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ドセタキセル療法

ドセタキセル3週1回投与療法(以下ドセタキセル療法)は乳がんにおける代表的な治療法の一つです。

使用する抗がん剤

ドセタキセル注

ドセタキセルは、イチイ科の植物成分を原料として半合成された化合物です。細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分の一つである微小管を安定化および過剰発現させることにより、がん細胞の増殖を阻害します。
このくすりの投与の副作用として、手足のむくみや胸やお腹への水分貯留が報告されています。この症状を予防するために、副腎皮質ホルモン(デキサメタゾン注)をあらかじめ投与します。
添加剤としてアルコールを含んでおりますので、アルコールに対しアレルギーのある方やお酒に弱い方は、お申し出下さい。

ドセタキセル療法の副作用

脱毛

くすりを注射してから2から3週間過ぎた頃より、髪の毛が抜けてきます。脱毛時に頭皮がピリピリと痛むことがありますが、次第におさまります。この脱毛は一時的なもので、全ての注射を終了してから2から3ヶ月で回復し始めます。

むくみ (浮腫)

投与を重ねる毎に、顔や足にむくみ(浮腫)を生じることがあります。一般的に5人に1人の割合でみられます。とくに手術を行った側の腕には術後のリンパ浮腫とあいまってむくみが出やすいようです。
むくみは体の中に余分な水分がたまっている状態です。このむくみは、投与が終了してから数ヶ月以内に回復していきます。また利尿剤を服用することで回復することもあります。

爪の変化

爪が変色したり、時にははがれるなどの変化がみられることがあります。治療が終われば、多くの場合回復いたします。爪は短く清潔に保ちましょう。爪がはがれる、浸出液が出る、爪周囲が赤くはれて痛みがあるなどの場合には、担当医にご相談下さい。

白血球減少

白血球は、体内へ細菌が入り込まないように守っている血液成分の1つです。一般的にくすりを注射してから1から2週間目に白血球の数が少なくなり、3から4週間目で回復してきます。白血球が減少すると細菌に対する防御能が低下し、発熱や感染を起こす可能性があります。感染症はひどくなると生命に危険を及ぼす可能性もあるので、白血球が減っている時期の感染の予防と感染をおこした場合の適切な対応が重要です。扁桃炎・虫歯・歯槽膿漏・痔などがある方は、あらかじめ担当医へご相談下さい。

38℃以上の発熱時には感染が疑われますので、抗菌薬を内服するなどの対応が必要です。一般的に、ドセタキセル療法の場合5人に1人程度の割合で発熱する方がいます。発熱(38℃以上)や下痢などの症状が重なった時は、病院へ連絡して下さい。

下痢

くすりを注射して当日に起こる急性の下痢と2日目以降から出現してくる遅発性の下痢をおこすことがあります。下痢をおこす頻度は10人に3人程度の割合です。

口内炎

くすりを注射してから一週間前後に起こすことがあります。10人に1人程度の割合で口に違和感を感じる方がいます。

アレルギー

アレルギーは、異物から自身を守るためのシステムが過剰に働いた際に起こります。アレルギーには、皮膚に湿疹が出来るような軽症のものから、血管が拡張し血圧が低下するような重篤なものまであります。点滴中にじんま疹ができたり、顔がほてってきたりした場合、冷や汗が出て気分が悪くなったりした場合には、医療スタッフにお申し出下さい。添加剤としてアルコールを含んでおりますので、アルコールに対しアレルギーのある方やお酒に弱い方は、お申し出下さい。

注射部位における皮膚障害  

このくすりは、注射の際のわずかな漏れでも皮膚障害を起こすことがあります。くすりを注射している間に、その注射部位が赤く腫れたり、痛みを感じる場合には、すぐに医療スタッフへお申し出下さい。

吐き気・嘔吐

ドセタキセル療法による吐き気や嘔吐の症状が出ることは比較的少なく、一般的には軽度です。

四肢への影響(関節痛・しびれ) 

ドセタキセル療法の場合、足の関節・筋肉の痛みや脱力感を感じることがあります。多くの場合は、くすりを注射してから2から3日後に症状が現れ、数日以内におさまってきます。また手足に正座をした後のようなしびれを感じる方がいます。この症状は、手袋と靴下の着用範囲に起こりやすいと言われています。

その他気になる症状がありましたら、医療スタッフへご相談下さい。

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