方

リンパ浮腫の程度は国際リンパ学会の分類に応じて、下の表のように0期からIII期に分類されています。
いきなりIII期になるのではなく、徐々に進行するのが特徴です。適切なケアをすれば改善も期待できるため、早期発見と専門家による適切なケアが重要です。

0期(潜在期) 見た目に症状が分かりにくいため、病期で診断されないこともある。
I期 違和感を感じる程度のむくみがある。日によって症状が変わることも多い。
II期 見た目にもむくみの左右差がわかる。皮膚を圧迫すると跡が残るようになる。
III期 浮腫が最も進行し、皮膚組織が線維化して硬くなる。皮膚の炎症などの合併症も起こしやすくなり、セルフケアのみでは改善が難しい。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

蜂窩織炎(ほうかしきえん)<蜂窩は蜂の巣の意味>は最も注意すべきリンパ浮腫の合併症です。
既にむくみがある方はさらに悪化する原因にもなります。
自覚が全く無い方でも、蜂窩織炎をきっかけにリンパ浮腫になる可能性があるため注意が必要です。

症状

むくみの出る範囲の皮膚が広範囲に赤くなり、熱を持つこともあります。
赤い斑点やかゆみ、ピリピリした痛みを伴うこともあり、38度以上の高熱が突然出ることもあります。

原因

けがや虫刺されなど細菌感染と言われていますが、原因が特定できないこともあります。疲労や過度のストレスによる免疫力低下が原因となることも。

治療

できるだけ早く医療機関を受診します。熱を持った皮膚を冷やし、安静にします。腫れているからと言ってマッサージしたり圧迫したりすることは症状を悪化させる可能性があるため、おすすめできません。

みんなで学ぼう!やってみよう!がん患者さんのためのセルフケア動画

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