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エリブリン療法
乳がんや軟部肉腫の進行を抑えるために、全身治療としてさまざまな抗がん剤が用いられますが、エリブリン療法はよく使われる抗がん剤治療のひとつです。
使用する抗がん剤
エリブリン注
エリブリンは、海洋生物であるクロイソカイメンの成分に着目して合成された化合物です。細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分の一つである微小管に作用し、微小管を構成しているチュブリンという蛋白質の重合を阻害することにより、がん細胞の増殖を阻害したり、死滅させます。エリブリン注は長い時間をかけて点滴するのではなく、短時間で注射します。注射部位に違和感や痛みを伴うようなことがありましたら、医師・看護師にお申し出下さい。
エリブリン療法による副作用
発熱
- 薬剤熱
エリブリン療法を受けてから約3日以内に、5人に1人の割合で注射剤に反応して熱が出ることがあります。
- 白血球減少
白血球は、体内へ細菌が入り込まないように守っている血液成分の1つです。エリブリン療法では、一般的に投与サイクル2週目の後半以降に白血球が減少してくると言われています。白血球が減少すると細菌に対する防御能が低下し、10から20人に1人の割合で発熱や感染を起こす可能性があります。
倦怠感
2人に1人の割合で、注射後に体が重く感じたり、だるさを感じたりすることがあります。
末梢神経障害
3人に1人の割合で、手足のしびれ(末梢神経障害)が出たり、治療前からのしびれが強くなったりすることがあります。
吐き気
エリブリン療法により吐き気の症状がでることは比較的少ないと言われていますが、患者さんによっては吐き気が出たり、食欲が低下したりすることがあります。
味覚障害・食欲不振
エリブリン療法中に治療前と比べて嗜好が変わる、味を感じにくくなるなどの味覚の変化がおこることがあります。
便秘
エリブリン療法によって腸の動きが弱くなり、便がでにくくなることがあります。
脱毛
2から3人に1人の割合で、脱毛がおこります。脱毛の程度には個人差があります。治療を終了すれば回復し始めます。