ロボット手術・開発センター
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NEW お知らせ
2024年4月15日にプレスリリースしました。
手術支援ロボット「ダビンチSP」を用いたがん手術を実施
新たな「ロボット手術・開発センター」から高難度症例に対する低侵襲治療の開発・拡大を目指す
ロボット手術・開発センターとは
国立がん研究センター中央病院では2024年1月よりロボット手術・開発センターを開設いたしました。
外科手術領域におけるロボット手術の重要度は年々高まっており、今後も需要が増えることが予想されます。
ここではロボット手術・開発センターの理念、目的についてご説明させていただきます。
ロボット手術・開発センターの目的
ロボット手術・開発センターでは、以下の3つの目的を掲げています。
- 質の高いロボット手術の提供
- 次世代の術者(日本のロボット手術を牽引するリーダーとなる人材)の育成
- 臨床試験の前段階から臨床使用へのシームレスなロボット機器開発
ロボット手術とは
手術に伴う侵襲(患者さんの負担)をできる限り減らしたい。低侵襲に、そして、がん治療としても根治性が高く、安全な手術でありたい。これは、外科医にとっても、患者さんにとっても共通の願いであると思います。
従来は開腹、あるいは開胸し、直視下に病変を切除することが一般的でしたが、カメラを挿入してお腹の中を観察し、トロッカーから細径の鉗子を挿入して操作することで開腹することなく手術を行う腹腔鏡手術の導入は、外科治療において革新的な変化をもたらしました。患者さんとしては、手術創が小さいことによる美容面の利点や手術後の痛みが開腹手術と比べて少ないといった利点があることはもちろんですが、カメラから得られる拡大視効果による精緻な手術を可能にしたり、血流を可視化する蛍光ナビゲーションであったりと手術の質も大いに向上しました。結果として、手術後に早く回復し患者さんの負担を軽減する恩恵をもたらしました。
当院で導入しているダビンチ Xi Surgical System
さらにロボット手術は、腹腔鏡手術の弱点であった直線的な鉗子の操作を克服し、鉗子の先端が手首が曲がるように術者の意のままに操作することができるようになりました。また、腹腔鏡よりさらに精細な操作が可能となったり、これまで腹腔鏡で難しかった吻合操作ができるようになったりと、低侵襲手術に大きな進歩をもたらしました。世界的にみてもロボット手術の歴史はまだ浅いため長期的な術後成績に関してはこれから報告がまとまっていくと思われますが、短期的な成績に関しては良好な成績が数多く報告されており、次世代の有望な手術方法であると考えられます。
一方で、ロボット手術は未だ全領域(臓器)で行われているわけではなく、術式によってもロボット手術が適しているものと、そうでないものがあります。また、患者さんの状態や、がんの進行具合、疾患によっても低侵襲手術ではなく開腹手術を選択すべきと言うこともあります。患者さんごとの手術アプローチに関しましては、担当医とよくご相談いただく必要があります。
ロボット手術は日進月歩で進歩しており、これまでDaVinciのみでしたが、数機種の新しいロボットが登場しています。当院も、これまで4本のトロッカーからアームを挿入するロボットダビンチ Xiで手術を行ってきましたが、一つの手術創から挿入して腹腔内でカメラ、アームが分岐する単孔式ロボットダビンチ SPを導入いたしました。これによって、また新たなロボット手術の幅が広げることができます。
ダビンチ SP Surgical System一つの手術創から病変へのアプローチが可能
当院のロボット手術体制
当院では3台の手術支援ロボット( ダビンチ Surgical System ® (Intuitive Surgical, Sunnyvale, California) )を導入しております。
ダビンチ Xi 2台
ダビンチ SP 1台
当院のロボット手術実績
近年、様々な外科領域においてロボット手術が保険収載される術式が増えています。当院におけるロボット手術の件数は年々増加傾向にあり、2023年には469件のロボット手術を行いました。
図:国立がん研究センター中央病院におけるロボット手術件数の年次推移