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多職種のチームで支える「周術期管理」
「手術に臨む患者さんを全力でサポートします」と話す
有井奈央子看護師と佐藤哲文医師
中央病院では2016年、病院棟8階に患者サポートセンターをオープンし、がんと診断されてから治療中、退院後、再発後の患者さんとご家族を多角的に支援しています。このインタビューでは、積極的に活用していただきたい、患者サポートセンターの取り組みを紹介します。
今回は「周術期管理」について、同センターの有井奈央子看護師と、麻酔・集中治療科長の佐藤哲文医師が解説します。
手術の不安に初診から寄り添う
周術期管理とは?
佐藤 手術を受ける患者さんが、安心してより安全に手術を乗り切れるように、手術前から、術中、術後まで、さまざまな専門性を持った医療チームでサポートすることです。
有井 手術を受ける可能性のある患者さんには、初診のときから患者サポートセンターで周術期管理担当の看護師が関わり始めます。医師に手術を勧められても、不安に思ったり手術を受けるか迷われたりする患者さんは少なくありません。手術後はどのような状態になるのか、どういう準備が必要なのかも含めて具体的にイメージできるように説明し、患者さんが自分の意思でご自身にあった治療法が選べるように支援しています。心配や気になっていることがあったら、何でも遠慮なく相談してください。
どんな患者さんが対象者ですか?
佐藤 現在は、食道がん、胃がん、大腸がん、肝がん、胆道がん、膵がん、頭頸部がんの患者さんが中心です。将来的には、部位に関わらず合併症リスクの高い患者さんや、体への負担が大きい手術をする患者さん全例を対象にしたいです。
合併症リスクを減らすために
周術期看護外来の内容は?
有井 外来では、患者さんの意思決定支援を行うとともに、どういう合併症リスクがあるか把握する「術前スクリーニング」を行います。喫煙、過度の飲酒、過度の肥満は手術合併症のリスクを上げますので、必要に応じて、禁煙や禁酒、減量のサポートもします。
手術を安全に乗り越えていただくためには、体力や肺機能の維持・強化が大切で、患者さん自身が呼吸器リハビリ、ストレッチなどに術前から積極的に取り組むことも重要です。特に、頭頸部や食道の手術を受ける患者さんには、器具を用いて、術前から呼吸器リハビリを続けてもらいます。個別指導が必要な患者さんには理学療法士がリハビリ指導をしますし、食事の改善が望ましい患者さんには管理栄養士が栄養指導を行います。
佐藤 手術後の肺炎などの合併症を減らすためには、歯科医と歯科衛生士による口腔ケアも大切です。
患者さんもチームの一員
患者さんに伝えたいことは?
有井 「外科の先生にすべてお任せします」とおっしゃる方もいますが、手術は患者さんご自身が選択して、主体的に臨むものだと思います。私たち周術期管理チームが全力でサポートしますので、体調管理やリハビリにも積極的に取り組んでいただけたら嬉しいです。
佐藤 周術期管理をしっかりと行えば、入院期間の短縮にもつながります。患者さんの不安や苦痛を軽減し、早く元の生活に戻れるように支援していきたいと思っています。