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ゲムシタビン/ドセタキセル療法 (GEM/DTX療法)
GEM/DTX療法は、2種類の抗がん剤 (ゲムシタビン、ドセタキセル) を組み合わせた治療法です。GEM/DTX療法は、ほとんどの患者さんが外来で実施できるのが特徴です。
使用する抗がん剤
ゲムシタビン注
ゲムシタビンは、腫瘍細胞の増殖に必要な物質とよく似た構造をしているため、腫瘍細胞のDNAに入り込み、腫瘍細胞の増殖を止めたり、死滅させる作用を持つ薬です。吐気や嘔吐は少ないお薬ですが、副作用のあらわれ方には個人差がありますので、吐気がつらい時にはお申し出ください。過敏症状 (さむけ、発汗、発熱、口の周りのはれ、息苦しい、痒み、発疹など) や間質性肺炎 (発熱、から咳、息苦しい、息切れなど) を起こすことがあります。このような症状が現れた時はすぐにお申し出ください。
ドセタキセル注
ドセタキセルはヨーロッパイチイの樹木の針葉から取り出した成分で作られた抗がん剤です。ドセタキセルは細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分のひとつである微小管の働きを阻害して、腫瘍細胞の増殖を止める作用を持つ薬です。ドセタキセルの製品中には、アルコールが含まれています。もし、アルコール過敏やアルコール不耐症の心配がある場合には、治療前にお知らせください。治療を始めてから数週間から数ヵ月経過してから発現する副作用 (浮腫、しびれ、疲労感、爪の変化、涙目) があります。
GEM/DTX療法の副作用
骨髄抑制
抗がん剤を使用すると血液を造る骨髄も影響を受け、白血球、赤血球、及び血小板が減少することがあります。
白血球の減少 (感染症にかかりやすくなります)
白血球は、病原体から身体を守る (感染を防ぐ) 働きを持った血液成分の1つです。白血球が一定レベル以下に減少すると抵抗力が低下し、感染にかかりやすくなります。抗がん剤治療中は、感染予防策が大切です。また扁桃炎・虫歯・膀胱炎・おむつかぶれなどがある場合、治療開始前に担当医とご相談ください。
赤血球の減少 (貧血症状につながります)
めまい、立ちくらみ、冷え、だるさ、息切れ、動悸などの症状があります。
血小板の減少 (出血しやすくなります)
血小板は、血液を固まりやすくする働きがあります。血小板の数が少なくなると、出血しやすくなります。赤血球や血小板の輸血を必要とする場合があります。血液検査によって確認しますが、貧血症状が改善しない場合や出血傾向が続く場合は、早めに担当医へ連絡してください。
アレルギー
点滴中にアレルギー症状が現れることがあります。点滴中に息が苦しい、胸が苦しい、心臓がドキドキする、皮膚に赤いぶつぶつが出る、体が痒い、顔がほてる、汗が出るなどの症状に気付いた時や何か少しでもおかしいと感じた時には、すぐにお知らせください。
吐き気・嘔吐
GEM/DTX療法では、吐気や嘔吐、食欲不振などの消化器症状が発現しやすいため、複数の吐気止めを組み合わせて予防します。
倦怠感(だるさ)
抗がん剤の点滴終了後2から3日目に現れる倦怠感には、デキサメタゾンの内服、適度な運動 (外出など)、リフレッシュ、十分な栄養と水分補給などが有効なことがあります。倦怠感は色々な原因で出現するため、原因に応じた対処法が必要になります。
脱毛
脱毛の程度に個人差はありますが、薬を点滴してから2週間から3週間が過ぎた頃より、髪の毛が抜けてきます。この脱毛は一時的なもので、治療を終了してから2か月から3ヶ月で髪が生え始めます。新しく生えてきた毛髪は、色や質が以前と変わることがあります
口内炎
GEM/DTX療法によって口内炎が起こりやすくなりますので、事前に予防を心がけましょう。
むくみ
GEM/DTX療法によってむくみが現れることがあります。むくみはドセタキセルの特徴的な副作用なので、むくみの予防のためにドセタキセル投与後にステロイドを使用することがあります。むくみが見られた場合には、利尿剤を使用して症状の改善をはかることもあります。
爪や皮膚の変化
爪が変色したり、ひどい場合にははがれることがあります。爪に亀裂が入ったり、変形してくると気づかないうちにひっかけて爪がはがれてしまうことがあります。爪を適度に切りそろえておくのがよいでしょう。手や足にしもやけやあかぎれに似た、さまざまな症状が現れることがあるため、保湿クリームによる皮膚ケアをこころがけてください。症状が現れた場合には、適切なお薬を使うことで改善することが多いので、医師や看護師、薬剤師にご相談ください。
点滴部位における皮膚障害
点滴の針を刺している場所やその付近に痛み、熱感、又は違和感等の不快感を感じた場合には、すぐにお知らせください。薬が血管外に漏れている可能性があります。点滴の際のわずかな漏れでも、放置すると漏れた部位に炎症や壊死を起こすことがあります。点滴投与後、数日してから上記症状が出現した場合にも、すぐに担当医へご連絡ください。
その他、気になる症状がありましたら、 医師・看護師・薬剤師にご相談ください。