トップページ > 共通部門のご案内 > リハビリテーション室 > リハビリテーション室からのお知らせ
リハビリテーション室からのお知らせ
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけについて、政府は2023年5月8日に、季節性インフルエンザなどと同じ”5類“に移行します。院内でのマスク着用は継続していますが、屋外ではマスクを外している人もチラホラ。とはいえ、感染者数は微増傾向にあり、心の底から思い切り屋外活動するのにはもう少し時間がかかりそうですね。引き続き当院でのホームエクササイズを活用して、少しでも身体機能・嚥下機能の向上や倦怠感の改善、精神面への好影響を期待していけたらと思います。
転倒予防
がんの発症は、がん種類(がん種)によっても異なりますが、一般的には高齢者に発症しやすく、高齢化が進むわが国において、高齢のがん患者数は今後も増加し続ける可能性が高いことが予想されています。 2008年に世界保健機関1)(World Health Organization:WHO)が報告している、高齢者の転倒の概要のなかで,毎年65歳では28~35%が転倒し、70歳以上になると32~42%に増加します。地域在住の高齢者に比べ、介護施設入所者の転倒率は高く、30~50%が毎年転倒し、そのうちの40%は複数回の転倒を起こしていると報告されています。
高齢のがん患者さんに限らず、がんの治療中に転倒し、疼痛や骨折、頭部外傷により身体活動の低下や日常生活に支障を生じ、がん治療が中断されることは避けたいと誰もが考えることだと思います。転倒の要因は、さまざまありますが、生活環境などの外的要因、加齢や身体的疾患、薬物などの内的要因、患者さんの「トイレに行きたい」などの思いと介助者の「たぶんできるだろう」などの思いの行動要因があります。転倒せず日常生活を送るためには、危険な生活環境を改善し、身体の活動性向上が大切です。
転倒予防の運動には、筋力トレーニング、有酸素運動、バランス運動、ストレッチングなど複数の運動要素を組み合わせたプログラムが有効です。
運動内容と時間
世界保健機関(WHO)
- ウォーキングなどの活発な運動を週150分以上
米国がん学会(ACS)
- ウォーキングなどの中強度以上の運動を週に150~300分 または
- 高強度の運動を週に75~150分、筋力トレーニングは週2回
筋力トレーニング |
腹筋、スクワット、カーフレイズ、椅子からの立ち上がり |
有酸素運動 |
ウォーキング、ジョギング、自転車など |
バランス運動 |
片脚立ち、爪先歩き、踵歩きなど |
ストレッチング |
アキレス腱、ハムストリングスなど |
食道癌術後の誤嚥予防
中央病院の検討で食道癌術後に舌の力が低下すると誤嚥を生じやすくなることがわかりました。そこで、「術後の誤嚥を防ぐ」ため、「舌の力を低下させない」という目的を言語聴覚士、ICU/病棟看護師、外科医、理学療法士と共有して舌の筋トレを行いました。結果、術後舌の力は低下しにくくなり、誤嚥発症率も低下しました。目的と手段を共有して多職種+患者さんで誤嚥予防に取り組んでいます。
食道癌術後は食事が進まない、活動の機会の減少等で、体力低下を引き起こしやすくなります。東病院では全国でもいち早く取り組まれてきた多職種による食道癌術後の患者教室を、中央病院でも『築地食堂』の愛称で2021年11月から開催しました。
生活を楽にする工夫や、ピアカウンセリングの場となり患者さんやご家族には好評のようです。医療職間でも互いにどのような指導をしているのか知る機会となり、患者さんたちの困りごとを共有して解決策の意見交換ができています。