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胸腺腫・胸腺がん
胸腺腫・胸腺がん薬物治療
胸腺腫・胸腺がんは胸の中央にある胸腺から発生する腫瘍です。
この疾患については希少がんセンターのHPをご参照ください(希少がんセンター:胸腺腫・胸腺がんについて)。ここでは、この疾患に対する治療法をご説明いたします。
胸腺腫・胸腺がんの治療として、手術、放射線療法、薬物療法があります。すべての腫瘍が取り切れると判断された場合は、手術が行われ、腫瘍と共に胸腺をすべて摘出します。胸腺腫ではすべて取り切ることができれば、追加の治療は必要ありません。胸腺がんでは、周りの組織にがんが広がっている場合はすべて取り切れても補助的に放射線療法を追加することがあります。
すべて取り切ることが難しいと判断された場合は、まず化学療法や化学放射線療法を行い、その後、可能であれば手術が行われます。手術ができないと判断された場合には、化学療法や化学放射線療法が続けられます。また、手術ができてもすべて取り切れなかった場合は、残った腫瘍に対して術後放射線療法が行われることがあります。
再発や遠隔転移がある場合は化学療法を中心とした治療が行われます。
1.細胞障害性抗がん剤
胸腺腫ではシスプラチンとアンスラサイクリン系抗がん剤の併用が、胸腺がんではプラチナ製剤を用いた多剤併用療法が行われます。
胸腺腫に対して保険承認されている薬剤はありませんが、シスプラチンとアンスラサイクリン系を用いた化学療法はADOC療法、PAC療法、CODE療法、CAMP療法などが報告されており、10人中7-9人程度に一定の効果が得られることが報告されています。しかしながら稀な疾患であるため、十分なデータがなく、実際の有効性は十分わかっていません。一次治療で効果がなくなった胸腺腫に対しては、ペメトレキセド(アリムタ®)やアムルビシン(カルセド®?)などの化学療法が報告されています。
胸腺がんではカルボプラチンとパクリタキセル(タキソール®)の併用療法が一般的に行われます。がんの病巣が治療前に比べて明らかに縮小する割合は10人中2-3人と報告されています。3週ごとに最大4-6回投与します。
2.レンバチニブ(レンビマ®)
一次治療で効果がなくなった胸腺がんに対しては、分子標的治療薬の一つであるレンバチニブ(レンビマ®)の有効性が報告されています。がんの病巣が治療前に比べて明らかに縮小する割合は10人中3-4人とされており、現在は保険承認されています。レンバチニブ(レンビマ®)は飲み薬で、治療効果が確認され、副作用が許容範囲内である間、毎日内服します。