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研修プログラムについて

人材育成のポイント

がん治療は数多くの分子標的薬の普及やがん免疫療法の拡充など近年飛躍的に変わりつつあります。それに伴って臨床検査の領域も大きく変化しており、特に遺伝子検査の領域では分子 標的薬に効果や副作用の予測のために行う多くのコンパニオン診断薬や、NGSを用いて網羅的に遺伝子異常の解析を行うがん遺伝子ゲノムプロファイリング検査が臨床応用されています。 このほかにも、フローサイトメトリーを用いた造血器腫瘍の微小残存病変(minimal  residual  disease,    MRD)の検出や造影超音波検査の改良・普及に伴う腫瘍描出能の向上など、がん の診断・治療効果の評価のために多くの最新技術が臨床検査に用いられています。

臨床検査科では、がん診療を支えるこれらの検査を技術的・科学的な視点を持って追求し、患者診療を支える人材を育成したいと考えております。

研修の特徴

  1. 研修の場は 2012 年から国際的な品質規格 ISO15189 を運用する検査室
  2. 臨床検査の全ての基本科目の研修が本院で可能
  3. がんを中心とした豊富な症例に基づく研修
  4. 個別化医療を目指した遺伝子パネル検査の実践

研修を支える各検査室

臨床化学 / 臨床免疫学

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採血検体は遠心後に自動前処理システムに投入さ れます。
開栓・分注・検体の一部の冷蔵収納後、 各測定装置まで自動的に搬送され検査が行われます。
動脈血液ガス分析など緊急性を要する検体は 別途対応しています。
免疫固定法には検査医コメントを記載します。

臨床血液学 / 一般臨床検査学

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血液疾患診断のために多くの検査を行っています。
細胞形態はエキスパートが丁寧に見方のコツを教えるほか、週1回の形態カンファレンスを行ってい ます。
細胞表面マーカー検査は院内でマルチカラー解析を行っています。 

輸血学

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血液型判定や輸血製剤の管理のほか、造血幹細胞移植や細胞治療(CAR-T)のための細胞製剤を管理やがん性腹水の管理のための腹水濾過濃縮再静注療法(CART)の検体処理を行っており、治療的な面にも貢献しています。

臨床微生物学

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現在の微生物検査は迅速性が求められます。
Film Array®やMALDI Biotyper®を用いた細菌の迅速同定を行っており、これらの結果は、感染防止対策チーム (ICT) と連携して適正かつ迅速な感染対策に貢献しています。

遺伝子関連検査学

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固形がんや白血病、感染症の診断や治療判断に必要な遺伝子を検出する PCRや、PCR・NGS(オンコマイン)に基づく変異解析、FISH 解析を行っています。
またエキスパートパネルを通じて、がんゲノム医療の実際を見ることができます。

臨床生理学

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超音波検査では、最新の機種で腹部・心臓・表在・ 血管を評価しています。臨床・病理とのカンファレンスもあります。
また術前・化学療法前に必須である心機能検査や呼吸機能検査でも多くの症例を経験できます。

最近3年間の英文研究発表

(筆頭著者もしくは責任著者が当科スタッフのもの)

  1. Tsubokura M, Kojima M, Nakabayashi S, Takahashi N, Takeuchi S, Aruga Y, Ikeda C, Maezawa N, Okazaki K, Uchida S, Watanabe M, Aoki J, Ito A, Tanaka T, Inamoto Y, Kim SW, Matsushita H, Fukuda T. EDTA-induced psudothrombocytopenia in hematopoietic stem cell donor. Clin Case Rep 2023 11(4): e7023.
  2. Matsui H, Hirata M. Evaluation of the pathogenic potential of germline DDX41 variants in hematopoietic neoplasms using the ACMG/AMP guidelines. Int J Hematol 2024 119(5):552-563.
  3. Miyamoto H, Kawakami F, Abe S, Sugita H, Matsui H. Comprehensive cancer genomic profiling of liver metastasis led to the unexpected identification of colorectal cancer. Internal Medicine 2024 63(1): 63-70.
  4. Hirayama M, Shinriki S, Matsui H. R-loops in normal and malignant hematopoiesis. Front Hematol 2023 2: 1297657.
  5. Tungalag S, Shinriki S, Hirayama M, Nagamachi A, Kanai A, Inaba T, Matsui H. Ribosome profiling analysis reveals the roles of DDX41 in translational regulation. Int J Hematol 2023 117(6): 876-888.
  6. Sunami K, Naito Y, Saigusa Y, Amano T, Ennishi D, Imai M, Kage H, Kanai M, Kenmotsu H, Komine K, Koyama T, Maeda T, Morita S, Sakai D, Hirata M, Ito M, Kozuki T, Sakashita H, Horinouchi H, Okuma Y, Takashima A, Kubo T, Hironaka S, Segawa Y, Yakushijin Y, Bando H, Makiyama A, Suzuki T, Kinoshita I, Kohsaka S, Ohe Y, Ishioka C, Yamamoto K, Tsuchihara K, Yoshino T. A Learning Program for Treatment Recommendations by Molecular Tumor Boards and Artificial Intelligence. JAMA Oncol. 2024 10(1):95-102.
  7. Oda S, Ushiama M, Nakamura W, Gotoh M, Tanabe N, Watanabe T, Odaka Y, Aoyagi K, Sakamoto H, Nakajima T, Sugano K, Yoshida T, Shiraishi Y, Hirata M. A complex rearrangement between APC and TP63 associated with familial adenomatous polyposis identified by multimodal genomic analysis: a case report. Front Oncol 2023 13: 1205847.
  8. Kubo T, Sunami K, Koyama T, Kitami M, Fujiwara Y, Kondo S, Yonemori K, Noguchi E, Morizane C, Goto Y, Maejima A, Iwasa S, Hamaguchi T, Kawai A, Namikawa K, Arakawa A, Sugiyama M, Ohno M, Yoshida T, Hiraoka N, Yoshida A, Yoshida M, Nishino T, Furukawa E, Narushima D, Nagai M, Kato M, Ichikawa H, Fujiwara Y, Kohno T, Yamamoto N. The impact of rare cancer and early-line treatments on the benefit of comprehensive genome profiling-based precision oncology. ESMO Open. 2024 Apr;9(4):102981.
  9. Tsubokura M et al, Adverse effects of cell-free and concentrated ascites reinfusion therapy for malignant ascites: a single-institute experience. BMC Cancer 2022 22(1): 268.
  10. Shinriki S, Hirayama M, Nagamachi A, Yokoyama A, Kawamura T, Kanai A, Kawai H, Iwakiri J, Liu R, Maeshiro M, Tungalag S, Tasaki M, Ueda M, Tomizawa K, Kataoka N, Ideue T, Suzuki Y, Asai K, Tani T, Inaba T, Matsui H. DDX41 coordinates RNA splicing and transcriptional elongation to prevent DNA replication stress in hematopoietic cells. Leukemia 236(11): 2605-2620, 2022.
  11. Shinriki S, Matsui H. Unique role of DDX41, a DEAD-box type RNA helicase, in hematopoiesis and leukemogenesis. Front. Oncol. 12:992340, 2022.

コース紹介

専攻医コース(基幹施設型)

対象者

初期研修修了者。

研修目的

臨床検査の各領域の研修を行って、臨床検査専門医資格の取得を目指します。

 

研修内容

1年目:臨床検査科に所属して、臨床検査医学の考え方を身につけるべく臨床検査科の各領域の研修を行います。後半には遺伝子検査、
血液関連検査、生理検査などのサブスペシャリティを決め、研究活動を開始します。
2年目:臨床検査科に所属して臨床研修を行うとともに、研究面では学会発表および論文作成を目指します。
3年目:引き続き臨床検査科で臨床研修を行い、臨床検査専門医の資格獲得を目指します。

研修期間

3年間

 
研修の特色

  • 臨床検査の全ての基本科目の研修が本院で可能です。
  • がんを中心とした豊富な症例に基づいて研修を行うことができます。
  • がんゲノム医療とそれに関係するがんゲノムプロファイリング検査を基本から学ぶことができます。

レジデント3年コース・2年コース

対象者

新専門医制度対象者は基本領域専門医取得済み、もしくは取得見込み(旧専門医制度対象者はその基本領域の専門医もしくは認定医等を取得
済み、もしくは取得見込み)で、当院での研修によりサブスペシャルティ専門医を目指す者
注:基本領域専門医:臨床検査専門医

研修目的

臨床検査専門医として臨床検査の各領域をより深く理解して実務にあたるとともに、
臨床検査におけるサブスペシャリティを決め、がんに特 化して臨床検査に精通することを目的とします。

 

研修内容

1年目:臨床検査科に所属して臨床検査科の各業務を行いながら、サブスペシャリティを決め、研究活動を開始します。
2年目:臨床検査科で業務に加えて研究活動を行い、国際学会での発表および論文作成を目指します。
また、必要に応じて関連診療領域での臨床研修や当センター内外での研究を行うようにします。
3年目:原則として臨床検査科で業務を行いながら、研究成果のまとめを目指します。

研修期間

3年間あるいは2年間

 
研修の特色

  • 豊富ながん症例を研修でき、その検体を研究対象として取り扱うことができます。
  • 日本のがんゲノム医療を牽引する当院のエキスパートパネルの経験が学べます。

がん専門修練医コース

対象者

新専門医制度対象者は基本領域専門医取得済み、もしくは取得見込み(旧専門医制度対象者はその基本領域の専門医もしくは認定医等を取得
済み、もしくは取得見込み)で、当センターレジデント修了者あるいは同等の経験と学識を有する者
注:基本領域専門医:臨床検査専門医

研修目的

臨床検査の特定の領域に特化して実務及びがんを中心として研究にあたるとともに、
検査室全般の運営を考えることができる臨床検査専門医 の育成を目指します。

 研修内容

臨床検査科の業務を行いながら研究活動を行い、国際学会での発表および論文作成を目指します。

研修期間

2年間

 
研修の特色

  • 豊富ながん症例を研修でき、その検体を研究対象として取り扱うことができます。
  • 2012年に取得したISO 15189に基づく、成熟した精度管理の運営を間近に体験できます。

問い合わせ先

臨床検査科 科長 松井 啓隆 hmatsui●ncc.go.jp

関連ファイル

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