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遺伝性乳がん卵巣がんについて

乳がんの5~10%は遺伝性であるといわれています。ご家族の中に乳がんや卵巣がんを発症した方がいる場合や、患者さんご自身が若年乳がんや両側多発性の乳がん、トリプルネガティブ乳がん、男性乳がん、卵巣がんと乳がんの両方にかかったことがある場合などには遺伝性乳がんの可能性が高いといわれています。

一般に遺伝性乳がんが疑われる場合、遺伝性乳がんの主な原因遺伝子であるBRCA1、BRCA2の遺伝学的検査を受けて、病的バリアントの有無を調べる検査が行われます。この検査は血液を用いて行われます。また遺伝学的検査を受けるかどうかは患者さんの自由意思に基づいて決定され、遺伝学的検査が強制されることはありません。
遺伝性乳がん卵巣がんの血液検査の対象となる方は、以下のいずれかの条件を満たす方となります。

  • 45歳以下で診断された乳がんの方
  • 60歳以下でサブタイプがトリプルネガティブと診断された乳がんの方
  • 両側または片側に2個以上の原発性乳がんを診断された方
  • 男性で乳がんと診断された方
  • 血縁者(第三度近親者以内*)に乳がんまたは卵巣がん、膵がん患者がいる乳がんの方
  • HER2陰性の手術不能または転移再発乳がんでオラパリブの投与が検討されている方
  • HER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法でオラパリブの投与が検討されている方

*第一度近親者:同胞、両親、子
 第二度近親者:おじおば、祖父母、おいめい
 第三度近親者:いとこ、孫、大おじ大おば

注)2026年6月に診療報酬の改定があり、現在よりもBRCA1/2遺伝学的検査の対象者が拡大されることが予想されます。当科でも遺伝子診療部門と密に連携をとり、適応拡大に向け迅速な対応を行っていきます。詳細についてはこちらのホームページで随時お伝えしてまいります。

BRCA1もしくはBRCA2遺伝子の病的バリアントをもつ女性の場合、乳がんの生涯発症リスクは26~84%、卵巣がんについてはBRCA1遺伝子の病的バリアントをもつ場合は35~46%、BRCA2遺伝子の病的バリアントをもつ場合は13~23%とされています。またBRCA1、BRCA2遺伝子の病的バリアントは親から子に男女関係なく2分の1(50%)の確率で伝わります。

ご自身の乳がんが遺伝性であるという情報を知ることは、必ずしも良いニュースではないかもしれません。しかし遺伝の可能性があるという事実を知っておくことは、患者さんご自身だけでなくご家族の方々にとっても健康管理上のメリットがあります。

乳がんをすでに発症している患者さんが、BRCA1もしくはBRCA2遺伝子の病的バリアントをもっていることがわかった場合、乳がんを発症している側の乳房の手術に関しては乳房温存療法の強い希望がなければ乳房全切除のほうがよいとされています。また乳がんを発症していない反対側の乳房に対するリスク低減乳房切除術(予防切除)も保険診療として実施が可能です。両側の乳房全切除術が行われていない場合は、年1回の乳房造影MRIならびにマンモグラフィによるサーベイランスを行うことが勧められます。卵巣がんや卵管がんを発症していない場合、35歳以上で妊娠・出産の希望や可能性がなければ、リスク低減卵管卵巣摘出術(予防切除)を行うことが強く勧められます。

遺伝学的検査を希望される患者さんで、当院乳腺外科通院中の方は担当医にご相談ください。
また遺伝学的検査の対象とならなくても、遺伝についてより詳しく相談されたい患者さんは、遺伝子診療部門への紹介も行いますので、担当医にご相談ください。

 

注)他院治療中でBRCA1/2遺伝学的検査のご希望がある方は、まずは乳腺外科の一般外来の初診枠を予約してください。
注)当院受診前に、遺伝学的検査を受検され遺伝性乳がん卵巣がんと診断されている方につきましては、当院の遺伝子診療部門を一度受診いただくかたちをとっております。予めご了承ください。
注)がんの診断を受けていない方の遺伝に関するご相談、遺伝学的検査のご希望については、遺伝子診療部門にご連絡ください。