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AC (60/600) 療法
乳がんの薬の治療には、ホルモン療法、抗がん剤、抗体療法などがありますが、なかでもAC療法は乳がんの代表的な抗がん剤治療です。
AC療法とは、ドキソルビシン (アドリアマイシン) とシクロフォスファミドという2種類の異なる作用機序の抗がん剤を組み合わせた治療であり、その頭文字をとってAC療法と呼んでいます。
使用する抗がん剤
ドキソルビシン注 (アドリアマイシン)
ドキソルビシンは、がん細胞のDNAの間に入り込み、その細胞の成長を止めたり、死滅させる作用を持つくすりです。点滴で体内へ徐々に注射します。くすりの色は赤色をしています。くすりを注射してから1から2日の間、尿や汗に色(赤色・桃色・橙色等)がつくことがありますがご心配いりません。その後、元に戻ります。もし点滴中に痛みを伴うようなことがありましたら医療スタッフにご相談ください。また心臓に既往歴のある方は、事前に医師へご相談ください。
シクロホスファミド注
シクロホスファミドは、がん細胞のDNAにくっつき、その細胞の成長を止めたり、死滅させる作用を持つくすりです。このくすりは、体の中で分解され、尿として排泄されます。この尿が膀胱内に長時間たまると、時に炎症を起こすことがあります。くすりを注射してから1から2日の間は、普段より多めに水分を取り、トイレの回数を多くするとよいでしょう。
AC (60/600) 療法の副作用
脱毛
くすりを注射してから2から3週間過ぎた頃より、髪の毛が抜けてきます。しかし、この脱毛は一時的なもので、注射を終了してから2から3ヶ月で回復し始めます。
吐き気・嘔吐
このAC療法では、最初に吐き気止めを点滴し、予防します。くすりを注射しても吐き気や嘔吐の症状が現れることがあります。抗がん剤を注射した当日に現れる急性のものと、注射終了後2から7日目に現れる遅延性のものとがあります。
白血球減少
白血球は、体内へ細菌が入り込まないように守っている血液成分の1つです。一般的にくすりを注射してから1から2週間目に白血球の数が少なくなり、3から4週間目で回復してくるといわれています。白血球が減少すると細菌に対する防御能が低下し、発熱や感染を起こす可能性があります。白血球が減っている時期には予防策が大切です。また扁桃炎・虫歯・歯槽膿漏・膀胱炎・痔などがある方は、あらかじめ担当医へご相談ください。 一般的に、AC療法の場合20人に1人程度の割合で発熱する方がいます。もし38℃以上の熱がでた場合は、処方された抗菌薬 (レボフロキサシンまたはシプロフロキサシン) を服用しましょう。3日間服用しても熱が下がらない時や、下痢などその他の症状が重なりつらい時は、病院へ連絡してください。
口内炎
おくすりを注射してから一週間前後に起こすことがあります。
皮膚や爪への影響
主に手足の皮膚にしみができたり、爪が黒くなることがあります。一時的なものが多く、注射が終了すれば、次第に回復してきます。
卵巣への影響
ときに卵巣の機能が低下し、月経不順や月経の停止にともなう更年期症状 (ほてり、発汗、膣乾燥感) などが現れる可能性があります。
注射部位における皮膚障害
このくすりは、注射の際のわずかな漏れでも皮膚障害を起こすことがあります。くすりを注射している間に、その注射部位が赤く腫れたり、痛みを感じる場合には、すぐに医療スタッフへお申し出下さい。またご自宅へ戻られた後、数日以内に同様な変化が見られてもご相談ください。
その他気になる症状がありましたら、医療スタッフへご相談下さい。