乳腺外科
乳腺外科について
乳腺外科では乳がんあるいは乳がん疑いの患者さんの診断から治療(手術、薬物)までを担当いたします。 腫瘍内科、形成外科、放射線治療科、乳がん看護認定看護師などとも密に連携しており理想的な環境で乳がん治療を受けることが可能です。
当院における治療を希望される方は、お気軽にお問い合わせください。
活動の歴史と成果
わが国の乳がんは生活様式の欧米化に伴い増加の傾向にあり、当院においても乳がんの患者さんは増加傾向にあります。1990年代前半では毎年270件前後の原発性乳がん患者さんに対する手術を行っていましたが、90年代後半には300件を超え、現在では年間約800件以上の手術を施行しています。
乳がんの手術術式もここ10年から20年で劇的に変貌を遂げており、定型的乳房切除術から胸筋温存乳房切除術、そして乳房温存療法と手術は縮小の方向にあります。当院では、1998年から術前化学療法を積極的に導入し、すでに500人以上の方を治療した経験を有し、従来は乳房温存療法の適応外であった患者さんに対しても、腫瘍内科専門医と連携して手術前に抗がん剤治療を施行して、およそ半数の方に対して乳房温存手術が可能となっています。乳房温存療法を安全に行うために、各種の画像診断法を用いて乳管内進展や微小多発病巣といった乳がんの広がりを診断して治療に応用しています。また、センチネルリンパ節生検(注)を標準術式として取り入れており、診断結果によって腋窩リンパ節郭清を省くことも可能。さらに、人工乳房による乳房再建に関して保険適用が認められた時代的背景から、同時再建手術(乳がんの手術と一緒に再建手術を行なう)、乳房皮膚や乳頭・乳輪を温存した乳房全切除手術にも取り組んでおり、徐々にその件数が増加しております。
(注)センチネルリンパ節とは、乳がん側から最初にリンパが流入するリンパ節であり、このためがん細胞が最初に転移するリンパ節と考えられています。このセンチネルリンパ節を検索して取り出して、特殊な方法でがん細胞の有無を調べます。ここにがん細胞が無ければ、その先のリンパ節には転移していないと考え、残りのリンパ節切除を省くことができます。
お知らせ「早期乳癌に対するラジオ波焼灼療法」について
体表面から乳房内の腫瘍に電極を穿刺し、ラジオ波帯の高周波電流により腫瘍組織を死滅させる早期乳癌に対するラジオ波熱焼灼療法(RFA)が、2023年12月1日に保険収載されました。
2013年より先進医療制度下で実施された「早期乳癌へのRFAの有効性の検証と標準化に向けた多施設共同研究(RAFAELO試験)」の有効性及び安全性に関する短期成績を踏まえて、2023年7月にRFA医療機器が薬事承認され、2023年12月1日に保険収載されました。そのため、2019年から患者申出療養制度下で実施された「早期乳癌へのRFAの安全性と有効性に関する多施設共同研究(PO-RAFAELO試験)」は2023年11月30日をもって新規の患者さんの登録を終了しました。
保険診療下でのRFAの実施に関しては、各施設によって対応状況が異なりますので、まずはご自身の主治医にご相談ください。
なお、当院でも、日本乳癌学会の適正使用指針を遵守し、迅速に実施する予定です。
当院を受診希望の方は初診の方へをご参照ください。
図左はRFAの概要図、写真右は超音波ガイド下RFAの実際