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臨床研究支援室
臨床研究支援室とは
国立がん研究センター中央病院が主導する医師主導治験などの臨床研究を円滑に実施するための支援を行います。未承認薬を初めて人に投与するFirst-in-Human試験や未承認薬・未承認医療機器を用いた医師主導治験などの早期開発の臨床研究から後期開発の臨床研究まであらゆる開発相の支援体制を有しています。
支援内容
- 国立がん研究センター中央病院が主導する医師主導治験の計画・準備(プロトコール、SOP、治験計画届、契約書などの作成支援)、管理・報告(最終的には総括報告書、学術論文などの作成支援)に関する全般的なプロジェクトマネジメント業務を行っています。
- MASTER KEY Projectと呼ばれる希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進する、産学共同プロジェクトに関する全般的なプロジェクトマネジメント業務を行っています。
- 遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく複数の分子標的治療に関する患者申出療養(通称、受け皿試験)に関する全般的なプロジェクトマネジメント業務を行っています。
- 医師主導治験などで発生する重篤な有害事象などの安全性情報の管理を行っています。
- 国立がん研究センター中央病院で実施される臨床研究についての包括的な安全管理を、医療安全管理室と連携しつつ実施しています。
スタッフ
室長
伊藤 久裕
主任
メンバー
川崎 真実子、川嶋 聡、一村 昌彦、安藤 弥生、宋 菜緒子、稲葉 真子、磯村 玲子、
白川 奈美、近藤 奏子、大熊 ひとみ(併任)、溝口 千春(併任)、人見 貴子(併任)、
小倉 隼人(併任)、栗山 彩葉(併任)、中田 真美子、筒井 愛梨
主な活動内容
臨床研究支援室が直接支援する医師主導治験数
年度 | 実施中試験数 | 新規試験数 | 合計(終了) |
2015年度 | 3 | 0 | 3 |
2016年度 | 3 | 5 | 8(1) |
2017年度 | 7 | 3 | 10(2) |
2018年度 | 8 | 6 | 14(1) |
2019年度 | 13 | 4 | 17(1) |
2020年度 | 16 | 1 | 17 |
2021年度 | 17 | 1 | 18(4) |
2022年度 | 14 | 3 | 17(4) |
2023年度 | 13 | 1 | 14(1) |
業績
NCCH1806(MADAME PRINCESA)試験:
標準治療がなく、頻度が極めて低い「超希少がん」である内膜肉腫の患者さんに対する医師主導治験において、内服薬MDM2阻害剤(ミラデメタン)が治療の選択肢となる可能性を初めて示しました。本研究成果によって、超希少がんに対する新たな治療選択肢とともに、経時的な検体解析による開発手法の有用性も示しました。治療開発が難しいとされる超希少がんに対して、Precision Oncology (精密がん治療) による治療開発の可能性が期待されます。
2023年7月13日付けプレスリリース情報はこちら
(論文情報)
Koyama T, Shimizu T, Kojima Y, et al. Clinical Activity and Exploratory Resistance Mechanism of Milademetan, an MDM2 Inhibitor, in Intimal Sarcoma with MDM2 Amplification: An Open-Label Phase Ib/II Study. Cancer Discov. 2023;13(8):1814-1825. doi:10.1158/2159-8290.CD-23-0419
NCCH1615(STATICE)試験:
希少かつ難治性がんである子宮がん肉腫の切除不能、進行期および再発の患者さんに対して、世界で初めてトラスツズマブ デルクステカンによる抗HER2療法の有効性を確認しました。患者さんが少なく、大規模な臨床試験の実施が困難な希少がんにおいて、今回用いたベイズ統計学に基づく統計手法やPDXモデルでの薬理効果の確認が、新しい治療法の開発に役立つことが期待されます。
2023年4月10日付けプレスリリース情報はこちら
(論文情報)
Nishikawa T, Hasegawa K, Matsumoto K, et al. Trastuzumab Deruxtecan for Human Epidermal Growth Factor Receptor 2-Expressing Advanced or Recurrent Uterine Carcinosarcoma (NCCH1615): The STATICE Trial. J Clin Oncol. 2023;41(15):2789-2799. doi:10.1200/JCO.22.02558
NCCH1606(PENGUIN)試験:
国立がん研究センター中央病院で実施した小児がん患者を対象とした医師主導治験(第I相試験)の結果を基に、成人では承認済みの「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」に対するニボルマブの小児用法・用量が日本で初めて承認されました。小児がんは、患者数が少なく、臨床開発が困難であることから、企業による治験が進みにくいとされており、アカデミアが安全性・有効性を評価する治験を主導することで、アンメット・メディカル・ニーズを満たした成功例です。
2021年9月27日付けプレスリリース情報はこちら
NCCH1508(REMORA)試験:
国立がん研究センター中央病院が主導し、全国8施設で実施された医師主導治験(REMORA試験)の結果に基づき、世界で初めてとなる、切除不能な胸腺がんに対する治療薬(レンバチニブの適応追加)が日本で承認されました。
なお、胸腺がんの発症は10万人当たり0.15人で、切除不能な胸腺がんの予後は不良であり、治療薬の研究開発が望まれる「難治性希少がん」でしたが、アカデミアが有効性・安全性を評価する治験を主導することで、アンメット・メディカル・ニーズを満たした成功例です。
2021年3月23日付けプレスリリース情報はこちら
(論文情報)
Sato J, Satouchi M, Itoh S, et al. Lenvatinib in patients with advanced or metastatic thymic carcinoma (REMORA): a multicentre, phase 2 trial. Lancet Oncol. 2020;21(6):843-850. doi:10.1016/S1470-2045(20)30162-5
NCCH1505(PRIMER)試験:
(論文情報)
Katsuya Y, Horinouchi H, Seto T, et al. Single-arm, multicentre, phase II trial of nivolumab for unresectable or recurrent thymic carcinoma: PRIMER study. Eur J Cancer. 2019;113:78-86. doi:10.1016/j.ejca.2019.03.012